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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

政略結婚を間近に控えたお姫さまが大好きな騎士と2人でダンジョンから脱出する話

 ヒルダは18歳、アルージハラ王国の王女だ。


 隣国、ショウジャークとの絆をより強固なものとするために王太子であるセンリへ嫁ぐことが決まっている。


 婚礼を明日に控え、今日はアルージハラでの最後の思い出として国内を巡っていた……はずだったのに。


 なんで、こんなことになってるんだ?


 ヒルダはギザギザした脚に身動きを封じられながら、自分を捕食しようとのしかかる巨大な甲虫をぼう然と見上げていた。





 森から吹いてくる涼しい風が心地よい日だった。


 王都をぶらぶら歩いて、高台から景色を見たあとにカフェでケーキを食べて、そのあと森を抜けて古代の遺跡に来た。


 かつての砦か神殿か、朽ち果てて植物に覆われた石造りの建物を歩いていたら、いきなり流砂に足をとられて飲み込まれた。


 その先にいたのがこいつだった。


 ヒルダを捕らえているこのずんぐりした生きものには見覚えがある。

アリジゴク……砂の下で獲物を待ち構える昆虫だ。以前図鑑で見たことがある。

こんなに、大きくはなかったけど。


 記憶が正しければ、獲物を捕らえたあとは鋭い牙から消化液を注入して液状になった中身を吸いつくすはずだ。


 ヒルダはそんなグロい死に方は嫌だった。

でも、必死に手足を動かしても絡みついた脚はびくともしない。


 マジかよ、私……こんなところで死ぬのか。

それなら、おとなしくお姫さまなんてしてないで、もっとやりたいことをやればよかった。


 好きなひとに、ちゃんと好きって言えばよかった。


 ヒルダの首に牙が突き立てられたときだった。

鈍い衝撃が走って、アリジゴクの首が切り落とされた。





「ドルフ!」


 巨大な甲虫を仕留めたのはヒルダ付きの騎士、ドルフだった。

ヒルダの3つ年上で、今日も護衛としてついてきていた。


 ドルフは剣を鞘に収めるとヒルダに手を差し伸べた。


「ほら、立てるか?」


 ヒルダは頷いてドルフの手を握る。


「ありがとう。ちょっと噛まれちゃったけど、たぶん大丈夫」


 ドルフに手を引かれて立ち上がる。

首にも手足にも生々しい感触が残っているけど、ドルフの顔を見たら安心した。


「ここからは上がれそうにないな」


 ドルフは絶えず砂が流れ落ちてくる天井を見上げて言った。


「とにかく、ほかの道を探そう」





 首に剣を突き立てると、巨大な甲虫はあおむけに転がってしばらく脚をばたつかせたあと動かなくなった。


「すごい……ドルフって強かったんだね」


 ドルフが実際に剣を振るっているところを見たのは初めてかもしれない。

一応軍隊はあるけど、平和なアルージハラは戦いとは無縁だった。


「人間相手の訓練しかしてないけどな……いったい何なんだここは」


 言いながらドルフは剣についた体液を拭きとって鞘におさめた。


 遺跡の地下はさながら洞窟のようだった。

先の見えない入り組んだ道には、獲物を探すアリジゴクがうろついている。


