第2話 これからどうしようか…
本日2話目の投稿です!
紗妃の家から出てからこの後どうしよかと考える。まだお昼過ぎだし今日は特に用事があるという訳ではない。
実家でだらだら時間をつぶして夕食を食べて帰るか……
ひとまず実家に戻ろうと歩き始めると名前を呼ばれる。
「あら? 佑真君?」
声をする方を向くとそこには紗紀のお母さんがいた。
「お久しぶりです」
「久しぶりね。大学生になってから会えていなかったから寂しかったわぁ。元気そうね」
「はい。おばさんも元気そうでよかったです」
「元気よぉ」
そういって優しく微笑む。おばさんはクールな印象の紗妃とは真逆な感じだ。間延びした話し方からもわかるがおっとりした人だ。そのほわほわした雰囲気は変わらずどこか安心する。
年齢は俺の母親と同じくらいのはずだが見た目が若すぎる。おまけに美人だ。
「話はもう終わったの?」
「はい」
「その様子だと引き受けてくれるみたいね」
おばさんには言わずともわかってしまうらしい。昔から鋭いところのある人だ。
「どれだけ助けになるかわからないですけど、とりあえず俺にできることをしてみようと思います」
「佑真君なら大丈夫よ」
「だと良いんですけど……」
おばさんの声のトーンがわずかに落ちる。
「あの子、平気そうにしているけど悩んでいるみたいなの。私じゃきっと助けてあげられないわ」
申し訳なさそうな表情。紗妃のことを気にかけているのが分かる。
「昔から知っている佑真君になら安心して任せられるわ。どこの誰かもわからない男の子に任せるのは母親としてやっぱり心配だもの」
おばさんの言葉に苦笑いを浮かべる。
家庭教師の内容が恋愛を教えてくれというものだからおばさんの心配するのもわかる。俺だってどこの馬の骨かもわからない男が家庭教師として紗妃に恋愛を教えているなんて聞いたら心配になるし、どんな男か確認しに行ってしまうかもしれない。
正直、俺で本当にいいのかと思うがおばさんが信頼してくれているのだからその信頼に応えたい 。
「紗妃のことよろしくお願いね」
「はい。それじゃあ失礼します」
「えぇ、またね」
おばさんに挨拶をしてから俺はその場を離れた。
実家に戻ってきゆっくりしていると母さんから声をかけられる。
「紗妃ちゃんの用事は終わったの?」
「うん? あぁ……」
だらだらしていたせいで力が抜け、気の抜けた返事を返す。
「そう、家庭教師は引き受けることにしたの?」
母さんが頼みの内容意を知っていたことに驚く。
「え? 知っていたの?」
「当たり前でしょ。あんたを呼んだのだって紗妃ちゃんからのお願いだったんだから」
確かにそうだった。
「それなら先に教えてくれたってよかったのに」
「紗妃ちゃんが自分で話すって言っていたのよ。それに詳しいことは知らないの」
「そうなの?」
てっきり全部知っているのかと思ったがそうではないらしい。
「そうよ。紗妃ちゃん真剣な表情だったし、なんだか困っているみたいだったから詳しく聞かなかったわ」
さっきの紗妃の表情が頭に浮かぶ。
「ちゃんと紗妃ちゃんのこと助けた上げなよ」
「わかってるよ」
「そう。……しっかりね」
「うん」
母さんも紗妃のことは気にかけているようだ。
「夕食食べてから戻るんだっけ?」
「そのつもり」
「なにか夕食のリクエストはある?」
「……ハンバーグ」
「ふふっ、ハンバーグ好きだもんね。なら、今日はハンバーグね」
そういって部屋から出た言ってしまった。俺はなんだかムズムズするこの気持ちを誤魔化すように漫画に手を伸ばした。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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