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なろうラジオ大賞5

文化祭クエスト

作者: 香居


《クエスト1:3丁目の加島手芸店で、5メートルの布を入手せよ》

《報酬:売店のおしるこ缶(先着2名)》


 クエストを引き受けた、ふたりの女子高生。


「うちの担任、やるじゃんね」

「ただのおつかいじゃ、誰もやる気出さないもんねぇ」

加島さん(おばちゃん)のとこ、なにげに遠いし」

「ほんとそれ」

「まぁ、おしるこ缶に釣られるウチらもウチらだけどね」

「いやだって、あれなにげに高いじゃん。ウチらのお小遣いじゃ手ぇ出しにくいっていうかさぁ」

「それなー。190gで450円はちょっと……って感じだわ」

「なー。めっちゃ美味いってわかっててもさぁ」

「450円つったら、駄菓子屋で大人買いできんじゃん?」

「たしかにー」


 などと、ローテーションながらも止まらない会話をしつつ、市バスで向かった。



 店に着くと、恵麻(えま)は勝手知ったる様子で引き戸を開けた。


「おばちゃん、こんにちはー」

「こんにちはー。布くださーい」


 恵麻の声に続き、咲菜(さな)の声も店内に響く。


「はいよー」


 答える女性の声も、店内に響いた。


「恵麻ちゃん咲菜ちゃん、おつかい?」


 布コーナーに進んだふたりに近づきつつ、店主の女性が声をかけた。


「そー」

「文化祭で喫茶店やるから、ちょっと可愛い布5メートル買って来いってさー」

「なるほどね」


 女性は布の山にサッと目を通すと、一巻、もう一巻と生地を取り出していく。


「はい、これ持って。これもね」


 見る間に、ふたりの腕の中に丸巻の生地が積まれていった。


「それ持って、こっちおいで」


 ふたりは女性の後に続き、裁断台まで生地を抱えて歩いた。


 台に並べられた、10種類ほどの生地。


「後は予算と相談しなよ。決まったら呼びにおいで。レジ向こうで仕事してるから」


 去っていく女性にお礼を言い、ふたりは布たちに向き直った。


「おばちゃん、ウチらの好み熟知しすぎ」

「ドンピシャじゃんねぇ」

「マジどれも可愛いし」

「選ぶのムズくない?」


 ふたりは可愛い布にときめきながらも、全部は買えないことに、もどかしさを感じた。


 それから15分。悩み抜いた末に2種類選び、会計を済ませて店を出た。



 1つ目のクエストは成功した。

 2つ目は翌日に伝達される。すべてのクエストを成功させ、無事に文化祭を迎えることはできるのか……それは、神のみぞ知る──



使用キーワード『文化祭』『クエスト』


   ──────────


早速お読みいただき、ありがとうございます。

評価やいいねなどにも、感謝申し上げます。

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