あらすじ(『魔女の贄』までのネタバレを含みます)
※邂逅編『魔女の贄』までのあらすじです。
――これは、あり得るかもしれない一つの未来の話。
『教授』と呼ばれる一人の狂人が、『世界の意志』から力を授かったことが、人類の運命を狂わせた。自らの視界から社会を排除し、世界と己の魂を直結させ、世界を書き換える。それが閉塞の力、セカイ法であり、それを操る彼らはセカイ使いと呼ばれた。
『教授』は仲間を集め、神話の時代を再来させるべく行動を開始した。決死の戦いも虚しく、抵抗者達は敗れ去り、世界は『教授』の望むがままに作り変えられた。空は裂け、大地は砕かれ、小さなセカイの集合体である『閉塞世界』へと変貌したのである。
それから約千年。
閉塞世界は六人のセカイ使いによって管理されていたが、『教授』はある時を境に姿を消し、均衡を失った世界は危機的状況にあった。管理者の一人マリアナは、状況を打開すべく一計を案じる。
その日、マリアナの血族が住まう魔女の村では、成人の儀が執り行われようとしていた。被差別者である処刑人の少女も、成人を迎える身であった。生まれつきセカイ法の才能に欠けていたために、成人を認められていなかったが、庇護者である次期宗主シャルルの根回しによって、参列の資格を得たのである。
しかしそれを快く思わない同期ユニの直訴により、マリアナによる審判が行われることとなる。マリアナは豚へと姿を変え、自分の首を刎ねて己の力量を示せと命じる。少女は拒否したが、積年の憎悪とマリアナの挑発により、ついに剣を振り下ろす。
刃が豚の首に食い込んだ瞬間、黒い光が走り、『壁』が崩壊を始める。溢れ出る黒い光に飲み込まれた少女は、『壁』を超えた先――名も知らぬセカイへと流れつくのだった
それがマリアナの策略であるとも知らずに。