 ドルフがいてくれてよかった。

もし迷い込んだのがヒルダだけだったら、一瞬で餌食になっていただろう。


 洞窟の中を歩いていくと、上に続く石造りの階段があらわれた。


「行こう、とにかく地上に近づいた方がいいだろ」


 ヒルダは頷いてドルフの後に続いた。





 階段を登った先は暗闇だった。

さっきまで見えていたはずのドルフの後ろ姿も見えない。


「うわ……真っ暗だね」


 ヒルダの声は暗闇に吸い込まれた。


「あれ? ドルフ?」


 声をかけてもドルフからの返答はない。


「ドルフ! ドルフ! どこ?」


 ヒルダの叫びにも答えは返ってこない。


 ヒルダの声が反響して闇にかき消されたあと、後ろから聞こえる物音に気づいた。


 ずっ……ずっ……


 何かを引きずるような、気味の悪い音。


 ひゅう、ひゅううう、ひゅう


 女の人の声のような、風の音のような、不気味な音を立てながら少しずつだけど、こちらに近づいてくる。


 ざらりと、心臓にいやな緊張が走る。


 ずっ……ずずっ……ずっ、ずっ


 気がつけば、音はすぐ近くまで迫っている。


 逃げなきゃ!

そう思うのに、足がすくんでしまって上手く歩けない。


 ひゅうう、ひゅう、ひゅううううう


 くぐもったような声と共に生温かい息が耳にかかる。

風の音は、どこか笑っているようにも聞こえる。


 足が、動かない。


 ヒルダが目を閉じた瞬間、ものすごい力で腕をつかまれた。


「いやっ! 放して!」


 必死に振りほどこうとするヒルダの肩に、優しく手が置かれた。


「どうした? 俺だ」


 目を開けると、ドルフの顔がすぐそばにあった。





「急にいなくなったから探してたんだ、大丈夫か?」


 ヒルダの手を握りしめたままドルフが言った。


 得体のしれない足音も息づかいも、いつのまにか消えていた。

まだ心臓が強く鳴っていたけど、ヒルダはゆっくりと頷いた。


 ドルフと一緒なら、怖いものなんて何もない。


「とりあえず、先に進もう」


「うん」


 ヒルダがドルフの手をきつく握ると、ドルフも強く握り返した。





 はじめてドルフに会ったのはヒルダが12歳の時だった。


 ひざまづくドルフを前に、ヒルダはかつてないくらい緊張していた。


 国王であるお父さま、王妃さま、そして騎士団が見守るなか、叙任の口上を述べなければいけない。


 大丈夫、大丈夫、練習したとおりに……口上を述べて、剣で肩をちょっと叩くだけだ。

落ち着いて……


「なんじ……」


 言いかけた瞬間、裾を踏んでヒルダは思いっきりこけた。


「うっわ! 危ねえ」


 ドルフは慌てて剣先を避ける。


「ご、ごめんなさい」


 顔を上げると、飛びのいて驚愕しているドルフと目が合った。

泣き出しそうなヒルダを見て、ドルフは顔をくしゃっとさせて笑った。


「よろしくな、姫さま」


 その笑顔に、ヒルダは一瞬で心をつかまれてしまった。





「この間さー、腹減りすぎてヤバかったから騎士団のみんなで食糧庫のソーセージ食っちゃってさ、さすがにヤバいと思ってお詫びのしるしに珍しい形の石置いといたんだけど、速攻バレて料理長に死ぬほど怒られた」


