エリスとクロム(仮)
また勇者サイドの話に戻ってきましたー。
って言ってもシエロは一言しか発していないのですが(´-`)
しかもサブタイトルが思い浮かばなかったので(仮)になっています、、、
その内訂正予定です(汗)
クロム自らに邸宅に招き入れられたシエロ達は、豪華な応接間に通された。フカフカのソファに腰掛けて周りを見ると、彼らが一生掛かっても手に入れられないだろう美しく繊細な女神の彫刻や、雄大な景色を描いた絵画などが飾られ、エリス以外の3人はモゾモゾと何だか落ち着かない様子をしていた。
すぐに香りの良い紅茶が運ばれ、美味しそうな焼き菓子が出される。
最初に口を開いたのはクロムであった。
「それで、フロイライン エリス。今回は大変な役割を仰せつかったようですね」
柔和な微笑みを浮かべてクロムが言う。
「はい!エクリプス様が名指しで私をご指名くださったのです!」
嬉しそうにエリスは笑顔でそう言った。
「しかし、よくあのお父上がお許しになりましたね」
何とも言えない表情を浮かべてクロムが言う。クロムはエリスの父親とも面識があるようだ。
「そうなんです!お父様ったら最後まで私が旅に出る事は反対で・・・。だけど、エクリプス様だけでなく、ベリル陛下のお口添えもあって、こうして旅立つ事が出来ました!」
少し拗ねた様な膨れっ面で父親の事を話すエリスは、自分をいつまでも箱入り娘にしていようとする父親にご不満のようだ。クロムはそんなエリスを宥める様に言う。
「まぁ、父親とはきっとそう言うものですよ。いつまで経っても、娘と言うのは可愛いものです」
慈愛に満ちた瞳でエリスを眺めるクロムもまた、第二のエリスの父親の様であった。
「それで、この市国へはどうして?急に貴女が勇者様を連れていらっしゃると言う事で、何かあったのかと心配していたところです」
クロムは真っ直ぐにエリスを見つめてそう言った。
「それが・・・」
エリスは今でのあらましをクロムに説明をした。
クロムは一つ一つにウンウンと相槌を打って話を聞いていた。
「・・・そう言う事であれば、聖下にも一度お目通り頂いた方が宜しいでしょうね。帝国とは一部の商人達が非公式に交易を行なっているだけで、我が市国とも国交はありません。・・・しかし、帝国は、元々この市国の民であった者がこの国に馴染めずに信仰を棄てて築いた国。聖下も口には出されませんが、彼の国の民の事は気にかけていらっしゃるようですので。では、早速聖下にお目通り出来る様に手配を致しましょう」
クロムはそう言うと、王国では見た事の無い魔法具を取り出して、シエロ達の返事も聞かずに聖アイリス市国の長である、レムリア=アンジェロ=カテドラルへの謁見の手配を始めた。
「クロム猊下、それは一体何ですの?」
クロムの持つガラスの板の様な物体を、不思議そうに眺めながらエリスが訊ねる。
「あぁ、これはこの国の最新の魔法具でこの画面に文章を書くと、それをそのまま転送する事が出来る通信機なのです。後、このボタンを押すと任意の人と会話をする事も可能ですよ」
そう説明をするクロムに一同は驚きの念を隠せなかった。
そんな魔法具、見た事も聞いた事も無いばかりか、文章や声を転送出来る魔法具を作るなど考えた事も無かったからである。
「中々これが便利なのですよ。まぁついつい長話をしてしまう事もあるんですけどね」
悪戯っ子の様に笑いながらそう話すクロムは、この国のお偉いさんとはとても見えず、3人は親近感を覚えた様だった。漸く顔から緊張感が抜けてくる。
「・・・この国の職人達は随分と発想が柔軟なのですね」
やっと落ち着いて冷静さを取り戻したシエロが、感心して思わず声を漏らした。
シエロの言葉を聞いてクロムが嬉しそうに話し出す。
「ふふふ・・・。我が国の職人達もそれは素晴らしい発想と腕を持ってはいますが、この魔法具はレムリア聖下がお考えになったのです。聖下は素晴らしい統治者であらせられながら、この国一番の発明家でもいらっしゃるのですよ」
自慢気に話すクロムを見ていると、シエロ達はレムリア聖下に会うのが少し楽しみになってきた。
そして、それが叶う事になるのは、その日から2日後の事である。
※リアン聖下→レムリア聖下に訂正致しました。
また、それに伴い第10話目の「シルバー帰還」に於いて一箇所レムリア=エクリプスと書いていた物を、エクリプスと訂正をしています。
来週はレムリア聖下の登場です(^ ^)




