便り
今週からまたアレクサイドに戻りますー。
将軍シーンが急ぎ魔国へ戻っている道中の事、その便りは飛んできた。
銀色の、美しい鳥。それはアレクの持つ魔法具の内の一つ、連絡鳥である事に、将軍シーンは直ぐに気づいた。
「全軍!停止!!ここで暫しの休息を取る!魔国との国境は後僅かであるが、くれぐれも気を抜かぬ様に!!」
そう行って行軍を停止させると、腕をすっと高くあげ、手のひらを天に掲げた。
チチチッ!小さな鳴き声を出しながら、連絡鳥が将軍シーンの差し出した手に止まる。
すると、連絡鳥は、少しばかり鳴いて声を整えた後、アレクの声で将軍シーンに向かって話し始めた。
「いやぁー!今回は見事にハメられたねぇー!」
こんな緊急事態でも、アレクはいつも通り飄々とした口調である。
「とりあえずさぁ、こっちの事は心配しなくて良いから、ゆっくり戻っておいでー!まぁ、うるさ方の対応には慣れてるさぁー。これまでも何度もこんな事やってきたし」
美しい鳥から、アレクの声がするのは、何だか変な気分になるが、将軍シーンは気にする事なく、連絡鳥の声に耳を傾ける。
「君の行動は、僕からの命令って事にしておくから、よろしくねー!目的は、うーん。そうだねぇ。シルバーの勧誘って事でいいかなー。軍を引き連れて行ったのは、シルバーを誘い出す為とでもしておけば、苦しいけど言い訳はきく。でも、シルバーに敗けて、勧誘は失敗した、、、とでもしておこうか。あ、ごめんねぇ。シルバーに僕、君の弱点やら戦い方やら性格は教えちゃったんだぁ。君には本気で戦って敗けて貰わないといけなかったからね・・・」
将軍シーンはシルバーとの戦いの最中に、相手が自分を知りすぎていると感じる事が多々あった。そして、アレクの言葉を聞いて、あぁ、やはりか・・・。と思った。
「まぁ、そんな訳で、君は僕からの命令に従って王国まで行ったけど、任務に失敗して戻ってきたって事でいいね。・・・反乱であれば、軍法会議は免れない。が、僕からの命令であれば問題はないよねぇ?」
ニヘラっとしまりのない笑顔をしているアレクの顔が思い浮かんだ。
自分の思慮の浅さから、親友を追い込む事態となり、将軍シーンは心苦しく思ったものの、こんな事態であっても相変わらずのアレクに少しだけホッとしたのであった。
やれやれ、アレクも苦労性な事だな。自分の事など庇わずに、切り捨ててしまえれば、事態の収拾はもっと楽であろうに・・・。
そんな事を思って、将軍シーンは深いため息をついた。
まぁ、それが出来ないところが、アレクの良いところであり、弱さでもあるのだが。
「そんなこんなで、本当にゆっくり戻って来ていいからねー!」
そう言うと、連絡鳥はピチチッ!と小さな声を残し、大空へ飛び立っていった。
将軍シーンはそれを見送ると、両手でバシバシと両頬と叩き、気合いを入れ直した。
「よし!全軍!移動を開始する!!」
そう言って将軍シーンは背筋を伸ばして、魔国への帰路へ再び着いた。
アレクに対する忠信をより新たにさせながら。
来週は夏休みを取らせて貰いますのでおやすみしまーす!
最近、リアルが忙しく申し訳ありません。




