蠢動
先週はお休みしてすみませんー!
今週からまた更新再開します!
「ええーどう言う事?!」
アレクの気の抜けた声が執務室に響く。
「・・・ですのでアレク様の偽物が現れたようです」
アゾゼオが呆れたようにため息をつきながらアレクに言う。
「しかもご丁寧に自ら魔王を名乗ったようですよ」
ふぅーっと更に深いため息をつきながらアゾゼオが言う。
「うわーっまた面倒臭い事やってくれるねぇ・・・」
椅子に深く身体を沈めながら、アレクは苦笑いをした。
アレクは基本的に魔国の者が人間に手出しをする事を禁じている。
それは以前から言ってきた様に、戦うことが面倒であるのと、出来れば人との友好関係を築きたいからに他ならない。
なので幾ら侵攻を受けても、決してその軍の将以外に攻撃を加える事は無かったし、誰から何を言われようと、こちらから何かをしかけると言う事は無かったのだ。
しかし・・・。
「まずいなぁ、これじゃあ僕自らが不戦の誓いを破ったみたいじゃないか・・・」
珍しく厳しい表情を見せて、アレクが言う。
「はい。これを機に一気に人間界に攻撃を仕掛けようとする者が現れるでしょう」
アレクの言葉に頷きながらアゾゼオが言う。
「まぁ、それを狙って、今回の事をやらかしたんだろうけどさ・・・」
立ち上がり、窓の外を見つめながらアレクはそう言った。
頭の中では今後の対応をどうすべきか、様々な思考を巡らせている。
「しかし・・・ほんっとうに嫌な手を出してきたよね」
そう言って、アレクは窓の外の遠い景色を睨んだ。
それから数時間後、予想通り城にやって来たのはブラッド卿であった。
アレクの執務室に入るなり、満面の笑みを浮かべてこう言った。
「アレク様におかれましては、華麗なる先制攻撃のご成功、誠におめでとうございます!」
両手を大きく広げて大仰にブラッド卿は言う。
「あー、残念ながらそれは僕では無いんだよね。不届きにもどうも僕の偽物が現れたらしいんだ」
嫌そうな顔をしてアレクが言う。
「ほほう、なんと不届きな!しかし・・・左様でございましたか。アレク様が遂に重い腰を上げられたと一同喜んでおりましたのに!」
白々しく難しい表情を浮かべて、ブラッド卿は言った。
「僕の不戦の考えは変わってはいないよ」
ブラッド卿を睨みつける様にアレクは言う。
「しかし・・・ソレをどれだけの者が信じましょうや・・・」
それに動じる事なく不敵な笑みを浮かべてブラッド卿は言った。
「アレク様っ!!!!」
その時、血相をかえて部屋に飛び込んで来たのはアウインであった。
「無礼な!今は私が魔王様と謁見中である!」
牙を剥いて、ブラッド卿が一喝する。
「申し訳ありません!しかし火急の様なれば!」
珍しく冷静なアウインが焦っている様であった。
「セプタリアン卿、すまないがアウインに報告をさせて貰えるかな」
アレクがブラッド卿を宥める様にそう言った。
「そ、それが・・・将軍シーンが、王国に向けて出撃をしたとの事です!」
叫ぶ様にアウインが言う。流石にこの報告にはアレクも表情を変えた。
「一体どう言う事?」
アレクが予想していたよりももっと、事態は深刻化している様である。
久々登場アレク様(笑)
来週もアレクサイドのお話となりますー!




