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第一話 ~死神と末人~

「…あと、二分だ。」


「まっ待ってくれ、まだ…まだ、死にたくはない!」


「…時間だ。」


その言葉を言った瞬間。

目の前の男は、眠りについた。

これが、さっきまで死ぬことを抗っていた男の姿なのだろうか。

顔は、綺麗に死んでいた。


俺の名前は、光。

記憶があいまいで、はっきりと覚えていないが、たぶんそんな名前。

だが、その名前もいらないかもしれない。


「死神」だからだ。


俺が、死神になった覚えは、微塵もない

しかし、言わざるを得ない。

先ほどまでの現象。行動が物語っている。


自分には、人の余命がわかる。

正確に言うと、余命が近い人に引き寄せられるのだ。


「また、ここの病院か」


今までに、二度。いわゆる「余命宣告」をしてきたが。毎回この病院の患者。

知らぬ間にここにきていて、無意識に「残り時間」を末人に言い渡す。


「末人」(まつびと)

余命が残り少ない人のことをいう。

皮肉にも、「死を待つ人」となぞらえているのだ。

この、言い方は好きではない。

だけど、無意識に呟いている。


「次の末人は…いつだろう。」


だが、そんな自分を嫌っている暇も、

気も起きない。俺は、これ以外なにもすることもない。


何故なら、末人にしか、俺の姿は見えないらしいからだ。

いつから、こうなっているのかはわからない。

ましてや、いつから「死神」をしているのかも知らない。

なんで、こうなったかも。


ただ、唯一。覚えているものがある。

自分の過去。それだけ。

しかも、いい話じゃない。


「あなた…!!」


さっきの末人の妻だろうか。

悲しそうな顔で、病室に入ってくる。


「ご愁傷様です。」


聞こえない声で、つぶやいた。


病院をでて、しばらく歩く。

通り過ぎて行く、人を横目に。

自称「死神」が、横通る。

ここに死神がいる。そう言ったら、怖がるだろうか。

当たり前に、怖がるだろう。

それは、「死神」を恐れてるのではなく自分の「死」を恐れているから。

……誰かが、悲しむから。


「俺は、なにをしてるんだろうな。」


なんで、俺だけ。

何回も言ってきた。

俺だけ、みんなと違う「いつも」を送っている。

いつも通りって、なんだ?


「悩んでいても、仕方がないよな」


俺には、悲しんでくれる人はいないんだから。



「そこの君!」


何処からか、声がした。

気のせいだろう。いや、俺に向けて言った訳ではないだろう。


「そこの。死神君」


「……死神?」


振り向いた先には、一人の少女がいた。

人ごみに紛れていたが、はっきり見えた

彼女を包む何かがあった。


「俺のことか…?」


「そう君。」


「俺のことが見えるのか?」


「もちろん。見えないはずがない」


意味がわからない。

そもそも、彼女は見た目からして

中学生くらい。明らかに年下だ。

そんな、彼女に「君」呼ばわりされることに、少し腹が立った。


「ずっと近くにいたけど、そろそろ答え出さない?」


「…答え?」


「成仏するか、否か。」


やはり、意味がわからなかった。

だから、無視をした。

さぁ、次は誰かな。


「答えが出るまで、ついていくから」


「…勝手にしろ」


この女の子が、ついてくることには気が引けたが。

誰かが、ついてきてくれるのなら…

悪くはないと思った。


凄く突発的で。理解できないけど。

この女の子に、なにかを感じたのは

何処か、必然的だった。

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