六話 優雅で華麗な脱獄計画
「ガン!」
ギドの拳が鉄格子に当たった。
「壊れねえみたいだな。」
腫れた拳を見つめ、涙声でギドが言った。
「どうする?」
「罪償うしかねえな。」
「トワ様。先日のパン泥棒の件についてですが・・・」
看守が遠慮しがちに看守総帥に言った。
「ああ、それ?」
黒髪の長身、色白の熊の毛皮で、できた服を着た好青年が肘置きに頬杖をつきながら言った。
「今日釈放でいいら。」
素っ気なくトワは言った。
「はい。」
看守が退出する。
「さてと・・・」
トワは言う。
「明けの明星、輝ける者。如何にして天から落ちたのかねえ。」
トワがそう、ため息をついた。
「脱獄だ。」
ギドがそう、一言言った。
「どうやって?」
リオスが単純な質問をなげる。
「この鉄格子、魔法及び能力が通用しない。だけど、牢獄内で魔法を使うことはできるんだよ。」
「つまり?」
「そう。天使召喚だ!」
「まず、天使は召喚主の魔力に応じて強さが変わってくる。一番下が「下級天使」次に「下位天使」「中級天使」「上位天使」「上位天将」「織天使」「彦天使」そして・・・「七徳天使」だ。中級天使より上は国家プロジェクトレベルで召喚されることはめったにない。んで、天使は宿す肉体をゲッツしないといけなくて肉体に受肉しないとただのニート。後、これは全部に共通するけど誰かに従ったらレベルアップするな。」
「え?」
リオスが言う。
「名前持ちとかそういう話じゃなくて誰かに忠誠誓ったら進化すんの?」
「ああ。そうだぜ。こっちの世界二日目だから知らんか。」
「生まれて二日で留置所行きか。」
「神の忠実な下僕よ。神、字は戯徒の名において姿を現したまえ。エクスペクトパトローカス!」
「中二病さん、悪いがそんなので天使が召喚されるとは思わない。」
「ところがどっこい。」
その瞬間、ギド(戯徒)の足元からまばゆい光が解き放たれた。ポケモ〇の超眼破壊光線と同じ威力であろう。リオスは本能的に目を閉じた。
「お前等が俺を召喚したのかい?」
赤ちゃんの様な姿をし、頭の上に環っか、背中から純白の翼を生やした天使というよりもエンジェルと言ったが正しい天使が言った。
「あ~俺自信亡くしたわ。」
エクスペクトパトローカスが大きなため息をついた。
「なんでこんな垂乳根の母の元にいそうなクソガキ天使が出てくんだ。しかもこいつ全裸だしよっぽど金ねえんだろうな。全く持って常識をわきまえていない。」
常識をわきまえていないのはエクスペクトパトローカスだが自分の事を棚に上げるエクスペクトパトローカスにクソガキは怒りを覚えた。
「何言うんだ!俺はこれでも、七徳天使のウリエルだぞ!」
その言葉に二人は顔を見合わせる。
「憧れるのをやめましょう。」
「憧れるもくそもないわ!モノホンだから!」
「モノホンとかいうところでそこが知れてるわ。流行おくれのガキは垂乳根の母に泣きついていなさい。」
「じゃあ、みせてあげるよ!」
「とか言ってどうせ嘘なんだろ?」
とリオス。
「だから正当!」
「んじゃ、その格好は何だ?誰かに忠誠誓ってみろや。それで進化したら認めてやる。」
「わかったよ!じゃあ、白髪のお兄ちゃんに忠誠誓うよ!」
「あ?なんで俺じゃねえんだ?」
「いやだからさ。」
(うるさ!)
耳をふさぐ。
その瞬間、自称ウリエルの体が光に包まれた。
「俺の能力はエキゾチック能力「予言者」とレジェンド能力「陽炎聖神」です。」
先程の面影が全くなく、長身の美青年。金髪で、とても白い肌。白色の衣を身にまとい、背中から羽が生えている。
ウリエルが言った。
呆けた口を開ける二人。しかも、リオスに対しては敬語である。
「すみませんでした。」
ギドが礼儀正しく誤った。
「うるせえ黙れ。」
とウリエル。
そのときであった。
「さっきから騒がしいぞ。」
看守の声が聞こえる。
「オイお前消えて。」
リオスが小声でウリエルに言った。ウリエルは敬礼ポーズをとると消えた。
「なんだ?」
「いやなんでもありませんよ。」
ギドとリオスは愛想笑いを浮かべる。
「そうだお前等今からし・・・」
二人の眼が大きく開かれた。
「死刑は嫌だ!」
ギドが顔面ドロップキックを食らわせた。
「お前はこの世に存在してはいけない生き物だ。」
リオスが淡々と言ってのけた。
「そんなこと言われたら俺泣いちゃう。」
「馬鹿だねえ。実に馬鹿です。」
ドラえもんの言葉を少しいじって発したウリエル。
「黙れ。」
ギドが言った。
「だけどさ、どこの世界にしゃくほうとしけいを勘違いする奴がいるんだよ。「し」でお前が早とちりしたから。」とリオス。
「俺泣いちゃう。」
「問題は、この後何日間ムショにいるかだな。」
ギドがいう。
「お前が言うのなんかむかつくな。」
「大体、明日か明後日ですよ。」
ウリエルが丁寧に言った。
「ほんじゃ、ゆっくり償うか。」




