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第6章 大空翔とペガサス

龍神隊はその後、敵国ドラールへ乗り込んだ。

戦いはさらに激しくなっていく。

一番活躍をしているのは、やはり龍一だ。

常に皆の前線で戦い多くの敵兵を殺した。

「なんだ!あの小僧は!?まるで死神…」

だが龍神隊にも多くの戦死者が出た。

そして、隊長の近藤が胸を撃たれ、さらに首にも銃弾が当たり、戦死した。

龍神隊は悲しみを抑え、その場にいた兵士たちを次々に殺していく。

「次はあの餓鬼だ!」

と、敵の司令官が指示した。

一人の敵兵が、龍一に向け銃を撃ったが、刀で弾を跳ね返し、相手の脳に撃ちかえして殺した。

これは水神流の業の一つで、業名は「だん」と云う。

跳んできた弾を刀で返し、相手の脳や心臓などに弾を撃ちかえして、殺す技だ。

「な、なんだあの小僧は…やはり死神なのか?クソッ!退け~!!死神が出た!!」

残った十数人の敵兵たちが逃げていった。


「近藤さん…まだまだこれからだっていうのに…」

土方がそう言うと、龍一に龍神隊の9代目隊長となってほしいと言った。

他の隊士たちも皆賛成している。

龍一は皆の期待に応え9代目隊長となった。

そして龍一が隊長となって初めて命令した言葉は

「今生きている奴らは死ぬことは許さん!必ず生きろ!」

この言葉が龍一の最初の命令だ。

だが、現実は甘く甘くはない。

その一か月後に原田が背中から撃たれた。

それでも原田は戦い続けた。

だが、その後敵に腹や胸をに銃弾を浴びた。

その場にいた敵兵士を半分以上龍神隊は壊滅し、ほかの敵兵は逃げて行った。

原田はかなり危険な状態だった。

「原田さん!」

と、言いながら龍一は倒れた原田を抱き上げた。

「す、すまね~ハアハア……隊長…ハアハア……お、俺はアンタの命令に背くことになっちまった」

「な、何を言っている。まだ、生きているじゃないですか!」

「た、隊長……俺はアンタやみんなと共に戦えたことを……誇りに…うっ…思って…いる」

「兄さん…原田隊士!」

原田には8つ下の弟がいた。

名は原田佐助(23)。

「ハアハア…佐助…お前は…生き延びろよ」

そして原田は龍一の「今生きている者は死ぬことは許さん!」という命令に背いたことを龍一に詫びて、原田はついに息絶えた。

翔は涙を流した。

「佐助…すまない。俺が弱いばかりに、お前の兄を死なせてしまった。俺の方こそう詫びていいのか…」

「隊長!兄は国のために義に殉じました!詫びなんかよりも、兄を誉めてやってください」

「ああ…」

涙を拭き、悲しみを堪えて、龍神隊はさらに戦いを続けた。

だがその後も多くの兵士が散って逝った……


そんな中、ドラール王国軍魔法部隊が龍神隊と激突。

この隊長を務めていたのが、あのキラーマンと名乗っていたキリトだ。

この時の龍神隊はもう147人しかいなかった。

それに対して敵の魔法部隊は2000人以上…

土方は玉砕覚悟で特攻すべきだと言ったが、龍一は当然反対した。

龍一はまず一人で突撃し、敵の数を減らし、隊長を殺せば指揮が弱まりその隙に全員で猛攻撃という作戦を提案した。

当然隊士たちは反対した。

「隊長一人で突撃するのは無理です」

「だが、一人で攻め奴らを多く殺し、隊長を殺さなければ、奴らの指揮は下がらない」

「なら私が」

沖田がそう言ったが龍一は、「皆には待っている家族がいるが俺にはもういない。だからと言って死ぬつもりはない。死んだ仲間のためにも俺を幼い頃守ってくれた姉さんたちのためにも、生き延びる覚悟で突撃する」

