第四試合 前編
第四試合が開始されました!
作者的に随分長く試合をしている様に感じますが、まだ第四試合なんですよね(。-_-。)
「フリント君の治療にはまだ少し時間がかかりますので、次はお二人に戦って頂いてもよろしいでしょうか?」
エクリプスはシルバーとシエロに向かってそう言った。
「・・・問題ありません」
シエロがそう言うのを見て、シルバーもエクリプスに向かって頷いた。
「では、これより第四試合を開始します。始めっ!」
もう聞き慣れたエクリプスの号令より、第四試合は幕を開けた。
シルバーがシエロ目掛けて突っ込んで行く。彼にしては珍しい先制攻撃である。かなりの速さで上段から斬りかかる。
唐突な攻撃にシエロは体勢を崩しながらも、それを受け流して横薙ぎにシルバーへと斬りかかった。
シルバーもまた、シエロの攻撃を巧く躱して、更なる攻撃を仕掛けていく。
両者どちらも譲らず、一進一退が繰り返されている。
「こりゃぁすげえな・・・」
治療を終えたフリントが戻って来て、2人の戦いを見てそう言った。
「シルバー様が凄いのは分かってるけどよぅ。あの顔色の悪いの。エクリプス様はどこで見つけてきなさったんだろう・・・?」
フリントがそう思うのも当然の事であった。シルバー程の実力者と互角に剣を交える事ができるであろう人物など、この国にそう多くはいない。
軍属にあり、それなりの実力者であるフリントには各地の強者の話も当然入ってくる。
その中に「シエロ」と言う名前が出て来た事は一度たりとも無かった。
「エクリプス様の、隠し玉ってところかねぇ」
両腕を組んで2人の戦いを眺めつつ、フリントはそう呟いた。
キンキンと甲高い金属が交わる音が、試合開始から休む間も無く延々と続いている。
シルバーもシエロも息切れ1つせずに、剣技を繰り出している。
既に数十分にもなろうとしている攻防に、周囲は目を離すことが出来ずにいた。
シルバーもシエロも守護石や魔法を使おうとはしない。いや、使う事が出来ないのだ。
スピード、剣技による2人の実力は拮抗していた。隙を見せればやられる。そんな思いが2人の間に流れていた。
「こりゃあ、体力勝負かねぇ」
呆れた様にフリントが呟いたその時、先に仕掛けたのはまたしてもシルバーの方だった。
シエロの上段からの攻撃をくぐり抜ける様に躱して距離を取り、こう叫んだ。
「雷撃魔法、神なる雷の黄金剣っ!!」
うねりを帯びた雷撃がシエロに向かって襲いかかる。シエロはそれを避けようともせず、あろう事か剣を鞘に収めた。
「武具召喚、雷霆ケラウノス!!」
シエロはバリバリと雷を発する、翼のついた杖の様な武器を召喚した。そしてその杖でシルバーの雷撃を吸収し、撃ち返す。
ズッガァァァァァァーンッ!!!
シエロの放った雷撃は、シルバーにまともにぶち当たったかの様に見えた。轟音と共に、白煙が上がる。 召喚を解除し剣を握り直したシエロは、煙が晴れるのを待たずにシルバーに向かって突っ込んでいく。
金属と金属のぶつかり合う音から、シルバーが無事である事は伺えた。
しかし、煙の晴れる様子は無く、周囲からはどんな戦いが繰り広げられているの見る事は出来ない。
「ふぅっ・・・。これではまた見学の意味がありませんね・・・」
軽くため息をついたエクリプスが杖をかざすと、突風が巻き起こり、あっという間に立ち込めていた煙を吹き飛ばした。
「なんじゃこりゃぁっ・・・」
フリントは思わず驚愕の声をあげた。
煙が晴れ、視界に飛び込んで来たのは至る所から血を流す、傷だらけのシルバーだった。
精悍な彼の顔が、心なしか歪んでいるかの様に見える。
対するシエロは相変わらず血色の悪い、あまり表情の無い顔をしていた。
フリントはそれに、一種の気味悪さの様なものを感じた。
「さっきのカイトの坊ちゃんもそうだけどよぅ・・・あいつも大概かもしれんなぁ」
シエロを見つめながら、フリントはそう呟いた。
今回も2話連続更新となります。




