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候補者四人

漸く勇者候補が出揃いました!

が、まだ勇者メインの話を書くまでは暫くかかりそうです(^^;;

「エクリプス様、では俺が立候補させて頂きます!」

そう言って手を挙げたのは、筋肉隆々で大柄な坊主頭の男であった。

「おや、君は確かフリント君ですね。確かに貴方なら頷けます。しかし・・・厳しい戦いになると思いますよ?」

手を挙げた男の事をエクリプスは見知っていたようだ。

「あはは!俺が魔法を使えないからですよね。そんな事百も承知です。しかしエクリプス様程の方に俺を覚えて頂いているとは光栄な限りです」

フリントは快活に笑うと、エクリプスにそう言った。

「良いでしょう。他に誰かいませんか?」

エクリプスは頷いた後、兵士の方を向き直してそう言った。しかし、今度は誰も動く気配はない。

「では立候補者はフリント君だけですね。それでは勇者選定の説明に入ります」

静まり返った練兵場に、エクリプスの声だけが響いた。


「エクリプス様、選定はどのように行うのでしょうか?」

待ちきれないとでも言う様に、ブロンドの少年、アルトが言った。

「それは単純です。皆様にはこれから総当たりで戦って頂きます。そして、1番勝利の多かった者が勇者となります」

「なるほど、それは明確で分かりやすいですね」

緑髪の若者、カイトが頷いた。

「シルバー様は戦わないのかい?実は俺はシルバー様と戦ってみたくて立候補したのだが」

笑顔を浮かべながら、坊主頭のフリントがそう言った。

「・・・そうですね」

エクリプスは少し考えを巡らせているようだ。

「私は別に構いませんよ」

実の所シルバーも彼らの実力がどの程度のものか興味があった。もしも自分に負けるようであっては、魔王アレクと渡り合う事も不可能であろう。ともすれば、それを理由に勇者を立てる事を阻止出来るかもしれないと思っていた。

「そうですか。シルバー様がそう仰るのであれば、一緒に戦って頂きましょう」

エクリプスは満足気に微笑むと、シルバーに向かってそう言った。彼もまた、勇者候補達の実力を試すのに良い機会だと思ったようだった。

「ルールはどうなりますか?何でも有りとはいきませんよね?」

カイトがエクリプスに訊ねる。

「基本的には何でも有りなのですが、相手の命を奪う事は禁止します。剣技であれば、峰打ちを。魔法であれば即死系の魔法以外は何でも使って頂いて構いません」

「分かりました。有難うございます」

カイトが丁寧にお辞儀をする。

「もしも試合を残して戦闘不能になった場合はどうなるんだい?」

フリントが疑問を口にした。

「その場合は戦闘不能に陥った時点で脱落となります」

「相手を戦闘不能にしていけば、戦う回数を減らす事が出来るのか・・・」

今まで一度も口を開いていなかったシエロが小さく呟いた。それを聞き逃さなかったアルトがシエロに鋭い視線を送った。

「他に質問はありますか?」

エクリプスが皆を窺いながらそう訊ねた。しかしもう誰も何も言う気はないようだった。

「それでは他に質問が無ければ、組み合わせの抽選に入ります。宜しいですね?」

エクリプスのその言葉に、候補者四人とシルバーは静かに頷いた。


「お、なんだい。俺は金髪の坊ちゃんとかい」

フリントが少し不満そうに呟いた。

「何?私が力不足とでも言いたいのか?この魔法も使えない筋肉達磨が!」

フリントの不満気な言葉を聞いて、アルトが噛みついた。中々に喧嘩っ早いようだ。

「おっと、すまない金髪の。そう言うつもりでは無いんだ。ただ俺は早くシルバー様と戦ってみたくてな」

フリントはそんなアルトを意に介さず、笑顔でそう答えた。

「ふんっ。では私が後の事など考えなくても良い様に、貴様を戦闘不能にしてみせよう」

アルトはフリントを睨みつけながらそう言った。

「おお、そりゃ恐いねぇ。まぁ何とか頑張るさ」

フリントはアルトの挑発に乗ることなく、大人の余裕でそう返した。


「あちらは何やらヒートアップしている様子ですね。どうぞお手柔らかにお願い致します」

カイトは笑顔を浮かべ、シエロに向かって手を差し出した。

「・・・どうも」

おずおずと手を差し出し、シエロもそれに応える。ぎゅっと固く握られた右手に、何か違和感の様なものを感じたが、シエロにはその正体までは分からなかった。

まぁ、コミュ症な自分が握手なんてしているのだ。違和感の一つも感じるだろうとシエロは自嘲的に考えていた。そもそもこんな所にいる事が自体がきっと何かの間違いなのだ。

「・・・はぁっ」

シエロは思わず、深いため息を吐いた。


「結局、我の出番はまだ無しか・・・」

少しだけ残念そうにシルバーは呟いた。

「ご不満ですか?」

その声を聞きつけてエクリプスが言う。

「いや、そんな訳では無いのですが・・・せっかくなので早く彼らと戦ってみたかっただけです」

シルバーは笑顔でそう言った。彼は根っからの戦士であった。強者と剣を交える事は己の成長の為にも欠かせないと思っていた。しかし、国1番の強者と名高い彼の相手になる者は、滅多には出てこない。が、この場には自分と互角かそれ以上に戦ってくれそうな人物が四人もいるのだ。戦士としてこれ以上にワクワクする場面など中々に無いだろう。

「まぁ、焦らずとも総当たり戦です。これから幾らでも戦えますよ」

エクリプスは戦いたくてウズウズしているシルバーにそう声をかけた。

お待たせしました!来週からは候補者達のバトル回となります!

先週のオマケはどうでしたか?

評判良ければこれからちょくちょくと、後書きにオマケの番外編入れていきたいと思います。

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