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導きの枝

今週もまだ勇者パートです。

暫くまたアレク様出て来ないかも、、、_:(´ཀ`」 ∠):

魔国へ入る事が出来ずに勇者一行が向かった先は、ゼオ=フォシスの家であった。


「そうか。幻術か・・・」

ゼオ=フォシスはシエロ達の話を一通り聞くと、遠い目をしてそう言った。

「じっちゃんは何か知ってるっすか?」

ユディが小首を傾げながら訊ねる。

「うむ。まぁ、ワシも聞いた話であるのだが、魔国には幻術を起こす事の出来る守護石を持つ者が居ると言う。・・・確か、幻影のミスティカとかいったかのぅ」

長い髭を撫でつけながら、ゼオ=フォシスは言った。

「で、その幻術をどうにかする方法はあるんですかねぇ?」

フリントが困った様な顔をして言う。

「・・・ふむぅ。その幻術は恐らく外からは解けぬぞ」

暫く考えた後、三人を見ながらゼオ=フォシスは言った。

「えー!それじゃあ、魔国には入る事が出来ないって事ですかー!」

今まで話を聞いていたエリスが叫んだ。

「・・・うむぅ方法が無い訳ではないが」

そう言ってゼオ=フォシスは口をつぐんだ。何やら難しそうな顔をして考えこんでいる。

「方法があるのであれば、教えて頂けませんか?我々は何としても魔国へ向かわねばなりません」

真面目な顔をしてシエロ言う。

生真面目な彼は、一刻も早く魔国へ赴かねばならぬと考えているようだった。

「・・・導きの枝があればあるいは魔国に入る事は出来るかもしれぬ」

渋い顔をしてゼオ=フォシスが言う。

「それは何処にあるのですか?」

シエロが訊ねる。

ふぅっと深く息を吸い込むと、ゼオ=フォシスはこう言った。

「帝国のオアシスに、ユグドラシルと言う世界樹がある。その枝は何処でも行きたい場所に連れて行ってくれると言う。それが導きの枝じゃ。・・・ただ、帝国は苛烈な女帝の治める国だと聞く。そこに行って無事に戻れる保障はない。それに帝国はドワーフや獣人達の住むシュンガイト山脈を抜け、エルフの森を越えた先の砂漠のオアシスにある。・・・果たして行き着く事が出来るのか・・・それすら分からぬのじゃよ。何せ、帝国に行くと言って戻ってきた人間は誰もおらぬのじゃからな」


王国と帝国とは、国交は無い。

それは先ほどゼオ=フォシスが言った様に、地理的に接点が無かった事と、帝国がまだ立国して間もないと言う事も関係があるだろう。伝統を重んじる王国にとってみれば、そんな国とわざわざ自国から交易を申し出たりする必要性を感じてはいないのである。

それに古くから交易のある、市国を介して帝国の情報は入ってくるが、あまり良い噂は無く、王国としてはこのままお互い不干渉でありたいと言うのが本音であった。


「しかし、魔国へ行くへは今の所それしか手立ては無いのですよね?」

シエロが真剣な表情でゼオ=フォシスに訊ねる。

「・・・ワシの知る限りではそうじゃな」

ゼオ=フォシスの言葉を聞いて、沈黙が流れる。

「・・・あのう。宜しいでしょうか?」

ソロソロとエリスが手を上げてそう言った。皆、一斉にエリスの方を振り向く。

「市国からは、帝国の情報が入って来るのですよね?・・・と言う事は、市国と帝国は何かしらの交流がある筈です。王国からでは正直帝国まで辿り着ける気がしません。一度、市国に行って情報を集めてから帝国に向かいませんか?それに・・・市国でしたら知り合いもいますし」

いつも何処か世間とズレているエリスにしては、真っ当な意見であった。

皆、ポカンとしてエリスを見つめている。

「・・・え?私、何か変な事言いました?」

顔を真っ赤にして焦りながらエリスが言う。

「いや、逆だ。エリスがマトモな事を言ったので、皆んな驚いちまったのさ」

ガハハと笑いながらフリントが言う。

「ううー!ヒドイですぅー!」

エリスはポコポコとフリントを叩きながらそう言った。


ともあれ、こうして勇者一行は先ずは市国へと向かう事となった。

市国は王国と同じくらいの古い歴史を持つ、宗教国家である。

エリスは一応、常識人ではあります。

ただ、箱入り娘であった為、世間一般的な常識からズレている事も多々あり・・・。

しかし、エクリプスの声がけで勇者一行に選ばれると言う事は、優秀な人材ではあるのです(笑)

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