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魔王と側近2

すみません 。

今週も勇者サイドの話を書こうと思っていたのですが、どーしても魔王と側近の絡みが書きたくてこうなりました(>人<;)

「で、アレク様、いつまでそうなさっているおつもりですか?」

深いため息を吐きながら、呆れ顔で(とは言っても骨に表情があるわけではないのだが)アゾゼオは言った。

「んーっ?いつまでとは言わずに、僕はもうずっとこうしていたいんだけどなー」

フカフカのフェニックスの羽毛で出来た掛け布団を、身体に巻きつける様にして、ベッドに寝転んだままの姿でアレクは言った。

「やっぱりフェニックスの羽毛はいいよねー、ほんのりと暖かくってさぁ」


勇者が王国を旅立ったと言う報告を受けて尚、アレクがこんなにのんびりとしているのは、ミスティカの幻影に絶対の信頼を置いている事と、何やかんやと煩い反アレク派の者達の動向を探る為・・・と表向きには言っている。が、実際の所、ここ数日の会議やら何やらで疲れ切ったアレクが我が儘を通した結果である。


「で、アレク様、いつまでそうなさっているおつもりですか?」

先ほどと同じセリフをアゾゼオが言う。もしも骨ではなく、皮膚や筋肉が残っていたら、コメカミに青筋を立てて、きっとピキピキさせている事であろう。

「・・・ねぇ、アゾゼオ、もしかしてずっとそうしてソコにそうやって立っているつもり?」

不安そうにアレクが訪ねる。

「アレク様がこのままお戻りにならないのであれば、そうするしか無いでしょうね」

ニッコリと微笑みを浮かべながら、アゾゼオは言う。アゾゼオは骨のくせに、中々表情豊かなのである。

「・・・はぁもう分かったよ!でも今日の午前中くらいまではゆっくりさせてよね!」

今回もアゾゼオの粘り勝ちである。こうしてアレクの束の間の休みは、3日と半日で終わりを告げる事が確定した。まぁ、それでも今回は結構長く休ませて貰えた方である。


不承不承に起き出してきたアレクが、執務室へと足を運んだのは昼食を終えての事である。

「で、現況は?」

もっとゆっくりと休んでいたかったアレクは、若干不機嫌そうにアゾゼオに言う。

「はい。先ずは勇者一行の事ですが、エリダヌスから砂の道を通って我が国へ進入しようとしましたが、レディミスティカの幻影により。撃退されました」

「まぁ、そうだろうねぇ〜。あの幻影は僕でも打ち払うのは中々難しいのだもの」

机に肘をついて、顎を乗せた姿でアレクは言う。まだ若干眠そうな表情である。

「その後、一旦王国へと戻ったようですが、再びエリダヌスを訪れ、港市国行きの船に乗った模様です」

「・・・ふぅんっ」

アレクは特に興味も無さそうにその報告を聞いていた。

「因みに、マダムミスティカからの追加報告によりますと、例のお方は市国にいらっしゃるようです」

「えーっ!何でソレを先に言わないのさっ!」

アレクは驚いた表情でアゾゼオに言う。

「最優先事項は、勇者一行の事になりますので」

対してアゾゼオは、表情も変えずにサラリと言う。

「それから、ブラッド卿とマリン様はやはり何かを企んでいる様ですが、いつ、何を・・・と言う所までは」

「ふぅんっ。まぁそれは予想通りではあるね。しかし、とりあえずシルキー嬢の居場所が先に分かったのは僥倖だよ。生きていてくれて良かった」

アレクは深く椅子に腰掛け直してそう言った。

「ただ、簡単に近寄れる状況では無いと言う事と、薬か何かを使ってずっと眠らされて居るようです」

「成る程ね。それじゃあ魔力探知にも引っかからない訳だ。まぁ大体の居場所と生きて居る事さえ分かれば万々歳だよ。ずっと眠って居るって事ならやりようもあるしね」

事もなげにアレクは言う。

「ルカート様は、相変わらず森で鍛錬に励んでいらっしゃるようですが、ゾナ様は珍しくマリン様の元を訪ねられたようです」

「・・・ゾナが?うーん。面倒臭い事にならないと良いんだけどなぁ」

アゾゼオの最後の報告を聞いて、アレクは顔を曇らせた。

そして、残念ながらそのアレクの杞憂が現実になるのは少し先の話である。

来週はまた勇者サイドの話に戻る予定ですー!

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