第27章 ジャパール軍最高司令官
その日の夜、沖田はジャパール軍最高司令官に魔族のことを報告書に書いていた。
ジャパール軍最高司令官は40代の女性で、名は松平守衛といい、先祖は龍神隊当時死戦隊初代隊長の松平勇である。
穏やかな人格に戻った翔は報告書を書いている沖田を見て、松平司令官に会った時のことを思い出していた。
ジャパールドラール戦争終結後…
戦時中に女王になられた卑弥呼女王のところへ行く途中、兵士から「神威殿、松平司令官がお呼びです」と呼び止められた。
「分かった」
兵士に連れられ、指令室にやってきた。
コンコン
「失礼します」
兵士は松平に敬礼。
龍一もすぐに敬礼した。
松平も敬礼し、部下の兵士を下がらせた。
「戦死した近藤の報告書通り、まだ十代の子供か」
「…」
「まあ、それはいいとして、私はお前と同じ同姓同名の男を知っている。お前がさしている刀を持っていた男も知っている」
「師匠たちを知っている?本当ですか?」
「ああ、お前と同じ名を持つ神威龍一は私の恋人だった。だが、武蔵は自分の息子を殺した」
「それが水神流の運命ですから」
「詳しいことは水神流の者じゃないから私はよく知らないが、武蔵は私の前に現れて龍一を殺したと私に告げた。だが一つだけわかるのは武蔵をお前が殺したということ」
「はい…死ぬ前に俺を自分の息子だと思っていたようで、心中で俺のことを龍一と呼んでいたらしい。だから俺は神威龍一と名乗ることにした」
「そうか…私の先祖は龍神隊…当時は死戦隊の隊長を務めていた。父も軍人でよく誇らしい生き方をしろなどと言われていた。だが、私が14歳の時、両親は事故死した。それからは誇りもプライドも捨て、食べ物を盗んだりして、その日その日を生きていた。だが、15歳くらいの時に捕まって村人たちからリンチを受けた。その時助けてくれたのが龍一だ。私は初めて人を愛した。龍一は私の二つ上だ。私たちは龍一が20歳になり私が18歳になったら結婚しようと約束した。だが、叶わなかった。私は武蔵に復讐するため、己を鍛えるために軍に入った。だが、何年経っても武蔵に勝つ自信が持てず、気づけば今の地位にいた。お前に仇を討ってもらったわけだ」
「師匠は年だったし、病んでいた。そうじゃなければ俺も殺されていた」
「そうか…話は変わるがお前私の養子になれ。そうすれば副司令官の地位を与えてやる」
「俺はガキだから、地位とか興味ないんです。俺が今求めているのは、自分の居場所…これから陛下に世界に出ることを許してもらうつもりです」
「だが、世界に出るには早すぎるぞ。開国してもジャパール人の印象は悪い」
「それでも俺は世界に出たい」
「そうか…分かった」
現代…
「翔さんどうしたんです。ぼーとして」
「いやー松平さんに会ったときを思い出していました」
「そうですか。報告書は書き終えました。もし魔族と戦になればジャパール軍すべてが動くでしょう」
「でもできることならルーナさんのご両親みたいに人類と魔族が共存できればいいんですが」
その頃とある暗黒の場所
「ルシファー様、人間どもは最近勢力を増してきました。そろそろ奴らを全滅させませんと…」
700歳くらいの年老いた魔族の一魔が言った。
「確かになー…ゴンドラの技を使う者もいるようじゃし…だがこっちにはサターン2世がおる。奴もここ最近かなり腕を上げた」
「はい。それにまだ400歳と若さがあります」
「強さだけではなく、姿も若き日のサターン様に似ておる」
「さようですか」
年老いた魔族は700年生きているが、当然千年前に死んだサターンの姿を知らない。
「再び魔族がこの世界を支配してやる」
「はい。部下の報告ではマジカール国という国に強い者たちが集まっているようです」
「そうか。そろそろ戦争を始めるぞ」
「御意」
魔族たちがいよいよ本格的に動き始めようとしていた。
どうもクローン病患者の生時です^^
調子が悪いためなかなかネット活動ができません><
でも調子がいい時に頑張って書きます(^^




