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その剣の意味(9)

ちょっと内容が短すぎるため、そのうち次の投稿分と統合します。

 バリケードを通り過ぎたところで、ルネは腰を抜かした。


「どうした、情けない格好しおって」

「どうしたもこうしたも……生きた心地がしませんでしたよ」


 見逃してもらえはしたが、監視の目は外れないだろう。連中もダウルの言葉をどこまで信用しているのか。伏兵を用意していたこともそうだ。ルネを抑えるだけなら、最初から姿を見せておけばよかったのだ。こちらの動きを誘っていたようにしか思えない。


「あの程度の気配断ちに気づかんお前が悪い。下手に動いたら、背中から串刺しにされとったぞ」

「先生こそ、付け回されてるに気づいてたのなら教えてくれたっていいじゃないですか。それに、斬ったの突いたのじゃ僕は死にませんよ。……そんな、ものじゃ」


 顔をぬぐうと、手がべったりと濡れた。


 生体を操るルネにとっては、己が肉体さえも代わりの利くもの。溢れるように増殖する細胞は、失った部位の再生はもちろん、人ならざるものへと変貌することさえ可能にする。


 故に、単なる打撃や斬撃はルネには通じない。だが、不死身と言えるほどのものでもない。塵一つ残さず焼かれれば、あるいは力尽きるまで肉体を砕かれれば、十分に打倒されうる。そう、こちらはすでに手札を一枚晒しているのだ。あの女はその対策ということ。戦えば無事にすんだ保証はない。


 不気味な神父と、得体の知れないセカイ使いと。厄介な連中に目をつけられてしまった。


「ああ、やっぱり大人しくしておけばよかった……」

「自信をなくしたか」

「だって……まさか、ただの人間を相手に何もできないなんて」

「そうだな。お前はどうやら、期待外れの男だったらしい」


 こちらを見下ろしながらダウルが言った。


「何故、わしを殺さなかった」

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