第25章 伝説の始まり
今から約900年前…
「長老様の言う通り、ディアーズ家に女の子が生まれたぞ!」
「長老様」
「ついに4人目の選ばし子が生まれたか」
おばば様と呼ばれている本名はオルーバという老婆は、100年以上生きており、幼い頃に伝説の戦士たちの戦いを見たことがある人物だ。
「あとはゴンドラだけ…だが来年にはボーゼットの所に男の子が生まれるはずじゃ」
オルーバの言う通りに翌年にボーゼット家に男の子が生まれた。
それから7年後…
幼い5人の子供たちが魔法や格闘技などを学ばされていた。
一番年上でリーダー的存在のオスカール・ベルバラ
強さは5人の中では一番と言われているベジックス・ルーマ
ベジックスの次に強いと言われているグレー・ディール
唯一の女性マシェリー・ディアーズ
後に虎戦流の開祖となるゴンドラ・ボーゼット
の五人だ。
5人はオルーバから自分たちの運命を告げられていた。
だが、幼い彼らには信じられないことだった。
特にゴンドラはよく訓練をサボっていた。
ある日の事…
ゴンドラは訓練所から抜け出し、森の中で居眠りをしていた。
だがその時、ゴリキングという我々の世界のゴリラをさらに大きくしたような動物が森で暴れていた。
ゴリキングが暴れていると気づいたゴンドラは逃げようとしたが、ゴリキングは以外にも速く、怯えたゴンドラの前に現れた。
ゴリキングはかなり凶暴な動物だ。
ゴンドラは殺されると思った。
だがその時!
何者かが気を放ちゴリキングを倒した。
「ふう…年寄りにはこの技は応える」
気を放ったのはオルーバだった。
「おばば…様」
「ゴンドラ、今のは猛虎爆撃波という技じゃ」
「もうこばくげきは?」
「そう…お前たちに前から言っておるじゃろう。お前たちはあと15年後に過去に行き、魔族と戦うと」
「ほ、本当に俺たちが魔族と戦うの?」
「ああ…ワシは幼い頃成長したお前達五人が勇敢に魔族と戦っているのを見た」
「…やっぱ信じられない」
「まあ、いずれ分かる時がくる。お前たちは15年後時空に飲み込まれて過去に行ってしまう」
「俺、嫌だよ。魔族と戦うなんて…ゴリキングでさえ怖いのに…」
「さっきの猛虎爆撃波は過去で魔族を倒した後、お前が幼い頃のワシに教えた技。猛虎爆撃波だけでなく、いろんな技をお前から教わった。そしてこの技の流儀名は虎戦流」
「とらせんりゅう?」
「そうじゃ…ワシはその後お前の曽祖父に教え、その後お前の祖父に教え、今はお前の父親が虎戦流の継承者じゃ」
「親父が…」
「ああ、一つ言い忘れた。お前の曽祖父はワシの夫じゃ」
「えっ?」
「つまりお前はワシのひ孫なんじゃよ」
「俺が、おばば様のひ孫?」
「そうじゃ。そしてお前はワシに虎戦流を教えてくれた師匠でもある」
さすがに幼いゴンドラには話が難しかったようで、頭の中が整理出来ず、パニック状態だ。
「ははっ…今は分からなくても時期分かる」
ゴンドラはその日から真面目に修行するようになり、父親から虎戦流を学んだ。
それから十年後…
ゴンドラに彼女が出来た。
これもゴンドラの運命だった。
2年後には結婚し、さらに2年後に男児を授かる。
この男児が後に虎戦流の継承者となり、現在まで伝わっている。
そして1年後…
5人は時空に飲み込まれ、過去の時代に…魔族が支配していた時代に行ったのであった。
5人が突如現れ魔族たちと戦いを始めた。
人類は恐怖と絶望の中で生きていたが、5人が現れたことにより、希望が出てきて、5人たちと力を合わせ、わずか6年で魔族を滅ぼした。
だがこの後、マシェリーがまた時空に飲み込まれた。
もちろんこの事もマシェリーたちは知っていた。
だが、どの時代に飛ばされるのかまでは知らなかった。
現在…
「虎戦流の継承者でしか知らぬ、開祖の名前…さらにそのゴンドラ様がオルーバの子孫でもあり、師匠でもあるということまで知っていた」
「じゃあこの方は本当に」
「うむ」
「俺たちも時空術とかいう魔法で過去に行ったからな」
「どうやら信じてもらえたみたいね」
「もちろんですじゃ」
「…私は13年前にこの時代にやってきました」
そう言いながら、元の姿に戻った。
その姿に皆が驚いた。
それはキャルロットにどことなく似ていたからだ。
「私はこの時代にやってきた時は、魔族たちとの戦いで大怪我もしていたし、魔力もほとんどなかった。そしてある男に…バーレスに出会った」
その名前を聞いてキャルロットは動揺した。
「まさか…母ちゃん?」
「ええ…そうよ。キャルロット」
さすがに全員が驚いた。
「ではなぜキャルロットの前から姿を消したんですか?」
スギールがマシェリーに尋ねた。
「…バーレスと会って、彼はこう言った。俺は殺し屋だ。傷が癒えたら出ていきな…そう言われた。そして2か月くらいして体力や魔力が回復したため、私は彼に礼を言って去った。だが、それから数か月後にバーレスと再会した。だが、感動的な再会じゃなかった。バーレスが依頼で人を殺したところに私が偶然いたのよ。彼の目は恐ろしい目をしていた。けど私といた時は悲しい目をしていた。私は勝手にこの人は私がいれば人殺しはしないのではと思った。だから、去ろうとした彼を追いかけた。そして私はバーレスとまた暮らし始めた。この時代に来て1年が経った頃、私は彼に自分の正体を明かした。彼は疑うことなく私の話を聞いていた。そして私たちは夫婦になった。夫婦になる時、私は一つだけ条件を出した。それは二度と人を殺めないでと…バーレスはうなずいた。それからしばらくして、キャルロットが生まれた。これで親子3人穏やかに暮らせる…そう思った。だが、幸せな時間はすぐに消えた。私たちの近くで魔族の魔力を感じた。魔族たちは絶滅していなかった。私がこの時代にいると知られれば、間違いなく私を狙う。魔族ともしかしたらまた戦わなければいけない。だから私はキャルロットをバーレスに託して旅に出た。バーレスに止められたが、魔族と戦う時に備え、強い人間を探し、魔族のアジトを着きとめると約束し、私は世界に出た。この国に来て、ベジックスの子孫であるトランスに出会った。そしてキャルロットにも…自分の子供だから、会った時にすぐ分かった。何度も私が母だと言いかけたが、子を見捨てた私には母親だと名乗る資格がない…そう思ったんだけど…」
「感情が抑えられなくなった訳じゃな」
「はい…キャルロット…大きくなったわね」
「母ちゃん…母ちゃ~ん!」
と、泣きながら母マシェリーに抱き付いた。
「あなたを見捨てた私を母だと思ってくれるんだ」
「当たり前だよ。オイラの母ちゃんなんだもん」
「ありがとう」
マシェリーもキャルロットを抱きしめた。
「良かったねキャルロット君」
ルーナがそう言うと、カーメーがルーナの出生について語り始めた。




