第8話 洋服選び
お昼ご飯を食べて腹ごしらえをした俺たちの次の目的はショッピングモールでの買い物だ。
かなり大きなショッピングモールなので買い物を楽しむには十分だ。
「見たい店とかあるか?」
「そうね……夏に向けて少しだけ服を見てみたいわ」
「なら、二階だな」
俺たちは二階へ移動する。そこにはたくさんの種類の店が入っている。一つ一つお店を見て回っていく。何件か回ったところで気に入った店が見つかったようだ。俺は紗妃と一緒に店の中に入り服選びに付き合う。
店の中を回り服を見ていく。紗妃の表情は真剣だ。正直あまり服に興味がない身からしてみればそこまで真剣に選ばなくていいように思ってしまう。それに紗妃なら大抵の服は似合うだろうし。
そんなこと考えていると紗妃がこちらを振り返る
紗紀の手には2種類のワンピースがある。一つは黒のキャミワンピースで、もう一つはカジュアルな色合いでウエスト部分にベルトが付いているワンピースだ。
「どちらがいいと思う?」
二つのワンピースを交互に見比べる。黒のワンピースの方を見て気になることを聞く。
「こちの方、肩とか出すぎじゃないか?」
「なんだかお父さんみたいなこと言いうのね」
若干のジト目で見てくる。
「このままでも着れるけど、ほかの服と合わせて着たりもできるわ。だから、露出を抑えることは出来るのよ」
「へ、へぇーそうなんだ」
お父さんにみたいだと言われたことにショックを受けたが何とか答える。
「それで? どっちがいいと思う?」
俺はさんざん悩んだ末に答える。
「こっちのベルトが付いた方かな」
決してお父さん見たいといわれたからとか、露出が多すぎるといった理由ではないと心の中で声を大にして言う。
「……ちなみにこっちを選んだ理由は何?」
「純粋に似合いそうだなって思ったから……それに……」
「それに?」
「こっちのほうが好みだったから……」
だんだんと声が小さくなってしまう。
「ふーん……そっ。ならこっちを買うわ」
そういって俺が選ばなかった黒のキャミソールワンピースを戻す。
「いいのか?」
「なにが?」
「俺が選んだ方で」
「えぇ、私が聞いて選んでもらったものだし、それに貴重な男の人の意見だもの、今後恋愛を学んでいくうえで男の人の好みを知っておくのは大切なことだと思わない?」
「まぁ、確かに」
「これはその一歩ってところ」
「なるほど」
「お会計してくるわ」
そういって商品を持って行ってしまった。
「男の好みを知る、か……」
紗妃は少しでも恋愛感情を理解できない自分を変えようと頑張っている。その気持ちを応援すべきだ。だけど少しだけ言葉にできないもやもやした気持ちになる。
きっと紗妃が遠くに行ってしまう気がしてさみしいのだろう。こんな気持ちではだめだ。いつか紗妃が恋愛感情を理解して誰かと幸せになる未来が来るだろう。その時に笑顔でおめでとうと言いたい。俺はその手助けをするって決めたのだ。幼馴染として家庭教師として紗妃の力になると改めて強く思った。
会計を終えて紗妃が戻ってきた。
「帰るにはまだ早いわよね?」
かなりの時間歩き回って服を選んだが、紗妃の言う通り帰るにいは少し早い。俺はもう一か所行こうと思っていた場所を提案することにした。
「最後にカフェに行かないか?」
「さっき食べたばかりじゃない。もうおなかすいたの?」
「甘いものなら食べられるけどそこまでおなかはすいていない」
「なら……」
「今から行くカフェはここだ」
そういって事前に調べておいたカフェの画像を見せる。その画像を見て大きく目を見開くそしてーー
「いくわ」
即答する紗妃。
「なら行くか。この猫カフェに」
紗妃は大の猫好きだということは幼馴染の俺には常識レベルだ。
「ほら、早く行くわよ」
いつの間にか歩き出していた紗妃が少し離れたところから俺を呼ぶ。
「すぐ行く」
いつもよりも軽い足取りの紗妃を見て我ながらいいチョイスだと思うのだった。
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