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先日ラーメンを久々に食べましたが中々美味しかったです。

 一人の男がある邸宅の庭にいた。


 男がこの邸宅に住んでいる訳ではない、男は有体にいえば不法侵入だったろう。


 正門の前にいた警備員は二人、既に骸となって転がっていた。


 ナイフにより一人は喉を真一文字に切り裂かれ左胸をえぐられていた、一人は首の後ろ、頸椎を穿たれて即死していた、二人とも襲撃者の気配に気付く前に殺されていた、あるいは自分が死んだ事も理解出来ずに死んだかも知れない。


 闇に溶ける濃い赤茶色の衣服に身を包んだ男は、巡回していたもう一人の警備員に忍びよると鋭利なナイフで首を抉った、悲鳴もなく血飛沫を上げながら警備員は崩れ落ちる。


 男は邸宅内に侵入した、セキュリティに引っ掛かかったのか詰めていた最後の警備員が走ってきて拳銃を向ける、男は警備員が警告もなく発砲しそれを自分が身体をずらすだけで回避するのを"視た"。


 果たしてあらかじめ男が視た通り警備員は発砲、男はあらかじめそうすればいいのが分かっていたかのように身体をずらすだけで銃弾を回避する。


 警備員が次弾を発砲するのと同時に男がそれを掻い潜るように異常な早さで踏み込んだ。


 警備員が右手に拳銃を握り男に向けて直接照準していたその手に男の手が絡み付くと警備員はあっさり腕の間接を極められ前かがみになる男はその警備員の首の後ろにナイフを落としてから警備員を投げた、床に叩きつけたれた時にはすでに頸椎を断たれ死んでいた警備員の半開きの眼は虚ろに男をにらんでいるようだった。


 しかし男は警備員には最早意識を向けておらず床に落ちていた警備員の銃だけ拾って先に進む。


 邸宅の二階の奥の一番広い寝室、男はその前までくると無造作に警備員から鹵獲してきた拳銃を扉に向けて4発立て続けに発砲した。


 いや正確には扉の向こう側に向け。


 男は撃った後すぐに躊躇なく寝室に踏みいった。


 寝室にいたのは一人は邸宅の主と思われる中年の男、しかし彼はもう血を流し前のめりに倒れていた、もう死んでいるか瀕死か、その倒れた主の前にはハンティングライフルが落ちていた。


 おそらく彼は侵入者が寝室に踏み入った瞬間射殺しようと待ち構えていた所を扉の向こうからの男の銃撃を浴びたらしい、フルメタルジャケット弾は扉等紙切れのように貫通し主を貫いていた。


 男は踏み入った瞬間に撃たれるのをあらかじめ視ていたのかも知れない。

 

 主が倒れているよりさらに奥の壁際に女がまだ小学生低学年くらいかと思われる幼い少女を必死に抱き締めて震えていた。


 女と少女は親子である女は邸宅の主の妻だった。


 男は血を流し倒れている主の頸椎にナイフを突き立てゴリッと抉り入念に止めを差した、それを見て女がヒィッと引きつるような悲鳴をあげた、少女は氷ついて震える事すら出来なかった。


 「ま、待って下さい、私はどうしても構いません、望むなら何でもいたします、ただどうかこの娘だけは助けグボッ」


 必死に最愛の娘だけは庇おとする女の言葉を聞く義理もないというように男はナイフを振るい女の首は深々と裂けていた。


 女は首筋から大量の血をしぶきながらも血走った必死の眼で男を見据え血の溢れ出る口をぱくぱくさせ何かを訴えようとしていたがやがて前のめりに崩れ落ち血液に溺れるようにしばらく手足をばたつかせていたがやがて動かなくなった。


 女の死体を見据える男の三白眼は何の感情も写さない静かなものだった。


 残ったのは幼い少女一人だけだった。


 少女はもう感情が一定のゲージを振り切ってしまったのか、現実を拒絶したのか焦点の定かでない眼で虚空を見据えていた、股間からは失禁しておりカーペットを濡らしている。


 だが男が腹に突き込んだナイフは少女を無理やり現実に戻した。


 少女に刺したナイフを大きく抉って抜く。




 「あ、あぎゃあぁぁぁぁぁぁぁあ、死んじゃう、死んじゃうよ」


 自らの身体の中に異物を叩きこまれた少女は正気に帰ったとたんに激痛、恐怖、絶望、憎しみ、それらに一気に飲まれ堪らず叫びだした、それにより腹圧が上がり少女の破けた腹から内臓が飛び出しカーペットに広がる、まだ幼い少女の腸は色鮮やかで滑り綺麗なものだった。


 内臓の生臭さ、少女の尿の独特の刺激嗅、血の鉄臭さ、それらを吸い込み男は自分の胸に何かの感情が掠める事を期待したが、自分が何を思っているのは男自身良くわからなかったのかも知れない。


 「やだ、お腹破れちゃったよ、死んじゃうよぉ、死ぬのいやだぁ、助けてママァママァ助けて、死にたくない」


 彼女が助けを求める母親はすでに死んでいたが。


 男はナイフを横に寝かせ少女の薄い左胸に深々と突き込みさらに抉った、少女の心臓は完全に破壊されただろう。


 「あ、ママ、ま、まぁ」


 それで少女は最後にうわごとのように呟きながらその眼から光が消えていった、ようやく少女の悪夢は人生と共に終わりを告げた。


 男は最早死体には眼もくれず立ち上がり、ナイフにこびり付いた血脂を拭いた、そのまま死体の残る部屋から歩き去りつつ懐からタバコを取出し一仕事終えた後の一服を点けた。


 そのタバコの銘柄は‥‥




 川上は静かに眼を覚ました。


 紅魔館地下図書館、彼は小悪魔に煎れてもらったお茶に一服し一息いれているまにうたた寝してしまったらしい。


 川上は何か夢をみていた気がした、何か追憶めいた夢、しかしどうでもいいのですぐ忘れた。


 「よう、眼が覚めたみたいだな」


 川上がここに来た時にはちょうどうたた寝してた本人である魔理沙がそう声をかけた。


 「あぁ、おはよう」


 川上はぼんやりとした眼でそう挨拶した。


 「咲夜はそんなにきつい仕事をさせたの?」


 向かい側で本を読んでいたパチュリーがそう聞いた、川上が疲れてるのかと彼女なりの心配だったのかも知れない。


 「いや、問題ない、体力にはまだ余裕がある」


 川上は平然とそう答えた、意識がはっきりしてきたのは彼の三白眼がしっかりとした色を映す、見るものを何処か陰鬱にする眼。


 「お疲れでなければ良かったですが無理はしないで下さいね、今お茶を入れますから」


 小悪魔は川上にそう声をかけて紅茶の用意を初めた、目覚めの一杯にはちょうどいいだろう。


 「ま、ほどほどにがんばれよ、私はそろそろ帰るぜ」


 魔理沙はそう言いつつ席を立った


 「あぁ、服の件ありがとう」


 「あんくらい気にすんな、また何か困った事があれば力になるぜ」


 川上の礼に魔理沙はやたら頼りがいのなる言葉を返す。


 「んじゃあな」


 「あぁ、さようなら」


 「またね」


 「また来て下さいね」


 そう魔理沙に口々に別れを告げ、川上は小悪魔の煎れてくれた紅茶に口をつけ、やはり彼には熱すぎてすぐには飲めなかった。

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