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勇者パーティ

久々に勇者サイドの話です。

「は、初めまして!私はエリス。エリス=アゾゼオと申しますっ!!」

ペコペコとお辞儀をしながら、エリスはシエロ達に挨拶をしていた。

緩く三つ編みにした長い髪が、彼女がお辞儀をする度にぴょこぴょこと生き物の様に動く。

「・・・シエロです」

そう言って軽く頭を下げるシエロは、相変わらずの無表情で何を考えているのか分からない。

「おい、勇者っ!!シエロです・・・じゃねぇだろう?これから宜しくくらい言えよーっ!お嬢ちゃん涙目になってるじゃねーかっ!」

あまりのシエロの愛想の無さに、泣きそうになっているエリスを見ながら、フリントはシエロの頭をバシバシ叩く。

「お嬢ちゃんすまねぇな。コイツも悪い奴では無いんだが、本当愛想が無くってよぅ。俺はフリント。まぁフリントでもおっちゃんでも好きに呼んでくれ!」

豪快にガハガハと笑いながら、エリスに向かってそう言った。そんなフリントの様子に涙目だったエリスも安心した様に微笑みを浮かべた。

「にゃああああああああああっ!ウチの存在を忘れて欲しくは無いっす!!ウチはユーディアライト。ユディって呼んで欲しいっす!!シエロは久しぶり!エリスっちとフリントのおっちゃんは初めまして!どうか宜しくっす!」

大きな帽子を被った赤髪の女の子は、皆に向かって元気いっぱいにそう言った。


ここは、城内の一室。勇者選抜が行われてから数日後、勇者パーティの顔合わせが行われていた。エリスはエクリプスが連れてきた賢者である。彼女の祖父も昔、勇者と一緒にパーティを組んで魔王と戦った事がある、生粋の賢者の家系の生まれである。

彼女もまた若くして、当代一の賢者であると謳われる優秀な人物であった。


そして、ユーディアライト。彼女はシエロと同じ孤児院の出で、今では名の知れた魔導師である。数年前に『魔獣』を一撃で退けた事により、一気にその名が知れ渡る事となった。

本人は隠しているつもりだが、猫の亜人である事は人々の周知の事実であり、公然の秘密であった。一部に熱烈なファンを持ち、親衛隊まで存在する。


「さて、無事に顔合わせは済んだ様ですね。この四人で魔王城を目指して頂く事となります。一先ずはそれぞれの人となりなど知る為にご歓談などなさっていて下さい。それから、陛下が皆様を晩餐会に招待なさりたいとの事ですので、後ほど準備が整い次第お呼びに上がります」

エクリプスはそう言うと、四人のいる部屋を後にした。


「うーんっ、歓談ってもよぅ・・・。すまんなぁ。若い女の子と話す機会なんて滅多に無いもんで、気の利いた事も言えなくてよぅっ。しかもシエロはあんなんだし・・・」

フリントは申し訳無さそうに、エリスとユディに向かって言う。

「にゃはははははははっ!おっちゃん!そんな事気にしなくていいのにゃ!シエロは昔っからああだし、今更なのにゃ。それよりもエリスっち、本当に良かったのにゃ?気を悪くしたら申し訳ないのだけど、野宿とかした事無さそうなのにゃ・・・」

根っからのお嬢様育ちに見えるエリスに、ユディは心配そうな顔をしてそう言った。

「うっ・・・な、何故ソレをお分かりになるのですか?はっ!?さてはユディさんは予知さきみの持ち主であるとか!?・・・確かに野宿なんてした事はありませんし、不安もあります・・・。が、だ、大丈夫です!!いざとなれば、空間魔法で亜空間に収納してある別荘の一軒でも引っ張り出しますのでっ!!」

エリスは良い笑顔でそう言うが、野宿の度に家一軒を引っ張り出されても困りものだ。これはもう慣れてもらうしか無いだろう。

少し感覚のズレたエリスの答えに、一同は困った様な表情で顔を見合わせた。

「ま、まぁそこんとこは慣れだからよぅ。そのうち何とかなる・・・はずさ」

今回ばかりはフリントも自信なさげにそう言った。

勇者パーティは揃いはしたが、まだ旅すら始まっていないのに前途多難である。


そうこうしている間にエクリプスが四人を呼びにやって来て、王との晩餐の時間となった。

やっとちゃんとユディを登場させられました!

名前だけは結構前から出ていたんですけどねー。

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