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獣戦争  作者: たかさん
2/2

研究所

虎さんの背に乗り森を駆け抜けること数分、すぐに開けた場所に出る。

正直めちゃくちゃ風が気持ちいいが飛ばされそうになる瞬間も多々あるので割と気の抜けない移動だった。

そしてそこからさらに十数分、目的地の研究所に着いた。


「ほら、着いたぞ、じゃ頑張れよ、ハクにクロ」

「ありがとうございます!」

「あ、ありがとうございます!」


と二人で頭を下げる、すると虎さんは少し笑う。


「ガキども、大人ってのは子どもが迷ってる時に道を教えるもんだろ、そこから先お前らがどうするかは知らないが、それでも俺は自分の役割を果たしただけだ」


と言って颯爽とどこかに走っていってしまった。


「かっこいい人だ……」

「そうだね……ほんとに」


二人はしばらくの間、そこで止まる。が本来の要件を思い出し、すぐに研究所へと入って行った。




研究所の内部は病院のようで、しかし独特の雰囲気が漂っていた。

無機質な壁が、床が、研究所全てを圧迫してるかのような恐ろしささえあった。

しかし二人はそれらに気圧される様子もなくいつものように……と言ってもいつもと違って会話はしてないが奥へと進んで行った。


そしてある程度進むと、行き当たりに一つ扉があった。そこには『研究所メインルーム』と書かれている。二人はそこで一旦呼吸を整え、ノックをする。扉はまるで幻を見ていたかのように溶け、そこに一人の男が立っていた。


「……ようやく来たか、君たちが最後かな」


と黒い羽根をバサッと広げる。


「ようこそ、ラボへ、君たちはこれから我が国の戦士として生まれ変わる、その覚悟はあるかな?」

「あります」

「はい」


俺たちは躊躇いなく答える。すると彼はにやりと笑う。


「いいね、では私は君たちに未来を約束しよう。じゃあまずは男の方からだ。そこのベットに横になってくれ。気にせずともすぐに終わる」


言われるがまま、俺は少し奥にある色んな装置が搭載されているベットに横たわる。すると機械が少し音を立て、動き始めた。


「君の深層心理、奥深い感情だ。それを解放してくれ。君の想いにコレは応える」


彼がそう言った直後、身体に注射針が刺さる。そしてそのまま何かが身体に流れ込んできた。


「!!!!!」


突然身体が熱くなる。細胞全てが置き換わるような感覚身体が溶けるような感覚が身体中を巡る。


「ふむ、君は適性が少し低いようだね、君ほどに痛みに暴れたのは……ふむ、彼女以来だ」


となにやら彼はつぶやく。そして痛みが収まると、周囲の匂いがとても濃くなった。


「!!?」


あまりの刺激臭に鼻を抑える。


「おお、君は犬の力を得たようだね、一般的だからこそ成長が顕著に現れる、君は果たしてどんな面白いものを見せてくれるのか楽しみだ!」


と彼はとても嬉々として話す。この時ハクもクロも知らなかったのだが、彼は重度の獣人好き……基獣人狂いで、新しい獣の能力が発露した時などはもう目も当てられなくなったりするのだ。


「よし!中々いい子が今回も来てくれた!さて次は女の子、君の番だ、あぁ今彼の痛がったのを見て不安なのかな?まぁすぐに終わるだろうし、痛みといっても個人差だからね」


と勝手に謎の解釈をしてスルスルと準備を始める。ちなみにクロが行かなかったのは純粋に行くタイミングがわからなかっただけである。


「あ、ではお願いします」

「任せてくれたまえ、君も自分の理想を描きながら横になって……」


後に彼は語る……。


アレはホンモノだったと。


「あ、あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあ!!?」


突然クロが震え、叫ぶ。それはそこにいる誰もが予想すらしなかった程の絶叫だった。


「な!?待て!?この機械は一切のメンテナンスを怠っていないハズ!故障!!?いや、まさかそんなわけが!」


彼は異常すぎる叫びに慌て始める。ハクも一切聞いたことの無いクロのその叫びに思考が止まる。俺と同様にすぐに痛みは引いたようだが……クロは頭を抑えたまま動かない。俺はすぐさま彼女の元に駆け寄る。


「クロ!大丈夫か!?大丈夫なのか!?」

「うん……私は大丈……ぶ……なんか変な声が聞こえて……うっ……」


また頭を抑える。すると彼女の周りに紫色の、炎のようなものがフワフワと漂い始めた。


「!コレは……初めて見る現象だ……興味深い……と言いたいが、さすがにここは自重しよう。多分だがコレらは怨念のようなものだと推測する。となると君は物の怪の類の変異をしたんだろう。妖狐……いや、彼女の時もそうだった」


と彼は冷静に語る。


「そうだな、そう言った類のものを発現させた人は大抵精神が壊れてしまう。いい精神科を教えよう。君には酷だが、君のような人材は我々の欲するものであるかもしれないからね、さ、今日は終わりだ、ゆっくり帰るといい」

「ありがとうございます……クロ、立てる?」

「……ちょっとまだツラい……かな」

「わかった、なら俺の背中に乗ってくれ」


彼女はツラそうな状態だが、ちゃんと背中に乗ってくれた。


「よし、じゃ、行くぞ」

「うん、ドクター……ありがとうございました」

「いや、こちらこそ君にツライ思いをすまないね」


俺はそのまま彼に別れを述べ、彼女を背負ったまま家へと帰るのだった。

能力詳細

『犬』

嗅覚アップ、移動速度アップ、帰巣本能、警戒心


主に相手の動向などを影で確認する諜報部員としての活躍が望まれる。一番多い種類なので、大半は戦争には出ずに、裏方として回っている。

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