 ドルフが言うとヒルダはくすくす笑った。


「いや何やってんの? 料理長が怒るとこなんて想像できないよ」


 虫が出なくなったからか、ドルフもだいぶ緊張が解けたみたいだ。


 つないだ手から伝わるドルフの体温が心地よい。


 出口を探さないといけないのはわかってるけど、もう少しだけこのままでいたかった。


 だって、地上に戻ったら、待っているのはドルフとの別れだ。


 しばらく歩いていくと上階へと続く階段を見つけた。





 階段を上って少し行くと、七色に光る泉があった。

泉のほとりには、幼い女の子がちょこんと座っている。


「こんなところに、子ども……?」


 不審そうにドルフが言う。


「出口が近いのかも」


 ヒルダは女の子にかけよった。


「ねえ、何してるの?」


 ヒルダが尋ねると、女の子は顔を上げた。


「貝がら集めてたの、ほら」


 女の子の手の中には、泉と同じ、七色の貝がらが光っていた。


「きれい……」


「でしょ?」


 女の子は得意げに笑った。

その笑顔を見て、なぜかヒルダは切ない気分になった。


 なんだろう……初めて会った気がしない。

ずっと昔に一緒に遊んだような、すごく懐かしい感じがするのに、思い出すことができない。


「私、ヒルダって言うの、あなたは?」


「リーゼ」


 可愛らしい笑顔でリーゼはヒルダを見上げる。


「ヒルダは何してたの?」


「道に迷っちゃってさ、出口を探してるんだ」


「迷子?」


 いつのまにか横に来ていたドルフと顔を見合わせて頷く。


「そっか、じゃあ、出口まで連れてってあげる」


 リーゼは貝がらをポケットに入れると立ち上がった。


「ついてきて」





 軽やかな足取りのリーゼについて遺跡を歩く。


 道は想像以上に入り組んでいた。

右に曲がったら今度は左に曲がって、階段を上ったり下りたり、時には細い壁の隙間を通り抜けることもあった。


 角を曲がるたびに空間は表情を変える。

洞窟のような道を歩いていたのに急に円形の闘技場に出たり、石造りの広場や図書室、果てには小さなティールームまであった。


「なんなんだここは……」


 ドルフが気味悪そうにつぶやいたけど、ヒルダは全然怖くなかった。


 知らない風景ばかりのはずなのに、すべてが懐かしかった。

それに、ドルフがずっと手を握ってくれているのが嬉しかった。


「私が来られるのはここまでなの」


 下へと続く長い階段の前でリーゼは立ち止まった。


「この階段をずーっと下りた先の通路をまっすぐ行って、三番目の分かれ道を左に曲がったところにある扉から、外に出られると思う」


 なんか途中で忘れちゃいそうだけど、とりあえずヒルダは頷いた。

ドルフも聞いてるし、たぶん大丈夫だろう。


「それでね、ひとつだけ、絶対守ってほしいんだけど」


 リーゼが真剣な目でヒルダを見た。


「ここから先の道は、後ろを振り返っちゃダメ……なんかよくわからないけど、そういう決まりなんだ」


 ヒルダもまっすぐリーゼを見て頷いた。


「わかった。本当にありがとう」


 ドルフがつないだ手に力を込める。


「じゃあ、行くか」


 ヒルダもドルフの手を強く握り返すと、リーゼに背を向けて歩き出した。





 階段をしばらく進んだとき、後ろから声が聞こえた。


「ヒルダ」


 リーゼの声だった。


「幸せになるんだよ」


 なつかしい優しい声に思わず振り返りそうになるヒルダの肩をドルフが押さえる。


「バカ! 振り向くなって言われただろ」


 ヒルダは何も言葉が出なかった。


 なぜ忘れていたんだろう。


 リーゼ……ずっと昔の、温かい思い出。


「おかあさま……」


 言った瞬間涙がこぼれた。


 なぜ忘れていたんだろう。


 ヒルダがまだほんの子どもの頃に亡くなってしまった母……幼かったヒルダは母の死も、あまり理解できていなかった。


 ずっと見守ってくれていたんだ……こうやって会いにきて、助けてくれたんだ。


 涙が止まらないヒルダの肩を優しく抱いてドルフはゆっくりと歩いた。


