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「――吉野翔理さま。ようこそ、ドリーム・ワールドへ」
頭に声が流れ込む。
――吉野翔理――
それが、ボクの名前?
「記憶が無いのですね」
ボクは、一体誰なんだろう
「では、翔理さま。私と、ゲームをしませんか?」
「ゲーム?」
「そう。凄く簡単な、ゲームですよ。この、夢の世界を楽しみましょう?」
頭の中に流れる声は、とても楽しそうだ。
「では、ルール説明と、この世界についての説明を始めましょうか」
「その前に、君の名は?」
「・・・・・・別に、名前なんてありませんよ」
「じゃあ、なんて呼んだらいい?」
「何でもいいです」
ボクの言葉に、彼女は少し不機嫌になりながら答える。
「じゃあ、君は今日からヒマワリだよ」
ただ思いついただけの、意味も知らない言葉を口にしたら、何故か涙が出そうなくらい悲しくなった。
ヒマワリの、息を呑む声が聞こえる。
これが、ボクとヒマワリの始まりだった。