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第三王女ヴァレンティーナ〜異世界人の子孫にして王国最後の聖女  作者: 帰り花
第一章

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10/23

第9話 第三王女殿下付き侍女への第一歩(1)

ブランカ伯爵家次女ソニア視点


「ソニア。あなたはわたくしの娘ですが、それは殿下のお側にお仕えできるかどうかにはまったく関係のないことです。王妃殿下、側妃殿下がお認めくださったわたくしの働きは、あなたの評価とはまったく関係のないことですよ。家柄も有利には働きません。あなた個人の資質のみで判断されるのです。よくよく覚えておきなさい」

「はい。お母様」



私はブランカ伯爵家の次女ソニア、九歳。

母グレタは第三王女ヴァレンティーナ殿下の乳母を務めています。

私の夢は、母の後を継いで殿下付きの侍女になることです。

でもそれは簡単なことではないと母は戒めてくれました。


母はヴァレンティーナ殿下のことをあまり教えてくれません。

殿下のことはたとえ身内であってもむやみやたらと喋ることはできないのだそうです。

それは殿下に仕える者として当然のことだと言っていました。

その心構えは私も絶対に忘れないようにしようと思います。



今日は王宮の庭園でヴァレンティーナ殿下の三歳のお祝いパーティーが開かれます。


ヴァレンティーナ殿下の正式なお披露目は、三歳の誕生日に全貴族を招いて王宮で行われました。

とても華やかなパーティーだったそうです。


今日のパーティーは五歳から十二歳までの貴族子女が招待され、殿下と交流を図る目的で開かれるそうです。

もちろん私は九歳ですから招待されました。

ヴァレンティーナ殿下に直接ご挨拶申し上げるまたとない機会に恵まれてわくわくしています。


私の姉は十三歳なので行けないことをとても悔しがっていました。

弟は三歳で殿下の乳兄弟です。

でも乳飲み児だった頃の殿下の乳母は複数いたそうですし、男の子ですから、乳兄弟であることが有利に働いて側仕えに、ということはなさそうです。


ヴァレンティーナ殿下は三歳ですが、母からは王族の三歳は貴族の五、六歳だと思いなさい、と言われています。

きっと、弟とは比較にならないほどしっかりした方なのでしょう。

お会いできるのがとても楽しみです。




私は父に連れられて王宮にやって来ました。

付き添いは大人二人までと決められていて、着飾った子供たちが両親に連れられ大勢集まっていました。

私の母はパーティーの裏方の仕事をしているので今日は別行動です。


受付で招待状を出し、庭園へ入場を許されました。

ドキドキしながら庭園に入ると、すでにたくさんの人で賑わっています。

父が顔見知りの伯爵様を見つけて挨拶をしました。

伯爵様の側には令嬢が一人います。

顔見知りの令嬢で名前はルチア様。

私と同じ九歳です。

私たちはお互いに挨拶を交わしましたが、ルチア様はなんだか表情が固く、あまり打ち解けた会話はできませんでした。



父としばらくその場で待っていると、急に人々のざわめきが大きくなり、張りのある声が告げました。


「国王陛下、王妃殿下、ただいまお出ましになられます」


人垣が割れて、国王陛下と王妃殿下が登場なさいました。


続けてヴァレンティーナ殿下の兄姉であるエドアルド殿下、デルフィーナ殿下、マヌエル殿下、ニコレッタ殿下も登場なさいました。


最後に今日の主役、ヴァレンティーナ殿下が生母コンチェッタ側妃殿下と手をつないで登場なさいました。

お二人はお揃いの薄い緑色のドレスをお召しになっていらっしゃいます。

お二人の肌の白さを際立たせる色合いで、とても美しいドレス。

コンチェッタ殿下はその美貌がますます輝いて見えます。

思わずため息が出てしまうほど美しい方です。


そしてヴァレンティーナ殿下の愛らしいこと。

コンチェッタ殿下に似て、目鼻立ちが整ったお顔。

大きくなったら絶対に美人になること間違いなしです。


ひと目見て、ヴァレンティーナ殿下は元気のかたまりのような方だと思いました。

