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七つの大罪

ちょっと説明的な回になってしまったかもしれません、、、(^_^;)

翌日、城の大広間には、魔国を代表する領主達が約20年ぶりに顔を合わせる事となった。


少し、この国についての説明をしておこう。

人々に魔国と呼ばれるこの国は、世界の北端に位置する大陸に存在をしている。

今でこそ人間に『魔国』と恐れられる巨大国家と成長したが、第一次人魔大戦より以前は国としての形を成してはおらず、様々な魔族が暮らしているだけの土地でしかなかった。

第一次人魔大戦の勃発により、魔族達は相互間の協力体制を取る事となる。そして各地の有力な種族がその土地を治める領主となり、七大貴族となった。


七大貴族は『七つの大罪』とも呼ばれ、連合国に近いこの国において、巨大な力を有している。例え魔王と言えども、容易くどうこう出来る相手では無い。

『傲慢』のヴァンパイア、リオン=セプタリアン=ブラッド。『暴食』の虎の獣人、将軍-ジェネラル- シーン=タイガー。『憤怒』の狼男、ルカート=フェンリル。『強欲』のハーピー、ゾナ=ホークス。『嫉妬』のマーメイド、パール=ホワイト=マリン。『色欲』のサキュバス、モルガン=ミスティカ。そして『怠惰』の魔王、アレク=カクタス=オロウベルデ。

この7人が現在の魔国の中枢であり、絶大な権力を持つ者達である。


******************



「急な召集にも関わらず、皆、集まってくれて有難う。・・・マダム ミスティカは来ていないようだけど、定刻になった事だし、話を始めたいと思う。皆に集まって貰ったのは他でもない。もう既に知っている者もいるかと思うが、王国が勇者を立てた。このままではそう遠くない未来に、勇者一行は魔国の領土を犯し、この城へと攻め込んでくるだろう。どうすれば被害を最小限に抑えることが出来るか、皆の忌憚ない意見を聞きたいと思う。遠慮なしに話してみて欲しい」

いつも眠そうな顔をして、飄々としているアレクが、珍しく真面目な顔をして一同に呼びかける。

「ははははっ!片腹痛いですな。被害を最小限に?そんな甘っちょろい事を言っているから、王国なんぞに舐められるのです。直ぐにこちらから討って出て、我らに楯突く愚か者など滅ぼしておしまいなさい」

ブラッド卿が何とでも無いと言う様に言い放つ。

「そうね。ブラッド卿の言う通りだわ。可愛い妹を誑かした穢らわしい人間なんて、全て滅んでしまえば良いのよっ!!」

美しい顔を憎々しげに歪めながらそう言ったのは、ブラッド卿に次ぐ有力者であり、七つの大罪の中で1番古い歴史を持つ、マーメイドのパール=ホワイト=マリンであった。

昔々、彼女の妹が人間に恋をして、その恋を叶える事が出来ずに泡となって消えてしまったのが今でも許せないらしい。

「・・・・・・・・」

狼男のルカート=フェンリルは腕を組んで微動だにせず、ただ話を聞いている。

「ブラッド卿の言う様に、鬱陶しい事この上ない人間どもなど打ち滅ぼしてしまえれば楽だとは思うが、どうせお前はソレを良しとはしないんだろう?」

面倒臭そうな顔をしてそう言うのは、虎の獣人であり、魔国の軍隊を率いる将軍ジェネラルシーン=タイガーである。彼はアレクの親友であり、七つの大罪の中でアレクが唯一心を許す者でもある。

将軍ジェネラルシーンの問いかけに、アレクは困った様な微笑みを浮かべてそれに応えた。

とりあえず、皆の意見を聞くまでは、自分の考えを話すことを差し控えているらしい。

「アタシは楽しければ何でもいいや!アレク様にお任せでいいよっ!」

場違いな眩しい笑顔を浮かべてそう言ったのは、ハーピーのゾナ=ホークス。彼女は基本的に人間に対しても魔物に対してもこれと言った感情を持ってはおらず、自分が楽しければそれで良いと言うスタンスの様だ。

「・・・・・・・・・・」

ルカート=フェンリルは相変わらず微動だにしない。

「ねぇ、ルカート、アンタも何か言いなさいよ」

石の様にただ座っているだけのルカートに、呆れてゾナが言うが、ルカートはチラリと目だけを動かして一瞬ゾナを見ただけで、無言のままである。ゾナは諦めた様に溜息を吐き、首を振った。

「・・・まぁ、ルカートはいつもの事だから」

ポリポリと頭を掻きながらアレクが口を開く。

「しかし、やっぱり交戦派の方が今の所多い様だねぇっ・・・」

一同を見渡しながらアレクは言った。

新規の登場人物も多かったので改めて簡単な『七つの大罪』のご紹介をば。


『傲慢』のヴァンパイア、リオン=セプタリアン=ブラッド

北を治める筆頭貴族。血統第一主義で他種族を見下している。

第一次人魔大戦が終結して以降ヴァンパイア族は他種族との交流を持たず、ほぼ独立国といった感じで魔国に存在していたが、数百年前に起こった第二次人魔大戦以降、再び他種族とも協力体制を深め、当時からの領主であるブラッド卿は筆頭貴族の立場にまで登り詰めた。

アレクに対してあまり良い感情を抱いておらず、何かを画策している様だが、未だその真意は不明である。


『暴食』の虎の獣人、将軍-ジェネラル- シーン=タイガー

アレクの数少ない友達の内の一人。中でも親友と呼べるのはシーンの他には一人しかいない。

魔国の西を治める領主であり、魔国の軍隊を率いる将軍でもある。西の土地は干潮時に唯一人の住む大陸と陸続きになる事から、守りの要とも言える。ちょくちょく攻めてくる人間たちを鬱陶しいと思いながらも、アレクの意思も分かっているので、勝手な事はしようとしない。


『憤怒』の狼男、ルカート=フェンリル

とにかく無口で謎の多い男だが、部下には慕われている様子。

北東の大森林を治める領主である。


『強欲』のハーピー、ゾナ=ホークス

楽しい事が大好きな楽天家。面倒臭がりなところはアレクにも似ている。

南を治める領主であり、レディ ミスティカ(ローザ)とは幼馴染の親友である。


『嫉妬』のマーメイド、パール=ホワイト=マリン

七つの大罪の中で、1番古い歴史を持つ家柄で、南東の突き出た半島の領主をしている。

彼女の居城である龍宮は海の中にあり、半引き篭もりの生活をしていて陸に上がってくる事はめったにない。

やられた事はいつまでも忘れない、少しねちっこい性格である。


『色欲』のサキュバス、モルガン=ミスティカ

本文にはまだ登場していないが、レディ ミスティカ(ローザ)の母親で、奔放な性格をしている。

常闇の女王。


『怠惰』の魔王、アレク=カクタス=オロウベルデ

言わずもがな、この物語の主人公の一人。

基本的に面倒臭がりの気の良いお兄さん。

ちなみにアレクの治めている土地は、魔国の中央部分。1番大きな領土を持っています。

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