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筋肉トレーニング  作者: うらなげん
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一日目

私は決意した。

 筋肉トレーニングを始めたのはボディビルダーに憬れたとか、格闘技が好きだとか、女性に好かれたいと思って始めたのではない。自分を守るため、自分の行動を妨げられたくなかった。ただ一人本を読んでいたかった。

 本を読むのが好きで、何かを知るという行為が大好きだった。四六時中本を読んでいると、気がついたときには眼鏡をかけることになっていた。外で動くことが減っていく内に、服のサイズが1つ、2つと上がっていた。友人と遊ぶ時間が減っていき、中学に入学する時期が来ると友人は周りからいなくなっていた。それで良かった。本を読み自分の世界に浸るのが好きだった。友人とともにいる時間に感じた微かな苛立ちは、気づけばなくなっていた。

 典型的な文科系。虐められる材料は揃っていて、このままだと暗い青春を過ごすことになっていただろう。私は決意した。自分を守るために、誰にも邪魔をさせないために強くなろうと。苦渋の決断であった。胃が痛くなり血を吐くほどだった。

小学6年の冬、その時から私の筋肉トレーニングは始まった。

 朝起きて本を読み、朝ご飯を食べて本を読み、学校に向かいながら本を読み、授業中に本を読み、給食を食べながら本を読み、授業中に本を読み、下校中に本を読み、家に帰ったら本を読み、晩御飯を食べながら本を読み、風呂に入りながら本を読み、寝る直前まで本を読み、夢の中でも本を読んでいた日常が崩れていった。

 本を読んだ知識で筋肉トレーニングのメニューを作った。ランニングなどは行わないことにした。私が作りたい体は格闘技に使うものではなかったし、長時間かかるものは本を読む時間を削ることになってしまうからだ。私が鍛える筋肉は大まかに背筋力、握力、脚力、胸筋、腹筋などに決めた。いわゆる細マッチョなどの見せる筋肉などではなく、敵の攻撃を耐えきり、敵にダメージを与えるのに適した体を作ることにした。

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