6話 生き延びるために
俺の名前はアドム・ヘリオス。魔王だ
変なおっさんとその奥さん?と別れてから辺りはすっかり暗くなった
俺はぶらぶらと歩きながら、この世界で生き延びるために必要な物を考えた
1、水と食料 2、睡眠出来る場所 3、この世界の服
1は絶対に無いと困る。というか死ぬ。元の世界での俺ならば、魔力で必要なエネルギーを補う事が出来るから無くても良かった
だが、今は魔力が無い。だからこそ水と食料の確保は絶対だ
2も無いと困る。俺は寝る時は一人じゃないと眠れないんだ。浮浪者のように外で寝るのは耐えられない…
どうしようも無い時はそうするが、可能な限りしたくない
3はこの世界に溶け込みやすくするためだ。俺が着ている魔王の服は周りと浮いてしまう。俺と年が変わらないくらいの女性に奇異の目で見られるのは精神的につらい…
「あれ中二系?ヤバくない?」と言われる事があったが中二という種族がいるのか?それはこの世界での魔族なのか?
俺はそんな疑問を一先ず置いて、生き延びるための方法を考えよう
出来れば1と2を同時に何とか出来ればいいがそんないい方法が…
「あった」
これだ!俺はすぐさまに動いた
「いらっしゃいませ、お客様」
俺が向かった先は宿だ!この世界ではホテルと読むらしい。と言うよりも俺がこの世界の言葉を読むことも出来るとは思わなかった。
「本日は当ホテルにようこそお越しくださいました」
俺がホテルのフロアに来ると女性がそう言ってから頭を下げた
「こちらにご宿泊ですか?」
「もちろんしゅ…」
ニッコリと笑顔を向けられて俺は当然のように答えそうになった所で止まった
「いかがされましたか?」
「あー、その…」
俺が返答に困っていると女性は何かに気づき、納得したような表情をした
「ご予約されていらっしゃらなかったのですね。ご安心下さい。当ホテルは当日宿泊にも対応しております」
だから安心してね、と思わせる笑顔を向けて来た。確かに予約はしてない。しかしそうじゃない。
そもそも俺は金を持っていない!宿は前払いが基本だ。金が無ければ泊まる事が出来ない
上手いこと誤魔化して泊まっても金が無いのがバレたら…
殺される!!
「すまない間違えたようだではさらば!」
「え?あのちょっと?」
俺は早口で言って女性の制止の声を無視して足早にホテルを出た
出た後もすぐに止まらずに、ホテルが見えなくなった所でようやく一息ついた
「はあ。危なかった…」
泊まる前に金が無いことがバレたらあそこにいた女性に笑われてしまう。優しそうなキレイな女性だったから、なおさら恥を晒したくなかった
振り出しに戻ってしまったが俺は諦めずに次の作戦を歩きながら考えていた
ドン!
「おい、てめぇどこ見て歩いてんだよ?」
ファンタジーの定番の宿です
現代日本だとホテルですが、アドムが入ったのはよくあるビジネスホテルです
決して、遊園地みたいなホテルじゃないですよ?
子供の頃は、遊園地だと思って親に入りたいってゴネた記憶がありますが
親が何とも言えない顔をしてました。
なんて返せば良いんですかね?大人の遊園地?大人の社交会?
大人の運ゲフンゲフン!!
まだ分からないキッズ達が私の小説を読んでいたら、こう思って下さい
難しいマナーとかがあって大人しか入っちゃ行けない所なんだと