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【1】 夢想

 










 世界は深い、深い眠りについていた。


 それは世界が自我を持ち自分のじがを繋ぎとめようとしていたからだ。


 世界が生きる目的はただ一つ。


 世界に神を向かいいれるためだ。


 深く眠りについた世界は目を覚まし、神は武剣神と魔道神の二柱が生まれた。


 二柱は創りだした”神”により世界は破滅を向かいいれるほかなくなる。


 そして、たった一人の魔法使いを創りだし世界は七つに分かたれる。


 ”神”はいまだ存在する。


 二柱は世界わがこを守るため再び魔法使いを創りだす。











 真っ暗の暗闇の中、夢想する。

 自由に歩き回る自分を、楽しげに笑う自分を。

 そして、今の自分ではそれはかなわない。


 中学三年の頃、自分は交通事故により植物状態になった。

 体は動かずあるのは意識のみ。

 病院の匂いが鼻孔をくすぐり、時折、窓を開けるためかその風の暖かさで夏を認識する。

 冬は暖房の独特の匂いがして少しこれが気に入っている。


 夢想する。

 もし、自分がこことは違う世界で生きれるとしたら

 普通の農民として。

 それとも国のお抱えの魔法使い

 もしかしたら奴隷かもしれない。

 少し笑ってしまうが勇者みたいな存在かもしれない。


 その夢想したものは脳裏に描き自分が主人公としてのめり込む。



 それがいつも以上に鮮明に描かれる。

 現実味が持ち始める。

 命が、水が、大地が、空が、雲が、月が、太陽が


 苦笑いを心で浮かべる。

 ここまで自分は外の世界に飢えていたのかと。

 動けない自分がそんなに嫌なのかと。

(まぁ、想像力だけは一人前か)



 その時、意識が水にどっぷりと浸かる。

 何が起きたのかわからない。


 まるで水中を漂っているように感じる。 

 意識が体から離れるような不快感と開放感。

 あとはそれに身を任せるほかなかった。


 思考がぐちゃぐちゃになるような不快感で目を覚ました。


 暑いようで寒い。

 明るいようで暗い。

 立っているようで浮かんでいる。


 正反対の感覚が同時に襲う。

「ここはどこだ?」

 咄嗟に出た言葉だった。

 バッと口を触る。

 目が見える。

 声が出る。

 手が動く。

 立つことができた。

 歩くことができた。


『ここは私たちが創りだした仮の世界であり、我らしか認識できない世界だ』

 急な声に私は動揺する。

「だ、誰だ!?」

 声が震える。

『そんなにおびえなくてよいのですよ』

『我は武剣神』

『私は魔道神』


「ぶけんしん?まどうしん?・・こ、ここはどこなんだ。わ、私を、どうするつもりなんだ?」

『君には我らから頼みたいことがあるのだ』

「た、頼みたいこと?」

『えぇ、私たちが創りだした世界を管理するための補助装置かみを殺してほしいの』

『そのための力は私たちが身を削り与えよう』

『決して楽ではない頼みになってしまう』

「それは貴方たちだけではできないことなのか?」

『長きにわたり対処したが駄目だった。もう、手は無いのだ』

『貴方には私たちの世界に来てもらうことになります。命を・・・貴方の人生を私たちに捧げてしまうことになる』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 私は考える。

 混乱してはいるが物事を冷静に考えることはできる。

 断れば多分ここから帰ることができるだろう。

 ぶけんしん?とまどうしん?は”頼む”と言ってきたことから仮説が立てられる。

 だが、それでいいのか?

 戻ったところで待つのは動くことのできない真っ暗の世界。



 何のために夢想してきた。

 自分の望みは何だ。


    新しい人生を歩くことだ。


『『・・・・・・・・・・・・・・・・』』

 神は喋らない。

「・・・・・・・・いいだろう。了解した」

『っ!ありがとう・・・』

『感謝します。では早速、貴方に力を授けます。これを与えれば貴方は人の理から外れてしまう。力に溺れないように」

「わかった」


 突然、釘が頭から突き出るような鋭い激痛が走りぬける。

「――――――――――――――――――っ!!」

 声が出ない。

 言葉にできない。

 全身に不快なノイズが走る。


 すっと痛みが消失した。




 頭に自分自身を数値化したと思われるものが浮かぶ。



名前   パーミス・リーヴィヒア


 MP  5500(人間が貯蔵できる最高値)

 スキル   鑑定、魔道王の知識、武闘王の技術、魔闘融合、無限魔力

       闘気、直感、、威圧、殺気、生活技術(極)狩猟技術(極)

       サバイバル技術(極)異世界言語解明、不老長寿、刻印

刻印

   効果、翼の召喚

   効果、魔眼の召喚



加護

   魔法神の加護

   武剣神の加護



「パーミス・リーヴィヒア?私の名前か?」

『我らの古き友の名だ』

「そうか。なら私も、友人の頼みは無下にはできないな」

『ありがとう。では、我が友の武具を託す」


 それは黒いローブと純白の篭手、そして黒いブーツ、

 そして、紅色の幾何学模様の入った黒い箱

『これは我らがが彼から預かり受けたものだ。この日が来る時があったら・・・とな』

「”彼”はどんな人物だったんだ?」

『仲間を必ず守り、友を見捨てない男だ』

「・・・・そうか」

『では頼んだぞ』

 再び意識は沈み込んだ。




 


 我らの新しき友人を送り出したその世界に二柱が姿を現す。

 一人はしなやかで細身だが戦士としての存在を突き詰めたような屈強の肉体を持った武剣神。

 もう一人は銀色の腰まである長髪を持ちすらっとしたスタイルの持ち手には神々しい杖を持つ魔道神。

『彼は大丈夫でしょうか』

『大丈夫だろう。あいつの名前を授けたんだ』

『そう、ですね。ですが・・・』

『彼を信じるしかない』

 二柱は寄り添いその世界から消えた。 






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