最終話 宝物は、ここに
逆さ虹の森に龍を迎えてから、しばらくたちました。
逆さ虹の森の動物たちは、みんな一緒に遊んでいます。
「リュウさん、リュウさん!」
「行くよぉ、リスさん! それっ!」
リスを背中に乗せた龍は、山の頂上から水に飛び込んで、すべって行きました。
ウォータースライダーみたいです。とても楽しそうです。
この水は、逆さ虹からこぼれたものです。
龍が逆さ虹からいなくなって、逆さ虹にたまった水をドングリ池に落とす動物もいなくなりました。
雨が降れば、逆さ虹にどんどん水がたまります。
すると、たまった水があふれて、下に落ちてきました。
滝のように流れ落ちた水は、山の頂上にたどり着きます。
さらに、山の頂上から下に向かって流れて行きます。
逆さ虹の森には、新しい遊び場ができました。
動物たちは「逆さ虹のすべり台」と呼んでいます。水が流れる楽しいすべり台です。
リスと龍は、逆さ虹のすべり台で遊んでいました。
他の動物たちも、やっぱり遊んでいます。泳げなくても、水に流されるだけなので遊べます。
「こ、怖いです……」
「大丈夫ですよ、クマさん。一緒にすべりましょう」
怖がりのクマだけは、ちょっと怖がっていますが、ヘビと一緒にすべります。
みんながいてくれれば大丈夫なのです。
「こんな子供だましの遊びなんて」
「アライグマさんは、そんなこと言わずに乗せてくださいよ」
「ふん」
アライグマは子供だましと言いますが、逆さ虹のすべり台を結構気に入っています。翼がぬれると困るコマドリを頭の上に乗せて、一緒にすべります。
暴れん坊のアライグマでしたが、今では仲良しになっています。なかなか素直になれないのはたまにきずですが。
最初にすべったリスと龍が戻ってくれば、次はキツネの番です。
「キツネさん、乗せて!」
「いいですよ」
リスを乗せてキツネもすべります。リスは小さいので、こうやって誰かに乗せてもらってすべるのです。
龍が後ろに続きます。誰も乗せていませんが、前を楽しそうにすべるリスとキツネが見えますね。
楽しそうな仲間を見てすべれば、龍も楽しいです。
何度も何度もすべって、最後はみんな一緒にすべります。
一番大きな龍の背中に、ヘビ、クマ、コマドリ、リス、アライグマ、キツネがみんな乗ってすべります。
クマも大きいですが、龍はもっと大きいのでクマも乗せられます。
たっぷりと遊べばお腹が空きます。食べ物を集めることにしました。
逆さ虹の森にある果物やドングリを集めます。
ハチの巣からは、ちょっとだけハチミツを取りました。ハチも逆さ虹の森の仲間ですからね。全部取ってしまってはいけません。
みんな一緒なら、ドングリ池にお願い事をしなくても食べ物を集められました。
お腹いっぱい食べたら、コマドリが歌を歌ってくれます。
森の演奏はありませんが、動物たちが手を叩いたり、石ころで音を鳴らしたりします。
キツネは器用なことに、葉っぱを笛のように吹いていますね。上手です。
リスが真似をしようとして、でもうまくできません。キツネから吹き方を習っています。
もちろん、コマドリの歌も素敵です。見事なコンサートになりました。
「みんな一緒だと幸せですね!」
ヘビが元気よく言って、みんなも楽しいと言います。
一人ぼっちだった龍は、一人ぼっちじゃなくなりました。
今では逆さ虹の森の仲間たちが一緒です。
龍が逆さ虹の森で暮らすようになり、ドングリ池にお願い事をしても叶わなくなりました。
逆さ虹からあふれた水では、お願い事をしても叶いません。
不思議ですが、みんなのお願い事が叶ったからでしょうか。
ヘビが言った言葉です。みんな一緒だと幸せなのです。
みんな一緒で、楽しく幸せに暮らします。
ところで、虹のふもとには宝物があるというお話を知っているでしょうか?
ある森には立派な虹がかかっています。
その虹は、なぜか逆さまでした。逆さまの虹がかかった森は「逆さ虹の森」と呼ばれるようになりました。
逆さ虹の森では動物たちが平和に暮らしています。
ほら、今日も楽しそうな声が。
以上で完結となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。