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幸せ

作者: お目覚め
掲載日:2026/06/13

お越しの皆様、おはようございます。こんにちは。こんばんは。

初めまして「お目覚め」です。少しの時間でもサクッと読めるような作品を投稿しています。


今回は、読み切り作品です。青春の中の友人関係への葛藤から這い上がってくる人間描写を描きました。実は私自身も学生時代にこのような友人関係に悩んでいた時期がありました。そのような経験を活かし今回このような作品を描きました。あくまでフィクションなので楽しんでいただけると幸いです。

 ただ幸せになりたいだけなのに、幸せってなんだろう。私は、喜奈きな。幼いころからこの世界に対する少しの疑問や不安を持っていた。でもそれについて考えようとすると、いつも私を襲う頭の中の幻像。毎日をなんとなく生きている。今朝も少しの吐き気を持ちながら職場へ向かった。私は、建設会社の事務をしている。毎日なにかしらの契約を処理しなければならないし、上司へ毎日「今日の目標」となるものを出さなければならない。職場には男性が多く、私と同じ女性は少ししかいない。いわゆるブラック企業というものなのだろうか。今日もまたなんとなく生きている。こんな現実からは早く脱出しなければいけないことは分かっている。どうしてこんな会社に就いてしまったのか。今日も怒られたショックを抱えながら帰路につく。過去を振り返ってみると、恐らくあの経験からだろう。昔から私はなんとなく生きてきた気がする。そちらの方が楽だから。あの記憶を思い出さなくてよくなるから。あのモンスターに襲われなくて済むから。他人と比べなくていいから。ただ幸せになりたいだけ。こんなことを思うこともおこがましいのかもしれない。いつものように下を向きながら帰っていると、雪が降ってきた。私は、濡れないように急いで家に帰った。あの日の記憶を頭の片隅に残しながら。

 美真みまを見つけた!こっそり近づいて驚かせちゃおう!私は友達と話している美真にこっそりと近づいていく。

「わっ!美真!おはよう!」

私は、美真に元気よくあいさつする。

「あ!喜奈!おはよう!」

以外にも反応は薄めである。美真は私が小学生の時に仲良くなった友達。今では私の一番の親友である。現在私たちは中学2年生。同じクラスには入れて、同じ部活で活動できて毎日楽しい。授業が終わり、部活をし、今日も美真と喋りながら一緒に帰った。翌朝、今日も美真と一緒に登校しようといつもの集合場所で待っていた。先についてしまい、少しして美真が見えた。でも、何かいつもと違う。隣にもう一人の人がいることに気が付いた。

「おはよう」

私はいつもより小さな声であいさつする自分に驚いた。美真も返してくれた。私たちはそのまま3人で学校へ歩き、私はその会話にあまり参加ができなかった。美真は私と比べて人当たりがよく、人気だ。性格は明るいし、だから友達も多い。休みの時間はあまり美真と話すことができず、美真も含む、女子の3、4人のグループの中で過ごした。ただ居るだけ。これも私はあまり会話に参加できなかった。時間は過ぎ、部活の時間になった。部活中は少しだけ会話を挟めたが、個人的な話ではなく、あくまで部活の範囲だった。帰りは別々に帰った。美真はあと少しだけ残って練習するそうだ。私は家の手伝いがあるので、美真より早く帰った。前までは必ずと言っていいほど毎回一緒に帰ってたのに…。私は美真にとってはたくさんいる友達の中のただの一人なのかもしれない。そんな日が数週間続いた。私と美真はもう友達ではないのかもしれない。そう思った夜もあった。今やあの子は私よりも美真と仲が良い。私は再び孤独を感じるようになってしまった。美真によって隠され、ごまかされていたあの孤独感を。だけど、一人が好きと言う自分もいた。一人で本を図書館で読み、一人で静かに過ごす。そういえば、美真と友達になる前はそんな過ごし方を好んでしていた。私は元より一人が好きだったんだ。いつから忘れていたのか、美真の姿がかすれていく。どんどん私から離れていく。

 私は高校生になった。あれから美真を意識するようになり、避けるように逃げるようにそれぞれ別の高校に進学した。あれからまったく連絡は取っていない。あれから私は人間不信に陥り、あまり人と話すことが得意でなくなった。前の自分に戻ったといってもいい。こう考えると少しだけ軽く思える。友達作りも高校1年生の始めの頃は頑張っていたので、少しの新しい友達もできた。それなりに楽しかった。楽しかったけどあのコンプレックスが私の中で蠢く。今、美真は何をしているのだろうか。自分から絶好した私がこのような考えを持ってはいけないのかもしれない。私は幸せになんかなってはいけないのかもしれない。

 電車に揺られ、気付けば私は終点の駅に着いていた。いつもとは違う駅。辺りを見回すとさざ波の音が聞こえる。海の近くの駅か。とりあえず改札を出た。さっきの電車が終電らしくもう帰る術はなくなっている。これはタクシーで帰るよりもどこかにとまった方が良さそうだ。スマホで検索してみると少し遠くに旅館があることが分かった。月明りが差し込む中、私は歩を進めた。海の堤防沿いを歩いた。耳にはさざ波の音が届き、心が安らいだ。辺りは静寂に囲まれ、人の気配などまったくしない。まるでこの世に私一人だけが取り残されたような気分だった。寂しい、けど心のどこかに不思議な温かみを感じた。潮風が私の体を包み、その香りが懐かしさを動かす。どのくらい歩いただろうか気づけば旅館の前に着いていた。中から暖色系の灯りが漏れ、落ち着いた雰囲気をもたらす。引き戸を開け受付を済ました。部屋に入り、荷物を下ろす。その瞬間なんだか全てがどうでもよくなった気がした。過去の後悔も失敗もあの時の傷も、頭の中に住む不安や憂鬱という名のモンスターを飼いならしていく。目の前の見方がいつもとは違って見える。これは、ただ自分を肯定していたいだけなのかもしれない。だけどそれでいいんだ。私は灰色の世界を生きていく。そっちの方が私にとってお気に入り。似合っている。ふと窓の外を見てみると雨が降っていた。なんだか雨の中、踊りたい気分だった。いっそのことこのまま消えてしまいたい。美真なんかも忘れて、私は一人の「私」としてありたい。そういえば、この旅館は温泉があったな。私は持ち物も何も持たず温泉へと足を向けた。

次回作の投稿日は未定です。現役大学生である私の授業中の眠くなった時に手を動かして物語を書き、目覚めさせているので、完成したその日が投稿日です。

次回は「詩」を投稿しようと思っていて、既にほぼ完成しているのですぐに投稿できると思いますがいつ投稿できるかはわかりません。次回の詩も他作品もどうぞよろしくお願いいたします。

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