ああ、それより、生命力に満ち溢れた方、と言った方がいいような気がします。

その存在感になぜかとても惹きつけられます。

私の目はヴァレンティーナ殿下に釘付けになってしまいました。



国王陛下がパーティーの開始を告げられました。

その直後、驚くことが起きました。

王妃殿下がヴァレンティーナ殿下を呼び寄せ、皆の目の前で抱き上げたのです。

ヴァレンティーナ殿下は嬉しそうに王妃殿下に笑いかけています。

王妃殿下もヴァレンティーナ殿下に優しく微笑みかけていらっしゃいます。

王妃殿下に促されたヴァレンティーナ殿下が招待客に向かって手を振りました。

招待客から拍手が起こります。


きっと王妃殿下の行動にはいろいろな意図があるはずです。

招待された貴族の子女たちでその意図を理解した者はあまりいないようですが、付き添いの大人たちは理解したように見えました。

私は、ヴァレンティーナ殿下は側妃コンチェッタ殿下の生んだ子だけど、王妃殿下が認めて可愛がっている、ということを示したのだと思いました。


コンチェッタ殿下も優しく微笑んでいらっしゃいます。

国王陛下も、ご兄姉殿下方も皆様優しいお顔で微笑んでいらっしゃいます。

私の母はこの素晴らしい方々から信頼され、ヴァレンティーナ殿下の乳母を務めているのだなと、とても誇らしく思いました。


でも私はこのパーティーの意図にも気づいてしまいました。

きっと私たち貴族子女のふるい落としです。

よく見ると皆様の目は油断なく集まった子女たちを見定めているようなのです。

ヴァレンティーナ殿下に近づけたくない者はここでふるい落とされるのではないでしょうか。

今日の振る舞いで失敗したら殿下付き侍女になる夢はダメになってしまうかもしれません。

浮かれてばかりいないで気持ちを引き締めなくてはいけません。



それから私たちはヴァレンティーナ殿下にご挨拶する列に並びました。

公爵家の子女から順にご挨拶するように決められているみたいです。

私は父と一緒に順番を待ちました。

父は私にどう振る舞うべきか、などということはひと言も言いません。

でも前後に並んでいる人たちは子供たちに事細かに言い聞かせているようです。

思わず父の顔を見上げると、父は頷いて言いました。


「お前なら大丈夫だよ。ソニア。グレタがお前の師なのだからね。落ち着いてご挨拶すればいいんだよ」

「はい。お父様」



実際は短い時間だったのでしょうが、とても長く感じた待ち時間が過ぎてとうとう私の番が来ました。

私はヴァレンティーナ殿下の御前に進み出ました。

母に教えられた最上級のお辞儀をしてご挨拶をします。


「ヴァレンティーナ第三王女殿下にご挨拶申し上げます。ブランカ伯爵が次女ソニアと申します。ヴァレンティーナ殿下におかれましてはますますご健勝のご様子、何よりとお喜び申し上げます」


「おかおをあげてください」


殿下のお声がけがあり、私は顔を上げました。


「しょ……そにあはぐれたのむすめですか?」

「はい」

「そにあのめは、ぐれたのやさしいちゃいろのめとおなじですね。とてもきれいです」

「ありがとうございます」

「ぐれたにはとてもよくしてもらっています。とてもたよりになるうばですよ」

「何よりのお言葉、ありがとうございます」

「きょうはたのしんでいってくださいね」

「はい。本日はお招きいただきまして誠にありがとうございます」



ほんの短い時間でしたが、直にヴァレンティーナ殿下にお会いできてご挨拶もできました。

しかも母の目と同じ茶色の目を優しい茶色、とてもきれいと褒めていただけた。

夢のようでまだ足元がふわふわしている気がします。



ここでいったん父とはわかれることになります。

付き添いの大人は招待された子女たちのための会場とは別の場所へ案内されるのです。

ここからは子供同士の社交の場になるということです。


ご挨拶を終えたルチア様がいたので、一緒に会場へ足を踏み入れました。


そして目の前に広がる光景に私たちは息をのみ、目を見開きました。


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