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咆哮

今回もまた魔獣との話になりますー!

シエロ達は陣形を整え、魔獣に対峙する。

前列は、シエロ、フリント。後列はユディ、エリスである。


エリスが強化魔法俊足の烈風(マキシマムスピード)と、鋼鉄の身体(アイアンボディ)を一同にかけ、更に清浄なる水流の障壁(ウォーターウォール)で結界を張る。

エリスはそれをほぼ無詠唱で行い、一瞬で一同の防御力は飛躍的に向上した。


「シエロ、どうするよ?」

大剣を構えながらフリントが言う。

「ユディは牽制の為に、 神聖なる天使の弓矢(ホーリーアロウ)を再度5連続で魔獣に撃ち込んでくれ。その隙にフリントは左舷から、私は右舷から魔獣に斬り込む。そして私たちが攻撃をして魔獣の気を引いてる内に、ユディは神級魔法の準備を」

目線を魔獣から離す事なく、シエロは早口でそう言った。

幸いにも魔獣は唸り声を上げて、こちらの様子を伺っている。

「了解っす!!じゃあ、行くっすよ!!神聖なる天使の弓矢(ホーリーアロウ)!!!!」

ユディの掛け声に合わせてシエロとフリントは魔獣に迫る。

ズガンッ!ズガンッ!!と神聖なる天使の弓矢(ホーリーアロウ)が魔獣に当たる音と、魔獣の咆哮で、鼓膜がビリビリと震える。

そんな中でもシエロ、フリントの両名はほぼ同時に魔獣に斬りかかった。


ガッキィィィィィィィィン!!!!!


伝説のオリハルコンの様に硬い魔獣の表皮に、二人の剣は傷一つつける事が出来ずに跳ね返される。

「うお、こりゃ想像以上だ!!!!」

驚愕と、少しの焦りの表情を見せながらフリントが言う。

このままでは無理だと思ったシエロとフリントは一瞬にして魔獣から距離を取り、仕切り直しとばかりに剣を構え直した。

フリントと一瞬視線を合わせ、再度二人は魔獣に斬り込む。

しかし、幾度となく同じ場所を攻撃しても、一向に小さな傷すらつけられそうにはない。

「・・・・・マズイな」

相変わらず無表情のシエロだが、彼の頭の中ではどうやって魔獣を倒すかと言う考えと、どうやったら逃げだせるかと言う考えがせめぎ合っていたりする。


最初に異変・・・いや、違和感に気づいたのはエリスであった。

1番最初にくらった攻撃以降、魔獣からの攻撃が無いのだ。最初の雷撃で魔力が尽きたとも考え辛く、魔獣がこちらの実力を測っている様にも感じられる。何より、冷静に見れば見る程、この魔獣からは殺意と言ったものが感じられない。


グオオオオオオオオオオオオンッ!!!


この魔獣の咆哮も、威嚇の為だけのものでは無いかとエリスは感じていた。

それを証明するかの様に、シエロ、フリント両名の攻撃に対して多少の反撃はするものの、致命的なダメージとなる様な強力な攻撃は仕掛けてはこないのだ。

そして、良く良く眺めていると、恐ろしい魔獣の紫の瞳の奥に知的な光がある事を、エリスは感じ始めていた。


「シエロ!フリント!いつでもいけるっす!!」


エリスの考えはそのユディの一言によって遮られた。

素早くシエロとフリントが魔獣から離れるのが見える。

ユディの魔力が一層高まり、魔獣に向けて放出され・・・「ちょっと待ってください!!!!!」

エリスはユディを抱きしめて、魔法の発動を阻害した。

「ちょ!!!何やってるにゃ!!!エリス!!危ないにゃっ!!!」

ユディは焦って、にゃんこモードが出てしまっている。

シエロ、フリントの両名も何事かとエリスの元に駆け寄ってきた。

「エリス、どうした?!」

フリントが驚きの表情でエリスに言う。

その問いに対するエリスの言葉に一同は更に驚かされる事になる。


「すみません・・・。私に魔獣と話をさせて頂けませんか?」

次回くらいで魔獣との話は完了予定です。

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