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第4章 大空翔と神威武蔵

翔はキラーマンとの戦いで死神の頃の自分に戻ってしまったことにより、自分がまた死神に戻ってしまうんじゃないかと思い落ち込んでいた。


次の日

翔は朝からボーっとしていた。

「翔君…」

ルーナは翔を弟のように可愛がっているため、誰よりも心配していた。

そして昼過ぎ…

チルチがペガサスにやってきた。

「キャルロット君。ドラッピーが帰ってきたわ」

「にゃ~」

と、猫の鳴き声を出すが、この猫が謎の女だということをペガサスの従業員たちは、まだ気づいていない。

「やった~」

「良かったなキャルロット、チルチ」

「スギお姉ちゃん。うん良かった」

「だから私の言った通りじゃない」

「うん」

ドラッピーをなでなでするキャルロット…

「良かったね二人とも」

と、元気のない声で翔は言った。

ドラッピーはそんな翔の近くに寄った。

「にゃ~」

「ドラッピーも翔兄ちゃんが元気になってほしいんだよ」

「……(みんな僕の事を心配してくれているんだ。元気出さなきゃ)」

そう思いながら、翔はドラッピーを抱っこした。

「よーし、気持ちを入れ替えて今日も仕事をするぞ!」

「良かった。元気になって」

「そうですね。ルーナさん…でもなんで翔君は戦後、ジャパールを出ていったのかな~ジャパールにいれば、英雄としてそれなりの暮らしができたはずなのに。それになんで自分を変えようとしたのかしら」

「翔君がなりたかったのは英雄でも死神でもないのよ。あの子がなりたかったのは……」

「なんですか?」

「う~ん…前にも言ったけど、誰にも知られたくない過去なんて誰もが持っている。翔君の過去を私が言うのは…」

「そうでしたね」

すると二人の会話が聞こえていた翔が近くにやってきた。

「僕の過去を知りたいですか?」

「えっ!うん…でも言いにくいでしょう」

「美奈子さんも僕らの大事な仲間だし、同じジャパール人。いいですよ。お話ししましょう。僕の…神威龍一の過去を…」


今から十年前…

4月23日…

この日は翔の6歳の誕生日だった。

この日は久々に一家4人での夕食だ。

「翔、誕生日おめでとう。これは私からのプレゼントよ」

「あっ、僕が欲しかったタイムマンのフィギアだ」

姉はヒーローのフィギアをプレゼントし、さらに彼女の手作りのお守りを翔に渡した。

その後、父や母からもプレゼントをもらった。

裕福ではなかったが、翔は幸せだった。

食事を終え、お楽しみのケーキが出てきた。

姉の舞や父、母から「誕生日の歌」を歌ってもらい、ろうそくの火を消した。

そして、みんなでケーキを食べようとしたときだった。

翔以外の舞たち3人は、玄関から誰かが入ってきた気配を感じた。

父親は玄関の方へ様子を見に行くと、二人の強盗犯に刃物で刺された。

「何?あなた、どうしたの?」

母と姉の舞も玄関の方へ向かった。

翔も気になり、玄関の方へ向かった。

そして3人が見たものは、血だらけの父親の姿と、二人の強盗犯だった。

「に、逃げろ…」

父親がそう言ったとき、強盗犯は首に刃物で突き刺した。

「あなた~!」

「お父さ~ん!」

「お姉ちゃん、あの人たち誰?なんでお父さんは血だらけなの?」

犯人は次に母親に攻撃を仕掛けた。

楽しい誕生日会が一気に修羅場と変わった。

「舞、翔を連れて逃げなさい」

「うっ…翔、行くわよ」

「えっ?」

舞と翔は裏口から逃げようとした。

「おい、逃がすな」

「おう」

翔たちが裏口へ逃げようとしたとき、母親の叫び声と、犯人の一人の笑い声が聞こえた。

もう一人の犯人は笑いながら翔たちを追いかけた。

「翔、あなただけでも逃げなさい」

「でも」

「早く!」

翔は泣きながら裏口から逃げようとした。

翔はまだ幼い。

当然逃げ足も遅い。

母親を殺したもう一人の犯人が外に出て、裏口から出てきた翔の前に現れた。

「こ、怖いよ…」

翔は恐怖で震えていた。

それでも逃げようとしたが、背中を斬られた。

「い、痛いよ…」

「へへっ、ガキや女の怯えた顔はたまらんな~小僧、痛いか?」

翔の意識が薄れていく…

だが、薄れていく意識の中、誰かが強盗犯を殴り飛ばしたのが見えた。

そして、翔は意識を失った。


その後翔は誰かに病院へ運ばれた。

「うっ…」

「意識が戻ったみたいだ。待合室にいる方たちを呼んできてくれ」

「はい、先生」

「もう、大丈夫だよ」

「ここ、どこ?」

「病院だよ。君は四日間、意識を失っていたんだ」

「お姉ちゃん…」

そう小声で言うと翔は眠った。

そして、40代くらいの男性が入ってきた。

「大丈夫。眠っただけです。それより、ほかの方たちは?あの方たちはジャパール人じゃないですよね」

この頃ジャパールでは他国の者は捕縛される。

「だったらなんだ?軍に通報するか?俺はあいつらの知り合いじゃないが、奴らも俺と同じ偶然あの家の近くを通り、このガキを助けた。俺だけじゃなく奴らがいたからこの餓鬼は助かった。それでも通報するか?」

「…そうですね。あなたの言う通り。あなたやあの方たちのおかげでこの子は助かった。法律に反するがあの方たちの事は誰にも言いません」

医者はや他の看護師たちは、この国に他国の者たちいたことを秘密にすると約束した。

だが、なぜ他の国の者がこの国にいたのだろうか?

男は知っているようだが、そのことは医者たちには話さなかった。


その後、集中治療室から個室へと翔は移された。

そして、目を覚ました。

「よう、目が覚めたか?」

「おじさん誰?うっ…痛い」

「俺の名は神威武蔵」

「かむいむさし?あっ、お姉ちゃんたちは?」

「隠してもいずれ分かるだろうから教えてらる。お前の家族はお前以外死んだ」

「嘘だ…」

翔は姉からもらったお守り見つめた。

「お姉ちゃん…このお守りが僕を守ってくれたのかな~」

「さあな~…いや、俺が助けたから助かったんだろう。感謝しろ」

「お姉ちゃん…うっ…痛い」

「まだ、傷は完全に治っていね~。とにかくお前は生き延びれたんだから、傷を治し、家族の分まで生きろ!」

「嫌だ。僕もお姉ちゃん達の所へ行く」

「ダメだ!お前はこれからこの俺が育ててやる。それがお前の運命だからな」

「運命?」

「そうだ。お前に水神流を教えてる」

「すいじんりゅう?」

「この国に伝わる殺人術だ」

「さつじんじゅつ?」

「人を殺すための業だ」

「そ、そんなの嫌だ」

「水神流を極めれば強くなれるぞ。お前が強かったら家族を守れた。そう思わないか?」

「でも僕…」

「とにかく傷を治せ!」


翔にとって、自分の6歳の誕生日はまさに悲劇…

だが、彼の本当の悲劇はこれからだった。



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