 分かれ道を曲がった先の扉を開けると、真っ赤な夕焼け空が広がっていた。





 確かに扉を開けて出てきたはずなのに、振り返っても崩れかけた石造りの壁があるだけだった。


「ああー! 戻ってきたなー」


 大きく伸びをしてドルフが言った。


 ヒルダは夕焼けを眺めてぼう然としていた。


 あの異空間はいったい何だったのか……少なくとも、ドルフも見ていたってことは夢ではないんだろう。


「ああよかった、馬も無事だ」


 ドルフが駆け寄って馬の頸を撫でる。


「ごめんな、遅くなって」


 ひとしきり戯れたあと、ドルフはヒルダの方に向き直った。


「腹減ったな、じゃあ、帰ろうぜ」


 夕陽がドルフの頬を柔らかく照らしている。


「あ、あのさ、ドルフ……」


 ヒルダはゆっくりドルフに向かって歩きながら言った。


「もう少しだけ、一緒にいられないかな」





 叙任式で出会って以来、ヒルダはずっといちばん近くでドルフを見てきた。


 行事には必ず同行したし、訓練や教育の合間にはヒルダの部屋でたくさんくだらない話をした。


 夜中にこっそり城を抜け出して、月明りを頼りに遺跡を探検したこともあった。

明け方に帰ったらめちゃくちゃ怒られて、揃って地下倉庫にぶちこまれたけど、ドルフが一緒だから全然怖くなかった。


 まだ子供だったヒルダはただ無邪気に、ずっとこの日々が続くのだと、大好きなドルフとずっと一緒にいられるのだと思っていた。


 大人に近づくにつれて、それが叶わないことがわかってきた。


 ヒルダはアルージハラの王女、将来は隣国ショウジャークの王妃となる身だ。


 ずっと続くと思っていたドルフとの日々は、道の半ばで途切れていた。





「はやく帰らないと、夕飯に間に合わないぞ」


 ドルフは静かな声で言った。


 すべてがオレンジ色に染まった遺跡で、ヒルダはドルフの隣に立った。


「私……お嫁になんか行きたくない」


 ドルフの目が驚いたように開かれる。


「ドルフ、ドルフと離れるのなんて嫌、だって私……ずっとドルフのことが」


「言うな」


 発しかけた言葉はドルフの声に遮られた。

ヒルダはぎゅっと口をつぐんでドルフを見る。


 ドルフは困ったような瞳でヒルダを見つめ返すと、優しい声で言った。


「その先はさ、ほら、王子さまに言ってやれよ」


 ヒルダは言葉が出てこなかった。

ただ、夕陽に照らされたドルフの顔だけを見つめていた。


 本当はヒルダだってわかっている。


 今までヒルダが享受してきた平和は決して当たり前のものではない。

隣国との同盟、連携の上にどうにか成り立っている危ういものだ。


 その平和のための礎になることが、王女としてわがままいっぱいに育ってきたヒルダの唯一といってもいい使命だ。


 たとえ、大好きな人と離ればなれになったとしても。


「わかった……変なこと言ってごめん」


 ヒルダが言うと、ドルフは安心したように息を吐いた。


「じゃあ」

「あのさ」


 馬に手を伸ばそうとしたドルフの声をヒルダは遮った。


「あのさ、あの……」


 言いつぐむヒルダを、ドルフはまっすぐ見つめている。


「キス……して欲しい、その、最後に」


「えっ」


 戸惑ったようなドルフにヒルダは一歩近づくと、そっと目を閉じた。


 ドルフの手は優しくヒルダの髪を撫でてから、ためらいがちに頬に触れる。


 しばらく頬の上で静止していた手のひらは、そっとヒルダの手をとって、やがて手の甲に柔らかく唇が触れたのがわかった。





 夕陽が沈みきったあとの薄青い光のなか、ヒルダは馬を駆るドルフの顔ごしに景色を見ていた。


 明日になってしまえば、この国で過ごせる時間……ドルフとの時間はもう終わりだ。


 せめてこの時間を最後まで、全身で感じていよう。


 ヒルダはドルフの服をぎゅっと握りしめた。


 城に着くまで、お互いひと言も口をきかなかった。





「ヤメルときも、スコヤカナルときも……」


 何故か少しカタコトな牧師の口上が響く。


 レンガ造りの重厚な礼拝堂、ステンドグラスからは静かに光が差し込んでいる。


