6あ
郊外の夜道、街灯に照らされた三人は急ぎ足で進む。
ナマコは少しぶっきらぼうに、でもどこか楽しそうに空を見上げる。
ナマコ「それにしても……リアはホントにあんな場所にいるのか?」
ドラセナ「ええ、私達と同じように仲間を集いに、」
手にしたバッグをぎゅっと握りしめる。
スマホをチラチラ見ながら、ちくさんは少し心配そうに呟く。
ちくさん「ふたりは緊張しないの?…」
ナマコ「俺は別に緊張とか……してないけど」
口ではそう言いつつ、足取りは少し早くなる。
ドラセナ「でも、考えてみれば、私たち三人で動くのって久しぶりですね」
ちくさん「そうだね……あの豪邸の件があったから、なんだか変にソワソワするな」
ナマコは軽く笑う。
ナマコ「でも無くなったのが左腕だけで良かったじゃん これでちくさんも障害者の仲間だね」
ドラセナ「… 」
ちくさんは少し困惑した表情をする。
ちくさん「う うん…… 片腕だけでもともこのために戦うね… 」
ナマコはその様子を見て、少しだけ微笑んだ。
ナマコ「よし……じゃあ、あとはリアのところまで行くだけだな」
三人は無言でうなずき合い、夜道を進む。
遠くに、薄暗い建物の影が見えてきた
リアが待つ、ハッピー特別支援ホームだ____
ドラセナ、ちくさん、ナマコは門の前で足を止めた。
ちくさんの左腕は、肩口から包帯で覆われている。
まだ血の気が引かず、動かすたびにわずかに軋む音がした。
ナマコ「じゃあ 入るか」
そのとき。
奥の廊下から、足音が一つ響く。
影の中から現れたのはリア。
その後ろには、ゼニガメ、ジャイアン、いっとが立っている。
一瞬、空気が張りつめる。
リアの視線が、ちくさんの欠損した腕で止まる。
リア「……w」
ジャイアンが鼻で笑う。
ジャイアン「がちくさw」
ドラセナが一歩前に出る。
ドラセナ「リアさん…… ナマコさん連れてきました。」
ゼニガメがちくさん見て呟く。
ゼニガメ「……痛そう」
いっと「普通に癌持ちと欠損って、足手まとい2人いるの苦しくない?」
ジャイアン「2層分の代償としてこいつら捨てようぜ」
リア達は先に進む。
薄暗い廊下の先、鉄の扉が一枚だけ、異様な存在感を放っていた。
鉄の扉の奥にあったのは、
錆びだらけの古いエレベーターだった。
壁はひび割れ、ランプはチカチカと明滅している。
床には黒ずんだシミが点々と残っていた。
ジャイアン「……ボロすぎだろ」
ゼニガメが、操作盤を見つめる。
ゼニガメ「このエレベーターが……層をつなぐ道なはず」
ドラセナが息を呑む。
ドラセナ「これに乗ったら、もう戻れない……」
ナマコ「ま、来た以上はな」
ちくさんは包帯の巻かれた左肩を押さえ、静かにうなずく。
ちくさん「……行こう。ともこのために」
リアは無言で扉の内側に立つ。
一人、また一人と乗り込む。
最後にゼニガメが車椅子ごと入り、
ジャイアンが無遠慮にボタンを押した。
《2層》
カタン——
扉が閉まり、エレベーターは音もなく下降を始める。
ガクン、と一度大きく揺れた。
ドラセナ「……っ」
天井のランプが赤く染まり、
低い機械音が響く。
《代償、抽選開始》
床の模様が淡く光り、
誰かの足元に影が伸びた。
いっと「これランダムなのヤバくない…?」
エレベーターは、暗闇の底へ——
静かに、確実に、落ちていった。




