バタフライ一座
今週も勇者サイドの話が続きますー!
「なるほど。皆様は帝国へ行きたい訳ですね」
ニッコリと笑顔を4人に向けてレムリアは言う。
「何か良い手立てはございますか?」
エリスがレムリアを覗き込む様に訊ねる。
「うーん。そうですねぇ・・・実は、我が市国も王国と同じく帝国とは国交はありません」
少し困った様な表情を見せて、レムリアは言う。
「それなら聖下、市国からも帝国へ行く事は難しいって事ですかい?」
フリントが口を挟む。
「ご安心下さい。まぁ、表向きは・・・ってやつですよ」
ウインクをしながら、悪戯っ子の様な表情を浮かべてレムリアは言った。
「皆様は運が良いですね。ちょうど今城下にバタフライ一座が来ています。夜にでも皆様にご紹介致しましょう」
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その日の夜、レムリアに言われた場所に到着すると、一同は感嘆の声を上げた。
「うわぁー!凄いですねぇ!」
色とりどりの照明が飾り付けられている巨大なテントを見上げながら、エリスは笑顔を見せながらそう言った。
「バタフライ一座ってのは旅芸人の事だったみたいだな。しかし、この規模のデカさにはビックリだぜ」
坊主頭を撫でながらフリントは言う。
「にゃぁぁぁぁぁぁ!どこもかしこもキラッキラで綺麗っす!!」
ユディが興奮しながら目を輝かせてそう言う。
「・・・凄いな」
シエロはバタフライ一座のテントの煌びやかさや大きさに圧倒されている様で、ただ一言そう呟いた。
「皆様、よくぞお出でになりました。聖下もお待ちです。さぁ、コチラへ」
テントの前で呆然と立ち尽くす4人に声を掛けたのはクロムであった。
裏口から中に入ると、幾つかの天蓋が降ろされ、簡易的な個室の様になっていた。
その中の一際大きな部屋に通されると、レムリア聖下と妖艶な美女がシエロ達を迎えてくれた。
「お待ちしておりましたよ」
レムリアが笑顔を向ける。
「フラウ バタフライ。この方々が王国からいらした勇者一行です」
レムリアがシエロ達を女性に紹介する。
「うふふ。初めまして。この一座を率いる、バタフライと申しますわぁっ」
妖しくも魅力的な笑顔を浮かべ、バタフライは優雅にお辞儀をしてみせる。
それを見て、シエロ達も慌てて頭を下げた。
「うふふ。私の様な下賤な踊り子風情に、勇者様達が頭を下げる事はございませんのよ」
慌てて頭を下げたシエロ達を面白そうに眺めながらバタフライは言った。
「そんな、フラウ バタフライ。お美しい貴女を下賤な踊り子などと思う不届き者など、この市国にはおりませんよ」
コチラもコチラで、アイドル並みのキラッキラの笑顔を浮かべながらレムリアが言う。
二人が並んでいると、何だか壮観である。
「聖下、フラウ バタフライ。その件はとりあえず置いておいて、シエロ様達のお話を致しませぬと」
クロムが2人の間に割って入った事によって、漸く話を本題に進められる事となった。
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「なるほど。承知致しましたわぁっ。勇者様達を帝国までお連れすれば宜しいのですね」
バタフライはシエロ達の話を聞いてそう言った。
「帝国へ行く事は可能なのですか!」
シエロが思わず声を上げる。
「うふふ。そんなの心配ご無用ですわぁっ。私達は流れの踊り子。ご要望があれば何処にだって公演に参りますし、逆に行ってみたい国にも売り込みに行きますのよ。まぁ、実はちょうどこの後、帝国にも公演の予定がありますから、ちょうど良かったですわぁっ」
バタフライはシエロに笑顔を向けてそう言った。
「・・・ただし」
フラウ バタフライのその言葉に4人は息を飲む。
「帝国までの道のりは危険もありますの。皆様には私達の護衛をお願い致しますわぁっ」
その言葉を聞いて、シエロ達は一も二もなく頷いて「こちらこそお願いをします!」と応えていた。
「うふふ。私達も護衛を見つける手間が省けて良かったですわぁっ。それでは私は公演の準備がございますので今日はこれで失礼させて頂きますね。せっかくなので皆様は私達の踊りを楽しんで行かれて下さいな」
そう言うバタフライは席を立ち、聖下に改めてお辞儀をして部屋を後にした。
「では、私達も観覧席に移動しましょうか」
レムリアが笑顔で立ち上がる。シエロ達もそれに続いた。
来週はどうしようかなぁ・・・。
バタフライ一座の公演を書くかどうか迷い中です(笑)