「汝、コレを愛し、コレを敬い、コレを慰め、コレを助け、その命あるかぎり、真心を尽くすことを誓いマスカ?」


 ヒルダは横目で夫となる人、センリを見る。

少し緊張してるようだけど、真面目そうで、まっすぐな目をしている。


 その横顔からは、いずれ国を背負って立つ男の覚悟と風格が感じられた。


 ヒルダも、いつまでも少女のようなわがままを言っているわけにはいかない。

これからはこの人を支えて、いちばん近くで生きていく。


 きっとそれがヒルダの愛なんだろう。


「はい、誓います」


 ヒルダは静かに、でもはっきりとした声で言った。


「デハ、誓いの口づけを」


 センリがヒルダのヴェールをそっと上げたときだった。


 勢いよく礼拝堂のドアが開いた。


「その結婚、待った!」





 部屋にドルフの笑い声が響く。


「ちょっともう! 笑いすぎ!」


 ヒルダは真っ赤な顔でドルフをにらむ。


「だって……王子さま、真実の、真実の愛を見つけたって……」


 ドルフは笑いすぎて苦しそうだ。


「振られてやんのー!」


 楽しそうなドルフの横でヒルダは大きくため息をついた。


 礼拝堂のドアを開けたのは、小柄で飾り気のない少女だった。

なんでもセンリが身分を隠して街へ出かけたときに出会い、惹かれあってしまったとか。


 一度は身分の違いから泣く泣く別れたもののあきらめきれず、あの事態になったらしい。


 クソみたいな茶番につき合わされて、ただただヒルダは疲れていた。


「それにしてもあの子いったいいくつよ……あいつ、真面目そうな顔してとんだロリコン野郎じゃん!」


 ヒルダはドサッとベッドに倒れこむと天井を見上げた。


 王族や要人が集まる結婚式に乱入なんて、下手したら死罪だ。

そんな危険をおかすほどに自分を愛してくれた彼女にセンリはいたく感激し、身分を捨てて彼女と一緒になることを決意した。


 責任感のかけらもない……あのとき感じた覚悟と風格は幻だったみたいだ。


 なんかいろんな人にめちゃくちゃ謝られて同情されて、どうにもいたたまれなくなってひと足先にドルフと早馬で国へ帰ってきた。


「くっそあいつら、イチャイチャしやがって」


 なんでなんだろう……センリ王子のことなんて全然好きでもなかったのに、もやもやするというか、なんだかものすごく負けた気分になる。


「ああなんかこう、スパダリからめちゃくちゃに溺愛されたい気分」


 ぼやくヒルダをからかうようにドルフが笑う。


「何だ、あてでもあるのか?」


 その言葉を聞いてヒルダは起き上がった。


「今のところ……ドルフしかいないんだけど」


 ヒルダはぎゅっとこぶしを握りしめると、笑みが消えたドルフの目をまっすぐに見る。


「やっぱり……私じゃ、だめ?」


 一瞬、時間が止まったみたいに静かになった。

ドルフはしばらく黙ってたけど、ためらいがちに口を開いた。


「でもなあ……」


 ドルフは少し困ったように言う。


「お前が好きなのって、騎士としての俺だろ?」


「どういうこと?」


 ヒルダはドルフから目を離さずに言った。


「だからさ……長いつきあいって言っても、姫と騎士の関係っていうか、本当の俺じゃない……ってこともないけど、なんていうんだろうなあ……お前には俺の一面しか見せてないんだよ」


 ドルフはそう言うと軽く息を吐いた。


「じゃあ、教えてよ!」


 ヒルダは身を乗り出して言った。


「私、知りたい……その、騎士じゃないドルフも、全部」


 ドルフを見つめる瞳に力を込める。


「教えて、ドルフのこと、もっと」


 ドルフはしばらく視線を泳がせていたが、ヒルダと目を合わせると、小さく笑った。


「仕方ねえなあ……」


 そう言ってドルフは両腕を広げる。


「ほら、教えてやる」


 言葉よりも早く、ヒルダは全身で腕の中にとびこんだ。



 おしまい

 最後まで読んでくださってありがとうございます。


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