表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

ピンタの話 3

お友達みたいな恋人。恋人みたいな友達。なんかそういう枠っていうのが流行ってますね。でも、実はその枠も圧力なんでしょうね。

 ニーニャは食事に乱入してきて、用意されたスープと芋を全部平らげた後。彼女はひとしきり僕に何かしら言ってから出て行った。マリアの外套を羽織ってだ。あれはマリアの匂いがする。持ってかれたのはちょっと残念だったのは教えていない。


 ニーニャは嫌いってわけじゃないんだけど、最近のニーニャは気難しい。だからどうしたってわけじゃないんだけど、何もしていない僕にいらだっている様子だ。



「ピンタさん。先ほどのニーニャさんはどんな方なんですか? 元気な人というのはわかるんですが」



 マリアが困惑している。


 困惑……しているのか? あんまり表情に出ないのでわかりづらい。島には珍しい白い肌。姉さんとは似ても似つかない。



「ニーニャは友達だよ。元は姉さんの友達だったけど、姉さんが死んだ今は僕の友達」



「異性のおうちに押しかけて、ご飯をたいらげていくのがただの友達ですか?」



「……違うの?」



「てっきり、ピンタさんの恋人だと思ってました」



 恋人か。考えたこともなかった。


 友達未満だったり、恋人だったりと忙しい。


 僕とニーニャはなんだろう。友達で落ち着いてたんだけど、周りがそれを許さない。流されるなら流されてやろうとは思うけど、流れが分からない。



「……マリアのご飯、美味しい。また作ってよ。買ってきてほしいものがあったら教えてくれなね。買ってくるから」



 朝食を食べ終えた後、島の中央部に向かう。しばらく外に出ていなかった。


 スモッグの中をかき分けるように歩いた。ニーニャはこのスモッグが目に染みると言った。彼女はこのスモッグが嫌だからとゴーグルをつけている。僕はそのゴーグルは視界を狭めるからやめろ。と注意したのだけどあいつは聞く耳を持たない。


 スモッグを抜け、なだらかな丘をのぼった先にジャンクショップはある。


 掃きだめの島の経済は全てここで回っている。


 ひげじぃは初めて見たときと変わらない。初めて会ったのはいつだったか。



「ピンタか。もっと早く顔を出さんかい」



 ひげじぃはゴミの香りの他にたばこの香りもする。島でたばこを吸う人は少ない。


 シティは喫煙者が多いらしい。島の人は健康志向なのかもしれない。



「もう、大丈夫なのか?」



「なにがさ」



「……うんにゃ、なんでもないさ」



 食材を買うためにニーニャは定期的にひげじぃの元に顔を出していたはず。


 僕の無事なんてのは知ってたはずだ。



「食材を一通り欲しい。人が増えた。何が欲しい? って聞いても、ロクに答えないからね。一通り揃えようと思う」



 あいよ。とオーナーは快諾して、日持ちする芋から長持ちしない葉物の野菜。調味料をそろえた。冬だし、心配はしてない。



「結構するぞ。大丈夫か?」



「問題ないよ」



「先日の死体は高く売れたからか?」



「やめてよ。まるで僕が死体を作ったみたいじゃんか。死体が転がってたから売っただけだよ」



 島のことはひげじぃにはなかなか隠せない。隠すこともしなかったけど。マリアと運んだ死体はちょいとばかり目立ったらしい。


 誰が作ったともわからない死体を売るなんてのはリスクだ。


 横取りしたとか思われて、ちょっかい出されたらかなわない。


 今回の場合は死体を作った奴が検討ついたから、売っただけだ。



「大層な美人を囲っているようじゃないか。お前も男だったんだな」



「僕は昔から男だよ?」



 たまに大人達とは話がかみ合わないことがある。


 外に出てわかった。マリアは目立っていた。


 しばらく引きこもっていたのが悔やまれた。


 姉さんの骨で作ったブルーダイヤをひげじぃから受け取った。


 それは小指の爪程度の大きさで、ネックレスにしてくれていた。首からかけると、ちょうどみぞおちに接した。


 それとなく匂いを嗅いだけど、姉さんの香りはしなかった。



「マリアの匂いはするわけないだろ」



 ひげじぃに見られた。不覚。

実はこの小説は全て完結しています。予約投稿しているだけなのです。ご安心してください。

追記:昨日感想きたぁああ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