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prologue
ハッピーエンドではないことだけは決めています。
これを読んだ人が大切な人をもっと大切にしたいと思えるような作品にしたいと思っています。
プロローグ
彼が家を出て行く。頭を撫でて、大好きな笑顔を私に向けて。
「先に寝てて、またこっそりベットに入っているよ。ご飯は食べてくるから大丈夫。」
あぁ、歪んでいる。私は胸の奥底で、そう感じながら彼をいつも通り玄関で見送った。
時計を見ると今は8時前、彼はいつ帰ってくるのだろうか。二人分作ったハンバーグを見つめた。私は彼の分のハンバーグを皿に盛り付け、ラップをし、冷蔵庫に移動させた。もう一つのハンバーグは食べられることなく捨てられた。
もう寝よう。彼のいないこの部屋はどうしようもなく冷たいから。