将軍シーン=タイガー
先週は急なお休みすみませんでしたー!
まだ咳がひどくてちょっとしんどい作者です。
皆様もどうぞ風邪にはお気をつけ下さいー!
最初にその報告を受けた時、将軍シーンはきっと間違いであると思った。
しかし・・・その報をもたらしたのは、自分の信頼している部下であり、血を分けた兄妹のサファ=タイガーその人であったのだ。
しかも、サファはアレクの事も良く知っている。そのサファがアレクを見間違える筈は無かった。
「私も・・・最初は見間違いかと思いました。だけど・・・。いくら世界が広いと言っても、あんな綺麗なオッドアイを持つ人物が、アレク様以外にいらっしゃる筈はありません。それに、私を見つけてアレク様は仰ったのです。早急にお兄様に王国へ侵攻する様に伝えて欲しいと」
少し、困惑した様な表情を浮かべ、サファ=タイガーは兄である将軍シーンにそう伝えた。
サファ自身も、アレクの方針は心得ており、いきなりの方針の転換に戸惑っている様である。
「ふむ・・・」
考え込む様に将軍シーンは腕組みをすると、その力強い瞳をしばし閉じる事にした。
こんな重要な事項を、自分への相談も無しに行う筈が無いと思いつつも、特に隠密の行動であったので知らせるのが事後となったのだ。と、サファからの伝言で言われると、多少の違和感を感じながらも、一先ずのところは納得をせざるを得ない。
今すぐに直接アレクの元を訪れて、その真偽を訪ねたい衝動に駆られるが、そのアレクからは、早急に王国を攻めよとの命令が出ていると言う。
そう言われれば、将軍たる自分はその命に従わざるを得ないのだ。
多少の疑問を抱きつつも、将軍シーンは軍備を整え、王国への進軍を開始した。
「早急に」との事であったので、サファからの報告を受けて、数時間の後には既に自身の領地を抜け、王国との国境に差し迫りつつあった。
勤勉なるこの将軍シーン=タイガーが、もう少しだけダラけた人物であり、疑い深い人物であったならば、この後の展開はもう少しだけ違ったものになっていたのかもしれない。
しかし、この将軍シーン=タイガーはどちらかと言うと、真っ直ぐな性格であり、あまり人(身内であれば特に)を疑う事はしない人物であった。
なので・・・。
「目指すは王国の首都デンドライト!無辜の民には手を出すな!戦うのは我らと同じ戦士のみ!では!皆もの!参るぞっ!!!」
自軍を鼓舞しつつ、国境近くの城壁へと攻撃を仕掛けようとしていた。
戦士達は、一様に士気が高い。
アレクの方針に逆らおうとまでは思わないが、正直なところ不満を抱えているもの達がたくさん居たのだ。どうしてやり返さないのか!と。
あちらからは嫌と言うほど攻めてきているのだから、コチラから攻めても良いではないか!と。
将軍シーンも、実のところ、戦いたくてウズウズしていた事に違いはない。
ただ、親友であり、敬愛する魔王であるアレクがそれを是としなかった為、抑えていたにすぎないのだ。
もう、長い事我慢をしてきた。きっとアレクも、攻められ続ける事にいい加減嫌気がさしたのであろう。急な方針転換への疑問をそんな解釈で蓋をして、将軍シーンは軍を進めた。
城壁までは、もう半里といった所であった。
来週もこの続き、、、の予定です。




