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急遽、勇者サイドではない話を差し入れましたm(._.)m
「・・・キー・・・シ・キー・・・・」
私を呼ぶのは誰だろう・・・?
まどろむ心地良い夢の中で、誰かが私を呼ぶ声を聞いた気がした。
私が眠り続けてもう随分経つ。いや、経っていると思う。
ただただ私はこの幽幻の世界を漂っていただけなのだから・・・。
最初は何とか外に出ようと足掻いてもみた。
だけど、全ては徒労に終わった。だから私は思考を捨てた。
ただ、眺めているだけならば、この世界も悪いものではないから・・・。
いつからこの世界に居たのか、私は何故ここにいるのかなんて、とっくに忘れてしまった。
「私」の名も誰かに呼ばれてみて漸く思い出した。
そうだ・・・私は・・・。
「・・・ルキー・・・シルキー!!」
さっきよりも、よりハッキリと私を呼ぶ声が聞こえる。
そう、思い出した。私は・・・シルキー。
シルキー=セプタリアン=ブラッド。
セピア色のおぼろげな世界に光が射し、色味を増していく。
曖昧だった世界の境界線が、広がっていく。
「・・・誰?」
あぁ、そう言えば、私はこんな声をしていた。
久々に聞こえた自身の声に感動を覚える。そう言えば、声を発する事すら忘れていた。
ずっと眠り続けている私には、声なんて不要だったのだから。
「・・・シルキー。君を迎えに来たんだ」
優しい面差しの男の人が私に向かって手を伸ばす。
恐る恐る、その手を取ろうとした時、急に世界に閃光が走った。
「くそっ!トラップか!!」
悔しそうな男の人の声が聞こえる。
世界は眩ゆい光に包まれて、目を開ける事もかなわない。
「ごめん!シルキー!今度は必ず、必ず君をそこから助け出すから!!」
彼の声が遠ざかっていく。
世界が暗転する。
そしてまた、私は深い眠りの底へと沈んでゆく。
深く、深く。
「私」の存在すら、おぼろげな場所へと。
来週こそは、バタフライ一座での騒動の続きを更新します!




