お前だったのか!
小学生の宿題に手を入れて文字数を増やした物です。
情景を少し増やしただけ、心情までは入れてません。
投稿の分類が良くわからなかった作品になってしまった。
推理を主体としている割に、実は犯人は偶然見つかっているし、純文学ほどに文学できなかった。
中学生ぐらいの夏休みの課題って感じです。
僕は推理が大好きな小学6年生。好きなアニメはもちろんコナンだ。
これはある休みの日に起きた事件だ。
暑い。特に今日は朝から雲一つない空。太陽はさんさん輝き、こっそり食べたアイス一つでは気分的にも実質的にも何も変わらない。冷房の温度を下げて対応するしかない。省エネ好きの母さんが30度に設定して温度を26度に下げる。
暫くすると温度が落ち着いてきた。学校にいる時は冷房無しで過ごしているのだから無いよりましでしょうと言われても、30度は熱いんだって母さん。
さて、気温も落ち着いたし宿題を始める前に気晴らしいもう一つ抹茶アイスを食べよう。
僕は、いつものように冷蔵庫からアイスのパックを取り出した。そして、デッシャーを使ってアイスを丸く丸める。さっきこっそりと一つ食べてしまったので心もち小さめで。
凝り性な僕は、究極の丸いアイスを作り出すべくコロコロ、コロコロと丸めていく。熱中しすぎたせいか、少し溶けかけてしまったが、おかげで丸いアイスが完成した。
アイス本体をしっかりとしまい込み、元あったところに一ミリのずれも無く戻す。うん、完璧。
そして皿に乗せたアイスをテーブルの上に。
さて、いざ食べようとした時だ。なぜか急にお腹が痛くなった。
「う、さっきアイスを食べたせいかな。
く、急がないと。しょうがない、あとで食べよう。待っててね僕のアイスちゃん」
一口分だけを口の中に放り込み、急いでトイレに駆け込む。
「さっきまでに何食べたっけ。
アイスとヨーグルト。それと、あっプリンだ。
賞味期限が1週間前の。
食べてから気が付いたやつ。
くー、母さん賞味期限切れたら捨てておいてよ。モー」
そしてようやくトイレから戻ると、そこはすでに事件が起きた後だった。
もちろん、アイスが溶けたわけではない。
そう、アイスが無いのだ。机の上には皿だけが残り、その上にあった抹茶アイスが見事に消えている。アイスが少し溶けている事は想定していたが、アイスが蒸発するとは想像もしなかった。
ってアイスは蒸発しないって。つまり事件なのだ。
さて、コナンモードの発動だ。
「さあ、ワトソン君、まずは現場検証からだよ」
気分的に盛り上がる一言を言い、皿を眺める。そしてよく見る。
さっきまでアイスが置いてあったその皿の中は、まるでなめたかのように綺麗だった。
「次に、するべきは聞き込みだよ。
さあ行こう、ワトソン君」
僕は、さっそく事件の調査を開始した。
トイレに居た時にダイニングに入った足音は、お姉ちゃん、お父さん、弟の順だ。だがまずは1階にいつもいるおばあちゃんから聞きに行こう。なにか知っているかもしれない。
「おばあちゃん、僕のアイス知らない」
「何のことだい?」
「僕がトイレに行っている間にアイスを食べられちゃったんだ」
「アイスねえ。
あんまり食べるとお腹壊すよ」
うん、いつも通り会話がすれ違う。とりあえず何も知らないし犯人では無いようだ。
さあ次だ。弟の確認の為に2階に向かう。
階段をトントントンと駆け上がり、弟の部屋の行く。僕と弟の部屋には扉が無い。だからバンと扉を開ける必要もない。ちなみに姉ちゃんの部屋には記憶にある限りでは最初から扉が付いていた。その代わり扉には鈴が付いているので出入りに度に音がする。乙女のプライバシーが守られないと嘆いていた。夜中にこっそりと抜けださないようにしているんだと母さんが言っていたが、夜中にトイレに行く度に音がしてうるさいだけだ。世間の変な情報に騙される母さんは、世間ではなく子供の意見を聞くべきだと思う。
まあ良いか、廊下から弟に声をかけた。
「え、知らないよ。
それよりも、お兄ちゃん僕に内緒でアイス食べようとしてたの。
僕にもちょうだいよ」
余計な事を言ってしまった。だがこいつは嘘をつくとまゆ毛が上がるわかりやすい性格なのだ。犯人としては最も怪しかったが違うことが解った。よし次だ。
残されたのは、お父さんとお姉ちゃん。
とりあえず、隣の部屋に行き、お父さんに確認した。
「あー、アイスはあったぞ。
でも勝手に食べると怒るから、父さんは食べずにすぐに2階に戻ったぞ」
あれ、お父さんの時にアイスがあったなら、最初に降りて来た姉ちゃんは犯人ではない。
お父さんと弟の間に何かが起きたのか。
僕は悩んだ。
二人のどちらかが嘘をついているのか。
弟は嘘をつかない。父さんはダイエット中だからアイスを食べたが母さんにばれると怒られる。恐らくは嘘は言っていない。
うーん、悩む。
そうだ。
「こういう時は現場に戻るのだよワトソン君」
「だから誰だよ、ワトソンって」
弟が部屋の中から叫んでいた。
「テレビばかり見てないで、シャーロックホームズを読めよ」
「母さんみたいな事を言うな」
元気な弟だ。
僕は、階段をトントンと降り、ダイニングへ戻る。
先ほどの皿はまだ机の上にあるままだ。僕はもう一度よく皿を見た。うーん、やはり綺麗に食べられている。
そして気がついた。
スプーンが綺麗なのだ。
どうやら犯人はスプーンを使わずに食べている。そうなると犯人はどうやってアイスを食べたのだ?
犯人が解らず暗礁に乗り上げたと諦めかけた時、横を飼い猫のミシュランが通り過ぎた。
僕は何気にミシュラに話しかけた。
「ミシュラン、アイス知らない」
声をかけたのに気がついたミシュランはこちらを向いた。
そして全てが解ったのだ、犯人が。そして犯行の手段も。
「ミシュラン君、その口の周りの緑は何だね!」
僕はミシュランにゆっくりと強い口調で話しかけた。
ミシュランは悪びれるでもなく、いつもどおり「ニャ」と答えた。
そう、つまり犯人はミシュランだったのだ。
溶けかけたアイスを舌でなめた訳だ。
どうりで皿が綺麗なはずだ。
そうするうちに2階からお父さんと弟が降りてきた。僕は犯人が解った話をしながらさっきと同じようにアイスを作った。
そして、ようやく食べようとした時だ。お父さんが言った。
「お前のは、ミシュランに譲ったんだから今日の分は終わりだよ。それは弟の分ね」
「やったー」
弟が喜びの声を上げた。
そして、最後に私は叫んだ。
「えー、さーいーあーくーだー」
父さんが冷房の温度を28度に戻し、カーテンを閉めて2階へと戻っていった。
家の中は少しだけ太陽の光が入らなくなった。だが暑い夏はまだまだ続くようだ。