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査問会 後編

前回の続きです。

「それではアレク様、今一つ質問を宜しいでしょうか?」

ブラッド卿がアレクを見据えながら言う。

その瞳は、漆黒の奥に秘めらえた紅い炎がチラチラと燃えているかのように見えた。

「構わないよ。何だろう。僕に分かる事であれば良いんだけど」

いつもの調子でアレクは飄々とそう答えた。

穏やかな微笑みを浮かべてはいるが、珍しく瞳は笑っていない。

これから何を言われるのかと、多少身構えてはいるのだ。


「では、お伺いします。モルガン=ミスティカ嬢が、何故勇者と共に?」

場の空気が騒めくのが分かる。

七つの大罪の一人である、モルガン=ミスティカは長らく所在不明・・・とされていた。

「今、勇者と共に帝国へと向かっているとの報告を受けておりますが?」

ブラッド卿の言葉に、更に騒めきが広がる。

「アレク様、どうぞご説明を」

ブラッド卿は薄い笑いを口元に浮かべながらそう言った。


うわー・・・そうきたか。

そんな事を考えながらもアレクは平静を装いつつ言葉を探す。

「そうなんだ。今マダム ミスティカは勇者と一緒にいるんだねー」

いつもと変わらない口調でアレクはそう言った。

「おや?アレク様もご存知ではなかったと?」

わざとらしくブラッド卿はそう言った。

「そうだねー。マダムには他国の情報収集と、何か異変が有れば知らせてくれるようにお願いしているだけだから」

何の事もないとでも言う様に、アレクはそう言った。

「にしても、勇者と行動を共にしているのは如何なものですか?」

回りくどく、ブラッド卿はチクチクと批難をしてくる。

「そうだねー。勇者と一緒にいるって報告くらいはしてくれても良かったかもしれないねー」

アレクも知らないフリをして、そう言った。


ふぅ。ブラッド卿も面倒くさいな。

どうしたいのかもっとストレートにきてくれれば、こちらの対処も変わってくるのに。


そんな事を思いながら、アレクはブラッド卿の次の言葉を待った。

「アレク様、これはミスティカ嬢の裏切り行為ではないのですか?あまつさえ七つの大罪の身で有りながら、諸国を漫遊し、自由気ままに当主の任も果たさずにいるのに、勇者と一緒にありながらも、その報告もしないなど・・・」

わざとらしく大仰に嘆きながら、そう述べるブラッド卿は中々の演技派である。

「あははははははは!ブラッド卿、それはあり得ないよ」

思わずアレクは噴き出した。が、聴衆はそうも思わなかった様である。

至る所から、マダム ミスティカを批難する声が聴こえ始めた。

「アレク様、これ以上責任のある立場の者に勝手をさせておくのは如何なものでしょうか?場合によっては七つの大罪を辞してもらうのも仕方ないのではと思いますよ?」

ブラッド卿の言葉に、聴衆は賛同の声を上げる者もいる。

「アレク様、ミスティカ嬢も、この場にお呼び下さい。そして真意を問いただすのです」

聴衆もそうだ!そうだ!と声を上げる。

流石にアレクも、この状況ではブラッド卿の提言に従わざるを得なかった。


しかし、ブラッド卿の考えがイマイチ読めないんだよね・・・。

僕の味方を減らしていきたい事は分かるんだけど・・・。


そんな事をアレクが考えている内に、一旦査問会は閉廷となった。

ブラッド卿、、、イマイチ読めない男です(°▽°)

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