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混乱の後

結局今週も勇者サイドの続きを書く事にしました(*^ω^*)

「魔王が現れたと言うのは本当ですか!」

驚愕の表情を浮かべるのは、クロムである。

「・・・はい。しかしながら、彼の者は既に姿を消しました」

悔しそうにシエロが言う。

「まぁ・・・死者が出なかったのは不幸中の幸いでしたね。皆様ご苦労様でした」

疲れた様な微笑みを浮かべ、そう言って皆を労うのはレムリアだ。

「お二人が何事もなくご無事で何よりです」

少し険しい表情を浮かべてエリスが言う。

「まぁこれで終わった訳じゃ無いがよぅ」

困った様に坊主頭を掻きながらフリントは言った。

「にゃ、にゃぁぁぁぁ・・・」

ユディは疲れ切って腑抜けているようだ。


「ところでレムリア聖下、魔王が撒いた催淫剤を吸ってしまった人々はどうされますか?」

クロムが訊ねる。

「・・・そうですね。今の所まだ何が解毒薬になるかも分かっていない状況です。催淫剤を吸ってしまった人々には申し訳ないですが、解決策が見つかるまではこのまま眠っていて貰いましょう。眠っている事によって、淫魔化する速度も抑制されれば良いのですが・・・」

哀しそうな表情でレムリアは言う。

「恐らく・・・使われたのは魔国にあると言うリドの実と、人魚の涙、そして鮮血の雫石の合成薬かと思われるのですが、他にも何かしらの成分が混じっているはずです。この催淫剤で淫魔化するなんて話は聞いた事がありませんから」

クロムが難しい表情を浮かべてそう言った。

これから薬の分析をしても、その成分が何であるのかが解明するまで、どれだけの時間がかかるかもわからないのだ。

「・・・何か手がかりがあると良いのですが」

そうクロムが呟いた時、リンリンと鈴が鳴る様な音が聞こえ、クロムの通信機が光った。

クロムはソレを素早く取って耳に当てると、何かしらの報告を受けているようであった。

「フラウ バタフライの目が覚めたとの事です」


************************


「・・・そうですか、その様な事に」

シエロ達からの話を聞いて、憂いを帯びた瞳を伏せて、バタフライはそう言った。

幸いにも?バタフライは何者かに襲われて気を失っていた為、催淫剤を吸わずに済んだとの事だった。

「それで、解毒薬は作れそうですの?」

心配そうにバタフライはクロムに訊ねる。

「・・・正直まだ今の段階では分かりません」

無念そうにクロムが言う。

「そうですか・・・。あ!もしかしたら私、お役に立てるかもしれませんわあっ」

その時、思い出したかの様にバタフライがそう言った。

バタフライの話によると、旅の途中で出会った錬金術師(アルケミスト)の友人が薬剤にも大変造詣が深く、彼女ならば成分の解明も可能かもしれないとの事であった。

「その人はどちらにいらっしゃるのですか?」

エリスが訊ねる。

「そう言えば彼女の家は、市国と帝国との間の森の奥ですわぁっ。私がご案内致します」

バタフライがそう言って立ち上がろうとするので、皆で止めてベッドに押し戻し、翌日の昼頃に市国を出立する事を決定をして、一同はバタフライの休んでいる部屋を後にした。


************************


「おいおいシエロ!どうしたってんだ、そんなに浮かない顔をして?まさか魔王に今更ビビってんのかい?」

フリントがシエロの肩を叩きながらそう言う。

「いや・・・そんな訳ではないのだが」

そう言いながらもやはりシエロは何か考え込んでいる様子だ。

「シエロがそんな顔してちゃこっちまで湿っぽくなるっす。何か心配があるんならちゃんと話した方がいいっすよ」

やっと回復したユディがそう言った。

「そうですわ。私たち、仲間じゃありませんこと?」

エリスがシエロの顔を覗き込んでそう言った。

シエロは少しだけ考え込むと、仕方ないと言った表情でこう言った。

「・・・フラウ バタフライが怪しい気がする。これは罠かもしれないと思っている」

来週、四月十五日は一回休載予定です。

またその次の週から再開しまーす!

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