混乱の後
結局今週も勇者サイドの続きを書く事にしました(*^ω^*)
「魔王が現れたと言うのは本当ですか!」
驚愕の表情を浮かべるのは、クロムである。
「・・・はい。しかしながら、彼の者は既に姿を消しました」
悔しそうにシエロが言う。
「まぁ・・・死者が出なかったのは不幸中の幸いでしたね。皆様ご苦労様でした」
疲れた様な微笑みを浮かべ、そう言って皆を労うのはレムリアだ。
「お二人が何事もなくご無事で何よりです」
少し険しい表情を浮かべてエリスが言う。
「まぁこれで終わった訳じゃ無いがよぅ」
困った様に坊主頭を掻きながらフリントは言った。
「にゃ、にゃぁぁぁぁ・・・」
ユディは疲れ切って腑抜けているようだ。
「ところでレムリア聖下、魔王が撒いた催淫剤を吸ってしまった人々はどうされますか?」
クロムが訊ねる。
「・・・そうですね。今の所まだ何が解毒薬になるかも分かっていない状況です。催淫剤を吸ってしまった人々には申し訳ないですが、解決策が見つかるまではこのまま眠っていて貰いましょう。眠っている事によって、淫魔化する速度も抑制されれば良いのですが・・・」
哀しそうな表情でレムリアは言う。
「恐らく・・・使われたのは魔国にあると言うリドの実と、人魚の涙、そして鮮血の雫石の合成薬かと思われるのですが、他にも何かしらの成分が混じっているはずです。この催淫剤で淫魔化するなんて話は聞いた事がありませんから」
クロムが難しい表情を浮かべてそう言った。
これから薬の分析をしても、その成分が何であるのかが解明するまで、どれだけの時間がかかるかもわからないのだ。
「・・・何か手がかりがあると良いのですが」
そうクロムが呟いた時、リンリンと鈴が鳴る様な音が聞こえ、クロムの通信機が光った。
クロムはソレを素早く取って耳に当てると、何かしらの報告を受けているようであった。
「フラウ バタフライの目が覚めたとの事です」
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「・・・そうですか、その様な事に」
シエロ達からの話を聞いて、憂いを帯びた瞳を伏せて、バタフライはそう言った。
幸いにも?バタフライは何者かに襲われて気を失っていた為、催淫剤を吸わずに済んだとの事だった。
「それで、解毒薬は作れそうですの?」
心配そうにバタフライはクロムに訊ねる。
「・・・正直まだ今の段階では分かりません」
無念そうにクロムが言う。
「そうですか・・・。あ!もしかしたら私、お役に立てるかもしれませんわあっ」
その時、思い出したかの様にバタフライがそう言った。
バタフライの話によると、旅の途中で出会った錬金術師の友人が薬剤にも大変造詣が深く、彼女ならば成分の解明も可能かもしれないとの事であった。
「その人はどちらにいらっしゃるのですか?」
エリスが訊ねる。
「そう言えば彼女の家は、市国と帝国との間の森の奥ですわぁっ。私がご案内致します」
バタフライがそう言って立ち上がろうとするので、皆で止めてベッドに押し戻し、翌日の昼頃に市国を出立する事を決定をして、一同はバタフライの休んでいる部屋を後にした。
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「おいおいシエロ!どうしたってんだ、そんなに浮かない顔をして?まさか魔王に今更ビビってんのかい?」
フリントがシエロの肩を叩きながらそう言う。
「いや・・・そんな訳ではないのだが」
そう言いながらもやはりシエロは何か考え込んでいる様子だ。
「シエロがそんな顔してちゃこっちまで湿っぽくなるっす。何か心配があるんならちゃんと話した方がいいっすよ」
やっと回復したユディがそう言った。
「そうですわ。私たち、仲間じゃありませんこと?」
エリスがシエロの顔を覗き込んでそう言った。
シエロは少しだけ考え込むと、仕方ないと言った表情でこう言った。
「・・・フラウ バタフライが怪しい気がする。これは罠かもしれないと思っている」
来週、四月十五日は一回休載予定です。
またその次の週から再開しまーす!




