将軍シーンvsシルバー 前編
久々の戦闘開始、、、な気がします(笑)
「突然の申し出受諾、感謝する」
そう言って、シルバーは黄金色のロングソードを優雅な仕草でスラリと抜いた。
「良い。アレクから話は聞いている。自分も一度手合わせを願いたいと思っていた」
将軍シーンはそう言って、自分も背負っていた巨大なバトルアックスをシルバーに向かって構えた。
さて、ではお手並み拝見だな。
久々の戦いに気分が高揚するのを 将軍シーンは感じていた。
本来であれば、獣人族は皆んな気性が荒い戦闘民族である。
吸血鬼などよりも、もっと血気盛んに声高に人間への攻撃を叫んでもおかしくはないのだ。
しかし、幼い頃よりアレクと親交を深めていた 将軍シーンには、それを制する情があった。
アレクは幼少期より、戦いを好まなかった。自分よりも弱い相手に対しても暴力で物事を解決するのを良しとはしなかった。
それを知っていたからこそ、一族の暴発を押さえ、ここまで来たのだ。
しかし・・・自分が不戦の誓いを最初に破る事になるとは、皮肉なものだな。
そんな事を考えつつ、シルバーを見据えていた。
アレクから話を聞いている分、 将軍シーンは自分に分があると考えている。
初撃は受け流してやる・・・くらいの気持ちでシルバーに向かっているのだ。
「では・・・参る!!」
シルバーはそう言うと、一瞬で 将軍シーンとの間を詰めた。
上段の構えで眩いばかりの黄金の剣が振り下ろされる。
それをバトルアックスで受け止めようとした瞬間、カッ!とロングソードが太陽かと見紛うばかりの光を放った。
それをマトモに目にした 将軍シーンは堪らない。
一瞬にして視界を奪われ、思わず目を瞑る。
おう。ミスったぜ。清廉潔白な男だと聞いていたから、この攻撃は想定外だった。
流石に戦いに関しては、真っ直ぐばかりでは無いって事か。
少しでも相手を軽んじた自身に対して自嘲気味にそんな事を感じながら、視界を奪われた 将軍シーンはそれでも冷静に風の気配を感じる事に集中をした。
全身に生えている毛は、体温調節の役割も果たすが、風の気配を読み取る事にも役に立つ。
シルバーから、鋭い斬撃が放たれる。
ソレを見えない視界の中で、敏感に風の気配を感じながら受け流していく。
やはりどうしても避けきれずに浅い切り傷が至る所に出来てくるのを 将軍シーンは感じていた。
しかし・・・。今日は無風で助かったぜ。これで強い風でも吹いていればもっと自分は苦戦する事になっただろう。
やはり、戦いに侮りは禁物だ。
そう自分を戒めながら、 将軍シーンは閉じていた瞳を薄く開けてみた。
まだ完全に・・・とは言わないが、相手の影を感じ取るくらいには回復をしている。
しかし、それで充分だ。
「まさか最初に視界を奪われるとは思わなかったぜ」
薄い目を開けて、改めてシルバーに向かってバトルアックスを構えながら 将軍シーンはそう言った。
「それでは、此方からもいかせて貰うぞ!」
そう言って 将軍シーンはシルバーに向かって駆け出した。
来週も戦闘の続きです。




