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メガネどこ?

 厄玉に入った亀裂と高度低下は計画を見直さざるを得なくなった。


 現在地はケンチョピアに差し掛かった所だ。


 7月初め 戦犯の主張は指向性と削力補正の提灯、臨機応変に指示を出す鳴り物などがなかったためだと理屈と屁理屈が絡み合い対策が絞れないまま軟着陸地点を大幅に変えて続行することになった。


 まぁぶっちゃけ戦犯は所謂声のとても大きい人なので絡むと面倒だから、罪は周知の事実でもムニャムニャとなった。長い物には巻かれる県民性が現れただけだ。


 これで亀裂など入っていませんというテイとなったが祓い方にはなんとも言えない空気と幹部対現場で言い表せない亀裂が発生した。


 中間の立場をとっていたジト目男の目つきは更に悪化した。


 決戦場は当初末広大橋を越え海上で行うのがベター、最低でも新町川に沖洲川と園瀬川が合流する川幅の広い場所を想定していたが末広大橋を越えることが出来なかったため、下降速度から8月決戦は新町川に助任川が合流してから数百メートル下流の川幅が広くなった場所に決まった。


 撃ち衆には技量よりも効果が求められた。迷惑なことにオラオラと調子に乗る者がちらほら出て来た。


 編み衆はお調子者の尻拭いに瘴気の塊である厄玉の破片を広範囲に受け止める技量を求められリーダーの何人かの目つきが悪くなった。


 撃ち衆の屯するコンビニには編み衆は寄り付かなくなりジト目男は嫁経由で編み衆のクレームを聞かされ擊ち衆のリーダーに『ナンパ』も『マジナンパ』も危うくなっていると伝えた。


 数日後、ボコられ顔面を腫らした若者がちらほら目につくことになる。



 いつものようにミバリと撃ち衆を兼ねる若者がコンビニの前で寛いでいるとヨタヨタと自転車に跨がるあのおっちゃんを見つけた。


「あれ。前のとちゃうな」

「ちゃいますねぇ。ちっこくなってますね」


 自転車に詳しそうな男が呟きに応じてくれた。


「なんか車輪ちっちゃいなー」

「アレは8インチやね。大きめの台車とかキックスケートとほぼ変わらんですよ。それで前のヤツより地面の凹凸や段差がシビアになります。△のよりハンドル幅はあるので押さえ込みは多少出ます。多少ね」

「多少ねぇ」


 駐輪場で降りようとしているが地面に足が着かなくて爪先がかろうじて触れるみたいだ。自尊心を傷つけないように武士の情けで静観していると、おっちゃんの足がプルプルと小刻みに動き始めた。限界が近いのだろう、表情はない。


 やっと何かに気がついたのか表情が一瞬明るくなって横に倒れるようにして着地した。

 自転車にワイヤーを掛け、まだ脹脛がピクピクしているのにおっちゃんは無表情でコンビニへと入っていった。


「小型の割にサドルが低くならないんですよね」

「横はあるけど小柄なおっちゃんにはキツそうやな」

「横から見ると”A”の字に見えなくもないので『A-チャリ』って名前です」

「へーそうなんだ」


 今回のは“A-bike City”です。

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