不穏
今週もまた、先週のやり取りの続きであります!
相変わらずブラッド卿は嫌味を忘れません(笑)
「・・・と言う訳で、どうやらシエロとか言う若造が勇者に選ばれたようです。しかし・・・ご自慢の親衛隊は一体何をなされていたのやら。宜しければ私の優秀な蝙蝠をお貸し致しますぞ?」
ブラッド卿が事の顛末をアレクに報告をする。途中チラリとアウインの顔を見て、煽る事も忘れない。
「・・・ふぅん。そっか。報告ご苦労様。まぁ蝙蝠については検討しとくよ。優秀な諜報員は多いに越したことは無いからね。とりあえず他の幹部にも召集をかけるから、今日はもう部屋に下がってしまって構わないよ」
そう言ってアレクはブラッド卿に、城内の自室へと下がるように促した。
「畏まりました。また何かございましたら何なりと。直ぐに駆けつけます故」
ニッコリと笑顔を見せて、ブラッド卿は玉座の間を後にした。
「きぃぃぃぃぃぃぃーっ!むっかつくぅーっ!何なのあのオヤジ!何なのっ!!ワタクシに何の恨みがあるって言うのよぉぉぉーっ! !」
ブラッド卿が退室した後、ローザが叫んだっ。
「レディミスティカ、どうか落ち着いて下さい。ブラッド卿に聴こえますよ」
困った様な目をしてアウインがローザをたしなめる。
「聴かせてやればいいのよ!あんの蝙蝠男っ!!って言うか、貴方も貴方よアウイン!!親衛隊がバカにされて悔しくないの?」
ローザが今度はアウインにくってかかる。明らかに八つ当たりである。
「まぁ、彼の言う事も事実ではありますし・・・」
対してアウインは、申し訳なさそうに呟いた。
「ローザ、まぁその辺にしといてあげてよ。親衛隊には別の任務をお願いしていたからさ。しかし・・・勇者を立てられるとは想定外だったよ。何でいきなりそうなったの!って感じだし。何せ僕は、上手くいけば平和的に不可侵条約でも結べるかもしれないと、少しだけ思ってはいたからね。それについては僕の考えが甘すぎたみたいだ」
アレクは自嘲気味に笑いながらそう言った。
「・・・そんな事っ!!」
ローザは慌てて否定をしようとするが、構わずアレクは続ける。
「はぁぁっ。ブラッド卿が何を企んでいるのかはまだ分からないけど、ちょっと僕には危機感が無さすぎたみたいだ。まさか卿が王国にまで人脈を伸ばしているとは思ってもいなかったよ」
深い溜息を吐きながらアレクが言う。そして、その言葉にアウインも同意する様に頷いた。
「どう言う事ですの?」
ローザは一人、解せぬと言う様に首をかしげる。
「恐らくブラッド卿は、今回の事を事前に知っていたんだ。でないとこのタイミングでそんな事分かる筈が無い。恐らく今回の王国軍の侵攻の後に勇者を立てると言う事は、その前から既に決定されていた事だったんだ。本当に侵攻が終わってから勇者を立てる事が決まったのであれば、その情報はもう、僕の耳にも入っているはずだからね」
アレクの言葉にまだローザは困惑した表情を浮かべている。
「・・・問題は王国の誰と繋がっているかですね」
アウインは厳しい表情を浮かべてそう言った。
「そうだね。・・・シルバーも恐らく、この事は知らなかったみたいだし、内通者はもっと国の中枢の人物であると考えるべきだろうね」
アレクはシルバーの顔を思い浮かべ、王国も王国で色々と大変そうだなと考えながらそう言った。
「まぁ兎に角だ、急ぎ皆を城に集めよう。これから忙しくなるよ」
アレクは2人に向かってそう言うと、アゾゼオを呼び、大至急城に各地の領主達を呼ぶように手配をかけた。
「・・・しかし、何でこうなるかなぁ。・・・別に僕は、誰と戦いたい訳でもないのに」
アレクのそんなそんな呟きは、誰に聴こえる事も無かった。
お察しの通り、来週もまた続々と新キャラ登場であります!
最終的に登場人物何人になるの?って感じです((((;゜Д゜)))))))




