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第三試合 前編

第三試合の開始です!

「さて、第三試合はどうしましょうかね。回復魔法をかけたとは言え、シエロ君は戦ったばかりで疲れているでしょうから、出来れば他のお三方の内で第三試合は行いたいと思うのですが」

エクリプスがそう三人に向かって話しかける。

「では、まだ一度も戦ってはいない我が戦いたいと思うのだが?」

シルバーが2人向かって声をかける。

「異存はありませんよ。どうするよ、金髪の?」

フリントがアルトに問いかけた。

「・・・私は構わん。それに私もここで棄権したいと思っている。エクリプス様、宜しいでしょうか?それはそれと筋肉達磨!私にはアルトと言う名前がある!!金髪のはやめてくれ」

熟考の末、アルトは自らも棄権をすると言い出した。フリントとの戦いに於いて、自分の力不足を痛いくらいに感じていたのだ。

「それがアルト君の判断でしたら構いません。また精進して下さい」

エクリプスは珍しく微笑みながらアルトに向かってそう言った。

「がははっ!悪い悪いアルトよ。つい、ついな!!」

フリントが楽しそうに、豪快に笑い声を上げる。

「分かりました。それでは第三試合は我とフリント殿で宜しいですね?」

シルバーは2人のやり取りを微笑ましく見つめながらそう言った。

「よっしゃーっ!願ってもない!よろしくお願いしますよ、シルバー様!!」

こうして第三試合はフリントvsシルバーで戦う事に決定した。


「それでは、只今より第三試合を開始します。始めっ!!」

エクリプスの号令によって、練兵場は今までとは少し違った雰囲気をかもし出す。

シルバーはこの国の兵士達の憧れの存在である。その戦いが目の前で観れるのだ。その幸運に興奮しない兵士はいなかった。それは戦うフリント自身も同様である。

「いやぁー嬉しいですねぇ。シルバー様と戦える日が来るなんて!」

如何にも嬉しそうにフリントが言う。

「そう言って貰えて、我も嬉しく思います」

シルバーもそれに笑顔で応える。

「遠慮なしでお願いしますよ!」

大剣を構えながらフリントが言う。

「勿論です」

シルバーもロングソードを構えながら、そう応える。

「「では、勝負っ!!」」

少しの間の後、2人の声が重なった。見た目や性格に違いはあれど、その気質はよく似た2人であった。ただひたすらに真っ直ぐで純真。己を鍛える事に於いて妥協は無かった。


ガッキィィィィィンッ!!!!


剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。ギチギチと鍔迫り合いを繰り広げながら、2人は一歩も引かない。 純粋な力と力のぶつかり合いである。

「シルバー様、貴方のお父上も強かった!」

大剣に力を込めながらフリントは言う。まだフリントが若かった時分、一度だけシルバーの父親の手ほどきを受けた事があった。そしてその際に、息子のシルバーの話も聞いていた。まだ10歳にも満たない少年が恐るべき才能を示していると。

「あの時から、ずっと貴方様と戦ってみたかった!ようやく20年越しの夢が叶いましたよ!」

フリントは更に力を込めて、ジリジリとシルバーを押しながらそう言った。

「あぁ!フリント殿、貴方でしたか!」

シルバーもまた、父より凄腕の少年兵の話を聞いていた。将来はきっとこの国を支える戦士になってくれるだろうと。

シルバーはフリントに押されながら、一歩一歩後退してゆく。純粋な力と力のぶつかり合いは、僅かにフリントの方が優勢のようだ。このまま壁際まで押し込められてはまずいと、フリントの大剣を受け流し、シルバーは少しの距離を取った。

「力だけでは、貴方には勝てないようですね。それでは、魔法も使わせて頂きます!駿足の烈風(マキシマムスピード)!」

シルバーは自らに強化魔法をかけると、フリントとの距離を一足に縮め、左肩目掛けて必殺の突きを放った。

「うおっ!流石はシルバー様っ!怖いですねぇ!」

フリントは恐るべき身体能力でシルバーの突きを躱すが、完全には避けきれず、切っ先が僅かにフリントの左肩に傷をつけた。

そのままシルバーは更に、前へ前へとフリントに斬り込んでいく。その素早い剣技は他に類を見ない。フリントは辛うじて斬撃を受け流しながら、反撃の様子を伺っている様だ。

「神聖なる生命の守護石よ!我に力を与えよっ!」

シルバーは畳み掛ける様に守護石の力を使う。彼の守護石はシルバールチル。危険を察知し、生命力を高めてくれると言われている。これにより、シルバーの斬撃のスピードが更に上がった。

大剣使いのフリントにとって、スピード勝負は不利な戦いであった。彼の表情から余裕が消える。まだ決定打となる攻撃はくらってはいないものの、徐々に至る所に切り傷が増えていいった。そしてこのままの状態であれば、ジリ貧となってしまうのは火を見るよりも明らかであった。

間延びするのを防ぐ為、今回は前編、後編一気に更新しています。

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