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満員電車

2、満員電車

ボクは満員電車が昔からキライで、満員電車なんか電車の価値はないと思っている。

というのも、お金を払ってまで、なんであんな苦痛な思いをしながら出かけなければいけないか、理解に苦しむからである。とまあ・・・そう思っている時点でやはりボクは社会には適合できていないのかもしれない。

ちなみに今でも満員電車が嫌なので、通勤は電車を使わなくてもいいぐらい近い職場を選んでいる。


専門学校に通うようになって何が嫌だったかといえば、この満員電車が嫌だった。

電車に乗って座れないならJRはお金を返してほしい、と本気で思っている。もちろんそんなことは思うだけで実際、本気で行動を起こしたりはしないのだが、ボクがどれだけ満員電車がキライなのかを理解してもらうための指標にはなると思う。

ちなみに今でも、かみさんと電車で遠くに出かけるときはグリーン車を使って帰ってくることが多い。

大体、安楽に目的地までいけない乗り物など金を払うに値しない。

でもそんな論理は通用しないから座れなさそうな時間には極力電車に乗らないようにしているのである。


当時はそんなことは言ってられなかった。

とにかく行かないと単位がもらえない、しかも行って真面目に授業を受けないと理解ができない、いや・・・真面目に授業を受けても分からないから、居残り勉強をする。

多額の授業料を親から払ってもらっている以上、卒業しないわけにはいかないので必死ではあったわけだ。

だから行きは6時前ぐらいに家を出て、帰りは22時を回ることもざらだった。

毎日疲れきっていたから、なおさらボクは満員電車が嫌だったのだ。

そこでボクは少し時間がかかるが京浜東北線に乗って品川まで行くことにしていた。

そうすればうまくすれば横浜辺りで座れることもあるし、座れなくてもぎゅうぎゅう詰めの最悪な満員電車に乗らなくてもよかったからだ。

一度、横浜から東海道線に乗ったときは最悪だった。

あちらこちらからぎゅうぎゅう押されるは、いきなり後ろから殴られるは、目的地で降りるのは一苦労だは、で・・・とにかく最悪だった。

東海道線に乗ると横浜からは川崎、品川と東海道線だと二駅なのだが、この川崎が曲者で、この駅は最悪なことにだれも降りないくせに、どかっと乗ってくるのだ。もうホントに川崎なんか停車しなくていいよ・・・と何度思ったことか・・・。

今は湘南新宿ラインがあるので、それに乗ればあっという間に池袋までいけるのだが、だとしても満員電車のキライなボクはあえて時間をかけて出来る限り満員電車を回避しながら通学していただろう。


ちなみに品川からの山手線外回りも非常に混むのだが、こちらは意外なことに恵比寿辺りでかなり楽になることが多かったので苦しいというイメージはあまりなかった。


ボクは高校の頃、鉄道研究部でかなりソフトなてっちゃんだったから電車は今でも好きである。

しかしボクの中での『電車』や『鉄道』という概念の中に満員電車は入っていない。

鉄道というものは車窓を楽しんだりしながら、ゆったりとした時間を楽しむ、そういう乗り物である。時間を短縮したいなら車や飛行機で十分なのだ。

満員電車とは、『鉄道』の部類には入らない。

通勤のための最悪な手段、と考えるのが一番いいのかもしれない。


さて、行きはそうやって嫌な満員電車に揺られて通学していたのだが帰りはどうだったのか、というと・・・これがまた帰りは意外にも座って帰れることが多かった。

といってもうまく行かなければ横浜までは座れない。

車の免許を取得しておけばこういうことにはならなかったのだ、と当時、思ったことを覚えている。

高校在学中に最低でもバイクの免許ぐらいは取りに行けばよかった、とも思ったのだが・・・今思えばそれはガソリン代のこと、駐車場のことなどを全く考えていない当時のボクの甘い考えだったということに気づき、つくづく当時のボクは子供だったんだなあと、今になって痛感している。


帰りの電車の中では池袋で購入したさまざまな本や漫画を読みながら帰るのが、ボクにとっての楽しみの一つであった。

読書をするときは基本的にボクは座って読みたい方だから、これがまた、座れないとイライラするのだ。

あ・・・もちろん断っておくが、これは高齢者や身重の女性に席をゆずりたくない・・・ということではないので誤解のないように・・・。


とにかく池袋から当時住んでいた自宅までは2時間近くかかったから、小説の文庫本ならまるまる1冊読めることもあった。

もともとボクは活字を読むのが好きなので、この時間がすごく楽しみだっただけに座れなかったときの落胆はひどいものだった。

一度など、あまりに小説に集中するあまり一駅乗り過ごしてしまったほどである。


さて満員電車の話だが・・・。

ボクは就職したあともしばらくこの満員電車に悩まされる日々が続いた。

とにかく仕事が嫌だった当時のボクは嫌な仕事に行くのに、朝から嫌な満員電車に揺られなければならない生活に耐えられなかった。

そんなある日、ボクは膝に違和感を感じるようになった。

それでボクは仕事を休職することにした。

休んでいる間は、意味の分からない仕事をしなくていいということと、満員電車に乗らなくていいという安堵感があったことを覚えている。

半年後、会社の人事から電話があった。

膝が痛い、というのは嘘ではなかったが、仕事ができないぐらい痛かったわけではない。

ただ、それを言い訳にして専門学校を卒業してすぐに就職した会社を半年という短い期間で辞めてしまったのは言うまでもない。




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