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第三試合 後編

今回でフリントvsシルバーの決着がつきます!

正々堂々、正面からのぶつかり合いです!

「大いなる大地の恵み。古なる守護石よ!我に力を示せ!!」

このままではまずいとフリントも守護石の力を使う。地鳴りが起こり、大地が揺れる。知らない者が見れば魔法だと思ったかもしれない。しかし、フリントは魔法が使えない。この技はフリントの絶え間ない研鑽と、大地の結びつきが強いフリントストーンだからこそ使える技であった。守護石をただ持っているだけでは、その力を使いこなす事は出来ない。鍛錬を積み、守護石の力を引き出すのは持ち主自身であるのだ。

急な大地の揺れにより、シルバーは一瞬態勢を崩した。そこにすかさずフリントが上段から斬りかかる。重い一撃をくらい、片膝をつきながらシルバーは受け止める。

ギリギリと金属の軋む音が聞こえ、シルバーも苦しげな表情をする。

弾け飛ぶ雷獣の咆哮(プラズマスパーク)っ!!」

このままの状態で跳ね返す事は不可能であると判断したシルバーが魔法を放つ。雷による閃光が弾け、電撃がフリントを襲う。

思わず手を緩めたフリントの大剣を弾いて、シルバーが雷を帯びたロングソードで斬りかかった。先ほどの閃光により、目を潰されたフリントは上手くその攻撃を躱す事が出来ずに、左腕にやや深くシルバーの斬撃を受けた。しかも、雷により左腕全体が痺れ、大剣を握る事は難しい。右手のみで大剣を構えながら、フリントは後ずさる。

薄っすらと目を開け、シルバーとの距離を測る。そして、片手で思いきり大剣を振り抜き、あろう事かその勢いのまま、シルバーに向かって投げつけた。

戦士が剣を手放す事など通常ならばあり得ない。シルバーは面食らって、初動が遅れた。寸での所で大剣を躱すが、腹部に強烈な衝撃を受けた。

大剣に気を取られていたシルバーに一気に近づき、フリントが拳での一撃を叩き込んだのだ。


「ぐぁっ・・・!」

シルバーから、思わず呻き声が上がる。身体を折ったシルバーの顎に、フリントは追撃を加える。シルバーはその一撃により弾け飛び、地面に叩きつけられた。

フリントははぁはぁと息を切らせながら、大剣を取りにいきつつそれを眺める。先ほどのシルバーの斬撃が思いの外ダメージを与えているようだ。

重い沈黙が流れた。シルバーに土をつける者がいるなど、誰が考えていただろう。

それほどまでにシルバーはこの国にとって大きな存在であったのだ。

沈黙を打ち破ったのはその原因となった、シルバー本人であった。

「・・今の・・・一撃は・・効きました」

苦しげな表情で少しふらつきながらも、ロングソードを支えにしてシルバーが立ち上がる。

「・・・やっぱり、あのくらいじゃ・・駄目でしたか」

こちらも息を切らせて、フリントが応える。

2人は相手の様子を推し測りながら、ゆっくりと剣を構えた。お互い、相手を見つめたきり動き出す様子はない。

先ほどとはまた違った、痛い程の沈黙と緊張がその場を包み込む。


先に動いたのはフリントであった。重心を低く取り、脇を固め、突き出す様に剣を構えて突進する。その姿は重戦車の様で、まともにくらえばフリントよりも軽量のシルバーはひとたまりもないだろう。

対するシルバーはロングソードを鞘にしまって手をかけたまま、フリントを正面から見据え、微動だにしない。誰もがそんなシルバーの姿を無謀に思った。

フリントの必殺の重攻撃がほんの鼻先にまでに迫る。シルバーはギリギリの所までフリントの剣筋を見つめると、僅かに身体を動かしてそれを躱しつつ、抜き付けでフリントを切り抜いた。

フリントの右脇腹から血が噴き出す。あまりの剣撃の鋭さに、何が起こったのかを理解する者はほんの僅かしかいなかった。

フリントは右手で脇腹押さえると、その場にドサリと崩れ落ちた。


「誰か!早く回復魔法を!!」

シルバーの一言により、慌てて救護班がフリントに回復魔法を施す。

「すまぬ・・・。手加減出来なかった」

シルバーは急いでフリントに近づき、申し訳なさそうにそう言った。

「・・・いや、・・だい・じょうぶ・・です。・・・・むしろ・・シルバー様が・・本気で・・戦って・下さった事を・・・誇りに・・思い・ますよ」

フリントは苦し気に顔を歪めながらも、何とか笑顔を浮かべてシルバーにそう言うと、意識を失った。戦い抜いたその表情は、満足気なものであった。


こうして、第三試合はシルバーの勝利によって幕を閉じた。

次週、第四試合が始まります。

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