4話 ついに能無しに気づく
俺の名前はアドム・ヘリオス。魔王だ
異世界に飛ばれた事が分かった。しかも、神の加護が無い世界だった
自分の知らない世界、神の加護無し。これだけでも俺にとってはきつい状況だ
しかし、これで終わりか?
否、これで終わるはずがない
「まずは自分の持ち物を確認しよう」
テンパリ出すとつい独り言を喋ってしまう。俺の良くないクセだが今はそんなことを構っている場合じゃない。改めて自分の持ち物を確認する
持ち物は、ビスケットが一つだけだった
昨日、おやつに食べようとしていたが脳筋の部下2名が暴れた出したせいで休んでいられなかった。夜に一つだけ食べようと思ってポケットに入れていたのを思い出す
「ポケットに忍ばせておいたのをすっかり忘れていたな」
とりあえず、ビスケットを食べる。
「…うまい」
うちのメイドでお菓子作りが好きな者がいて、いつどんな時でも俺がお菓子が食べたいと言うとすぐに持ってきてくれる。俺にお菓子を食べてもらえるのが余程嬉しいのだろう
そんなことを思い出しながらビスケットを食べ終わる
これで持ち物は無しになった
俺は膝から前に崩れて、腕で上半身が地面に付かないようなポーズを取ってしまった
金貨などがあれば、それをこの世界でのお金と交換してもらえただろうに
惨めな負けエルフの気分だ…
だが、俺はまだ希望を捨てていない。
パラメーターだ。力強さ、頑丈さ、素早さ、賢さなどのその人の持っている素質は残っているだろう。きっとそうに違いない!
俺は広場のような場所に移動した。近くには子供が何人か遊んでいる。すぐ近くに女性がいるがやたら俺のことを見ている。…俺に惚れているのか?
そんなことはどうでもいい。俺は近くにあった木のそばに近寄った。木の数が少ないから樹齢の短いのしか無いと思っていたが、それなりに大きい木があった。10年以上は経っているだろう、俺はこの木を思い切り殴ることにした。
「ステータスが確認出来ない以上、全力でいかせてもらう。悪く思うなよ?」
俺は木に向かってそう言ってから力を溜めた
「ハア!!」 ドガーーーーーーーーーン!!!!!
と言う音と共に木っ端微塵になった哀れな木の姿が俺の目の前に会った
と思っていたが実際は
「ハア!!」 ドーン! サワサワ 葉っぱが数枚落ちる
「いってーーー!」
呻いたり、騒いだりしながら転げまわる俺。思い切り殴ったせいで手から血が出て、さらに骨がジンジンしてものすごく痛かった
俺のステータスが前の状態であれば、鋼で出来た大型巨人でも殴り飛ばすことが出来た。それにアビリティで痛覚無効があったからどんなに体を傷つけようが痛みを感じることなんてない。それに体の動きが明らかに遅い。
つまり
「能無しになったのかーーーーー!!」
俺は一番知りたくない事実を知ってしまった
最後まで読んで頂きありがとうございました