聖アイリス市国
今週も勇者サイドの話です〜!
漸く他の国を出せました(笑)
ようやっと、物語が進んできた様に感じます(自爆)
エリダヌスの港から、海岸線近くを南下する事3日。
聖アイリス市国の港町に到着した勇者一行はそこから転移ゲートを潜り、首都カテトダルへと到着していた。白壁に紫の屋根が美しい街並みに、至る所にアイリスの花が咲き乱れ、人々は穏やかな微笑みを浮かべている。
聖アイリス市国は女神イリスを信仰する、敬虔な宗教国家である。
シエロ達は、エリスの案内で街の中心部の一際大きな邸宅へと導かれた。
エリスが呼び鈴を鳴らすと、暫くの後、藤色の長い髪の毛を優雅に纏めた男性が現れた。
「これはこれは、遠い所をよくぞお出でになりました。フロイライン エリス」
そう柔和な微笑みを浮かべて言うのは、聖アイリス市国の枢機卿 クロム=プラジオ=アゲートその人である。
「お久しぶりです。クロム猊下。わざわざ猊下自らお出迎え下さり有難うございます」
そう言って、慣れた仕草でお辞儀をするエリスは、今までの印象が嘘の様に、立派な貴族の令嬢に見えた。
「おぃ、猊下って事はこの国のナンバー2じゃねぇのか?」
「・・・ウチは難しい事は分からないっすが、何だか偉い人なんだろうなって事は雰囲気で分かるっす」
後ろでコソコソ会話をしているのは、フリントとユディである。
2人とも自分たちには場違いな所に来てしまった気配を感じ取って、落ち着きなくソワソワしている。
「おい、シエロ、いきなりこんな所に来ちまって大丈夫なのかよ?」
不安そうにフリントがシエロに声をかける。
「・・・無作法な真似をしては、国際問題になりかねない。・・・無作法な真似をしては国際問題になりかねない。・・・無作法な真似をしては・・・やってしまうかもしれない。・・・どうすれば・・・どうすれば」
壊れたラジオの様に小さな声で繰り返すシエロを見て、フリントは驚愕した。
「お、おいユディ、シエロが・・・!」
フリントは焦りながらユディに声をかける。
「あぁ〜久しぶりにこんな状態になったっすね。シエロは極度に緊張すると、めっちゃマイナス思考スイッチが入るっす。まぁそのうち元どおりになるから放っておいても大丈夫っすよ」
ユディは特に気に留める様子はなく平然としているが、フリントは頭を抱えたくなった。
シエロ本人が言っている様に、失礼な真似をしては王国と市国の関係がおかしな事にもなりかねない。ましてや市国を経由して帝国に行く事など、出来なくなるだろうと考えたからだ。
「はぁっ何で私が勇者なんかに・・・。やはり私などは田舎の片隅で、畑でも耕していれば良かったのだ・・・。私などが人の希望となるなど、過ぎた望みであったのだ・・・どうせ私なんて・・・私なんて・・・」
シエロの嘆きは続いている。
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何か色々と抱えている気はしてたがよぅ。極度のマイナス思考ってのがその一つだったとは想定外だったぜ。と言うのは、後にフリントが語った言葉である。
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「皆様、そんな離れた場所でどうなさったのですか?」
エリスが不思議そうに三人に声をかける。
「ご紹介しますので、こちらにいらっしゃって下さい」
エリスの呼びかけに、三人は恐る恐るクロムの前へと足を進めた。
「猊下、こちらが勇者選抜を勝ち抜き、この度勇者となったシエロです。そして、その幼馴染で優秀な魔導師のユーディアライト。あ、もしかしたらフリントの名前はご存知かもしれませんわね?軍の優秀な戦士であり、今は私達と共に、旅をしている頼りになるお兄さんですわ」
うふふ、と微笑みを浮かべながら、エリスが三人をクロムに紹介をする。
三人はひたすらに頭を垂れて、硬直をしていた。
「あはは、皆さんそんなに緊張なさらないで下さい。何も取って喰ったりする訳ではありませんから」
クロムは笑いながら、気さくに三人に話しかける。
「勇者様、そしてお二方もどうぞ頭をお上げ下さい」
クロムのその言葉にシエロは咄嗟に頭を上げ、「そ、そんな私など勇者様と呼ばれる程の者では・・・」と恐縮至極であった。
その様子を見て、更に楽しそうにクロムは笑顔を浮かべてた。
「さぁ、こんな場所でいつまでも立ち話も何ですので、どうぞお入り下さい」
そう言うとクロムは一行を邸宅の中へ案内した。
シエロのキャラがイマイチ定まっていなかったのですが、漸く「マイナス思考」な部分を書く事が出来ました(自爆)
まだ若干ブレブレのキャラもいますが、最初は皆、何かしら猫を被っている・・・と言う事で宜しくお願いします(>人<;)




