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土魔法師セクター  作者: FIIFII
第1章
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第8話 消える決意を抱いて戦え

 セクターを治した後ジェネクスは倒れた。

 『神の息吹き』は完全再生魔法。

 その使用魔力量は膨大だった。

 その代わりにセクターは治癒され、肉体が復元されていた。




 それから一時間後、森が燃えていた事に気付いた人が人を呼んだが、街の人が来る前にどこからか犯罪者集団が駆けつけた。

 犯罪者集団『カルクェイド』。

 頭領の名は、バシウム。

 三大魔法師の一人、バシウムであった。

 彼は意識がない二人と女二人を回収して、セクターを部下に手渡す。


「こいつぁ、いい。街の病院にでももってけ」

「オーケーボス」


 意外と優しかった。



---



「ほう」


 目覚めたジェネクスは開口一番にそう漏らした。

 どうやらここは襲ってきた集団のアジトらしい。

 窓から日が差している。

 その証拠に見知った顔のバシウムがいびきをたてていた。

 仲間らしき者共も寝ていた。

 立ち上がろうとするが、手と足が縛られていた。

 そんなことは気にせず、手加減せずに魔法を撃ち込んだ。


「《純粋》」


 衝撃波を発生させる古代魔法、『純粋』をバシウムに当てるがなんら変化はない。

 服すら消滅していない。

 そこら中に撒き散らすも効果は見られなかった。

 手足を縛る縄は消えた。


「《万力バイス》」


 今度は『万力』を試してみると、顕現したので装着させる。


「《駆動開始スタート》」


 バシウム以外は痛みで跳ね起きた。

 無視してバシウム相手に本気で圧力をかける。


「んー……おっ、起きたか」


 低く重い声が場を支配する。

 その声を聞いた部下たちは、突然しゃがみこんだ。

 否、しゃがんだのではない。圧力が掛かったのだ。

 ジェネクスだけが平然と立っていた。


「相も変わらず起きるのが遅い。そして魔力耐性の高さも、声の重さ(・・)も変わっていないな。さて、なぜ私を付け狙うのか聞かせてもらおうか」

「こいつらと別れろっつたのが気にくわねぇだけだぁ! それ以外に理由はねえぞ?」

「……そうか」


 ジェネクスは魔素を変換し、身に纏う。

 それだけで場の雰囲気は一変した。

 強大な魔力に中り、二人以外は立ち上がることすらままならない。


「──そんな理由で……そんなくだらない理由でセクター君を狙ったのか」

「ああ、そうだよ」


 それを聞いて、安心したようにジェネクスは苦笑した。

 バシウムは「なに呆れてんだ?」と思っていたが。


「そうかそうか、仕方ないな。この場の全員を跡形もなく消滅させてやろう」


 冷徹な声で、そう言った。


「ちゃんと怒ってるな? オルガニズム・ハウンサレクトォッ!」


 ジェネクスの二つ名を叫び、バシウムの表情が笑みに変わる。

 会話をしながら溜めていた、拳を撃ち出す。

 渾身の一撃!

 風圧が家を軋ませる。大砲並みの威力。


障壁バリア


 パリィン!

 木造の家、アジトにガラスが割れたような音が鳴り響く。

 ジェネクスは透明な『壁』を盾にして防いだのだ。


「貴様のように魔力耐性の高い者には、これがよく効く。《フラッシュ》、《爆音ドーン》、《無風カール》」


 閃光が視界を奪い、轟く音が聴力を奪い、無風で空気が動かないうにした。

 順に表すと、光属性と無属性と風属性。

 多種多様な、バリエーション豊富な魔法を扱い勝利を収める。これが大魔法師ジェネクスの戦い方だった。


 ちなみに『無風』の魔法、これは物体が動く際に巻き起こる風だけを動かなくするだけで、呼吸は可能となっている。

 なぜわざわざ『無風』状態にしたのかというと、バシウムは肌で感じ取った感触で敵かどうかを見極めるからだ。

 

 ジェネクスが強力な魔法を使うのかと考えて、バシウムが身構える。どこからでもかかってこいといわんばかりの体勢。

 しかし何も起こらない。

 目がチカチカしているのが収まると、そこにジェネクスはいなかった。

 逃げた。


「くっそぉ!」


 アジトの壁に拳を当てる。つまり八つ当たりをしたバシウム。

 そのせいでアジトが半壊したため頭領の座から降ろされ、失敗ばかりしてまた八つ当たりし、犯罪者集団カルクェイドから脱退させられた。

 犯罪者集団はそれから数日後、めでたく国に捕まったという。


 予期せぬところでジェネクスの心配は解消されたのだった。






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