そう言って龍一は一人で敵地に乗り込んだ。

「なんだ?」

敵の兵士が龍一に気が付いた。

「あれは死神!」

「うおおおおお!!!!」

龍一は2000の魔法部隊相手に怯むことなく突進していった。

魔法部隊の激しい攻撃の中、龍一は多くの兵士を殺していった。

「な、なんて奴だ!」

「お前らは手を出すな!俺がる。行くぞ!死神!」

「うおおおお!!!!」

激しい戦いの中、龍一はキリトの間合いに入り、水神流奥義龍神を放った。

本来なら、体中の骨が砕けて倒れて動けなくなった所をとどめをさすのだが、キリトは倒れなかった。

だが、龍一の攻撃は止まらない。

水神流の秘剣鎌鼬でキリトの胸を斬り、キリトはそのまま崖から落ちた。

この時龍一はキリトを殺したと思っていたが、3年後に二人は再び戦うこととなる。

「隊長が殺された」

「あいつはやはり本物の死神だ!」

兵士たちの闘争心が弱まった。

「退却だ!」

魔法部隊は退却しようとした。

「攻撃が止んだ!龍神隊突撃!」

「おおおお!!!!」

待機していた龍神隊が魔法部隊を壊滅させた。


この時の龍神隊の死者は0人

重傷者は神威龍一のみで、あとは軽傷程度だった。


それから2か月後…

将軍ジェネラルお逃げください。死神率いる龍神隊がすぐそばまで来ています」

「馬鹿者!多くの兵士が死んで、ワシだけ逃げれるか!最後まで戦うぞ!」

「はっ!」

将軍が龍一たちの前に現れた。

「ワシはノブナーガ将軍だ!」

「俺は龍神隊9代目隊長、神威龍一」

「まさか、お前のような小僧が死神だったとは…死神覚悟!」

銃で龍一を撃とうとしたが、龍一はすでに将軍の間合いに入り、奥義龍神を使った。

将軍は倒れた。

「ぐわ~!!!!!」

「将軍!何か言い残すことはありますか?」

と、龍一が聞くと将軍はこう答えた。

「何もない。早く死んだ部下たちのところへ連れて行け」

龍一は一礼をして将軍の首に刀を突き刺した。


そして二日後…

ドラールは敗北を認め、ジャパールドラール戦争は幕を閉じた。


ジャパールのエードル城…

「卑弥呼女王。我ら龍神隊ただいま帰国しました」

「頭をお上げください」

「はっ!」

龍一たち龍神隊の兵士は頭を上げた。

卑弥呼女王(21)は、美しく優しい顔をしている。

「皆さん、ご苦労様でした。神威殿」

「はっ!」

「まだ14歳なのに、立派に龍神隊の隊長を務めましたね。その勇姿をわたくしは忘れません。もちろん他の方たちの勇姿も私は忘れません」

「そのようなお言葉をいただき、ありがたき幸せでございます」

「皆さんには褒美を授けます」

その言葉に龍一はこう発言した。

「女王様。わたくし、神威龍一には褒美はいりません。此度の戦いで、敵味方の多くの兵士が、殉職し、多くの市民が犠牲になりました。この方たちの死を無駄にしないためこれからは他国との交流を深め、この国を、平和な国にしてください。それが私にとって何よりの褒美でございます」

「もちろんです」

「女王様。もう一つお願いがあります」

「なんでしょう?」

「私は世界に出て、この目でいろいろな世界を見てみたいのです。どうかご許可を」

「…龍神隊の方たちはよろしいのですか?」

女王の言葉に土方が発言した。

「神威殿からその話は、この国に帰国する途中にすでに聞いております。私や他の隊士は誰一人神威殿が世界へ旅立つことを反対するものは居りません。そして神威殿は、私、土方歳夫を10代目隊長と任命されました。これからも龍神隊は陛下の護衛や市中の見回りを行い、街の復旧などにも力を入れ、神威殿が安心して旅を続けれるよう、今以上の働きを行う所存です」

「そうですね。神威殿はこの国の英雄…あなたが安心して旅を続けられるよう私も平和な国になるよう努力いたします」

「ありがたき幸せでございます」

本来なら、ジャパールにいたら、かなりの地位や名誉が手に入っただろう。

だが、そういうことを龍一は嫌っていた。

だが、戦時中もっとも活躍した事から、世間ではいつの日かジャパールの英雄と呼ばれ、世界中で知られることとなる。

また、龍一の心の中には、残るかどうかと迷いもあった。戦争が終わってもまだまだ、やらねばならないことは山ほどある。そのため龍一は残ろうとも考えたが、帰国途中に龍神隊にこのことを話したら、「お前の人生はお前が決めろ!」と言われたため、旅立つ決心をしたのだ。

もはやジャパールに龍一の居場所は無くなった。

世界のどこかに自分の居場所があるかもしれないと思い、旅を続けた。

だが、世間は冷たい。

ジャパールは平和な国を作ろうと、他国と交流を深めても、他国の者たちは快く思っていない。


龍一が旅に出てから4か月後…


「あの子ジャパール人じゃないかしら?」

「目つきの悪い子」

どこの国に行っても、市民からジャパールは悪く言われていた。

「(死神の俺に居場所などないか)」

そう思いながら誰もいない森へと入って行った。

「自分で龍神隊なかまたちに死ぬことは許さんと言っておきながら、俺は…」

そう言って、短刀で腹を斬った。

「ぐっ…す、すまない。皆…お、俺の居場所は……ど、どうやらこの世でなく、あの世にあるようだ。だ、だがあの世に行っても、姉さんたちには会えないだろう。ね、姉さんは天国にいる…だが、死神の俺は……地獄行きだろうな~…あっ…うっ…くっ…」

龍一はそのまま意識を失った。

だがこの時、偶然森へ木の実などを取りに来ていた女性がいた。

「大変だわ」

女性は龍一を抱き上げ、何でも屋のペガサスに運んだ。

そう、この時龍一を助けたのはペガサスの従業員ルーナでった。


ペガサス…

「な、なんじゃ?その子血だらけじゃないか」

社長のカーメーがそう言った。

他の者たちも驚いていた。

ルーナはすぐに自分の部屋へ運んだ。

「お爺様、スギさん、ランさんお願いします」

戦いに生きる者たちならば、刀傷などの手当ては慣れている。

「まあ、命に別状はなさそうだ」

「良かったわ」

「ただ、この子の持っていた刀、かなりの血油が…」

と、ランが言った。

「背中に大きな傷があるが、これはかなり古い傷だろう。だが、他の体中の傷は最近のものだろう」

と、スギールが言った。

「黒い髪、それに袴姿。ジャパール人か…あそこはほんの少し前まで1年近くドラール王国と戦争していた国じゃ」

険しい顔でカーメーがそう言った。

「こんな少年まで、戦争に参加していたのか?」

とランが小声で言った。

「まあ、この子が目を覚ましたら何か食べさせてやれ」

と言いながらカーメーが部屋を出た。


ペガサスに運ばれて一命を取り留めた龍一であった。






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