幻影のミスティカ
本年度ラスト更新となります。
7月より書き始め、今まで続けられているのは読者の皆々様のお陰です。
本当にありがとうございます!
今回、若干端折り気味になったかもですー_:(´ཀ`」 ∠):
いつもなら、2話に分ける所を話のペースを上げる為に纏めてみました。
「アレク様、ご無沙汰しておりますわぁっ」
そう言って、所在不明だったモルガン=ミスティカがアレクの前に姿を現したのは、七つの大罪の会議の翌日の事であった。
「マダム ミスティカお帰りなさい。何か収穫はあったの?」
アレクは真っ直ぐにマダムの目を見つめてそう言った。
「あら、そんなに見つめられては、アレク様を誘惑したくなっちゃいますわぁ・・・うふふっ。まぁ、それはさておき、恐らく居場所が掴めましたわ」
目の奥に妖しい光を灯してマダムは言う。
「そう。恐らくって事は、確実に・・・って訳じゃないんだね」
アレクはマダムにそう確認する。
「はい。だって今はまだ私の目で直接確かめた訳ではありませんもの」
ニッコリと笑顔を浮かべながらマダムは言う。
「うん。わかった有難う。それだけ分かれば充分だよ」
アレクはマダムに向かってそう応えた。『私の目で確かめた訳ではない』。と、言う事は、既に<誰か>の目では確かめたと言う事だ。そして『今はまだ』と言う事は、いつでもそれが出来る準備が整っていると言う事だ。
「そうそう、マダム。この城に勇者が攻めてくるらしいんだ。『幻影』を使わせて貰っても良いかな?」
思い出したかの様にアレク言う。
「もちろんですわぁっ。ミスティカ家の守護石は既にローザに託してありますから、どうぞあの娘にお命じ下さいませ」
うふふっと妖艶な微笑みを浮かべながらマダムが言う。
「うん。有難う。既にローザにはこの城に来ては貰っているんだ。会って行くかい?」
アレクがマダムに訊ねる。
「いいえ、直ぐにこのまま発ちますわぁっ。万が一、蝙蝠にでも鉢合わせたら面倒ですもの」
大きく漆黒の羽根を優雅に広げながら、マダムは言った。
「分かったよ。マダム、気をつけてね。有難う」
アレクがマダムの片手を取り、手の甲にキスをする。
「では、アレク様。ご機嫌よう」
マダムは片目を瞑ってウインクをしてみせながら、夜の闇に溶け込んでいった。
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「・・・と、言う訳でローザにミスティカ家の守護石を使って、この大陸全体に幻影を施して欲しいんだよねー」
アレクが事のあらましを説明して、ローザに依頼する。
「了解致しましたわぁっ。しっかし、お母様も一目くらい私に会ってから行かれても良いのに!もう一体どれだけお会いしてないのか・・・」
ローザは膨れっ面でぶつくさ言いながらも、アレクの願いを快諾した。
元より、べた惚れしているアレクからの依頼を断ると言う選択肢は、彼女は持ち合わせてはいないのだが。
「ではアレク様、私は一度居城に戻って大規模幻影魔術の準備をして参りますわぁっ。ミスティックトパーズを使ってしても、流石にこの大陸全体にとなると私一人では難しいですので、妹達も連れて参ります」
ローザはアレクにそう言うと、一旦城を後にした。
そして、ローザが妹達を引き連れて、再び城に戻って来たのは一刻の後の事であった。
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「「こんにちはアレク様!ご機嫌ようっ!!」」
同じ顔の2人が、アレクに向かって笑顔でお辞儀をする。まだ幼いながらも、何処か妖艶な雰囲気を醸し出しているのは、サキュバスの血故か。彼女達はローザの妹で双子のライラとリリス。
まだ子供ながらも、ミスティカ家の一員として立派に守護石を使いこなす、幻術の使い手である。
「「今日は、私たちもお手伝いさせて下さって有難うございますなのっ!」」
2人はいつでも息がぴったりな様子である。
「ライラにリリス、2人とも宜しく頼むね」
アレクは2人の頭を撫でながら、笑顔でそう言った。ローザはそれをチラチラと横目で眺めていたが、大規模幻影魔術の準備で忙しく、また、妹達の前でアレクにまとわりつく訳にもいかず、羨ましそうな表情を浮かべていた。
アレクはそんなローザに苦笑いを浮かべながら、術式が完了した後にでも、ローザを労ってあげようと考えた。
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「さぁ、妹達!いきますわよ!」
複雑な魔法陣の中心に、ミスティカ家に伝わる守護石、ミスティックトパーズが置かれている。それを囲むように、ローザ、ライラ、リリスが並ぶ。
「「「幾星霜の時を越え、煌めきたるは幻か。遥か彼方の未来より、現れたるは幻か。光閉じ、闇よ開け。現世を包み此を隠せ。契約によりミスティカが命じる。発動せよ!大規模幻影魔術!!」」」
三人の詠唱が終わると、魔国のある北の大陸は一瞬光に包まれた。
そして、その後、深い霧に閉ざされ見えなくえなった。
勇者達がその事を知るのは、これから少し先の話である。
さてさて、どうでしょう?
のんびり気味でも、一話一話詳しく書き込んだ方が良いのか。
多少端折り気味でも、ストーリーを進めた方が良いのか。
ご希望あればメッセージかコメントお願いしますw
本年度は大変お世話になりました。
また来年も宜しくお願いいたします!




